かけがえのない一輪の花。~“国際トランスジェンダー認知の日”に考えるLGBT~

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取材・文=Яita(りた)(N高5期・ネットコース)

今日で3月が終わり、新年度になりますね。今日を大事な節目の日だと感じる人も多いでしょう。そんな今日はある人たちにとっても大事な日です。ある人たち、というのはトランスジェンダー(※1)の方々です。

というのも、今日、3月31日は「国際トランスジェンダー認知の日」だからです。

「国際トランスジェンダー認知の日」は、トランスジェンダーの人々を祝福し、世界中のトランスジェンダーたちが日々直面している差別の現状について深く知るための日です。

「トランスジェンダー」という言葉は聞いたことのある人も多いのではないでしょうか? 昔に比べ、「LGBT(※2)」や「トランスジェンダー」といった言葉が浸透しつつある現代ですが、やはり差別や偏見は様々なところで見られます。

そこで、今回はトランスジェンダーを知ってもらうために、当事者のお二人にインタビューさせていただきました!

この「国際トランスジェンダー認知の日」をきっかけに、みなさんも、LGBTやトランスジェンダーについて考えてみませんか?

※1 こころの性とからだの性が一致していない人を指す。生まれた時の性は男性で自身のことを女性と認識している方を「トランスジェンダー女性(=MtF)」と言い、その逆を「トランスジェンダー男性(=FtM)」と言う。

※2 セクシュアルマイノリティ(性的少数者)のこと。『T』がトランスジェンダーにあたる。近頃はさまざまなジェンダーやセクシュアリティをまとめてLGBTQやLGBTQ+と表すことが多い。

目次

Kさんのお話

Kさん

ーー性自認を教えて下さい。MtFかFtMかで答えていただければと思います。

MtFです。

ーー自分がトランスジェンダーだと自覚したのはいつ頃でしょうか?

2021年の12月からだんだん「自分はトランスジェンダーなのではないか」と感じるようになり、2022年の4月にははっきりとそう思うようになりました。

ーーきっかけはありましたか?

きっかけというきっかけは無かったように思います。

ーー自覚した時、どのようなことを感じた・考えたなどあれば教えてください。

「私は周りとは違う」といったことや、女子たちを見て「羨ましい」と感じていたんです。

ーートランスジェンダーだとはっきりと自覚した時は、そう自覚することで腑に落ちるように感じたということだったのでしょうか?

はい。そんな感じです。

ーーどんな幼少期を過ごしていたか教えて下さい。

幼少期は性別について感じることがなかったので、違和感は特にありませんでした。

ーー性別について感じることがなかったというのは、その頃は深く考えたことがなかったということですか?

考えたことがなかった、というのもそうですが、どちらかというと人を性別で区別せずに接していた感じです。

※3 性的少数者であると公表すること

ーー自身がトランスジェンダーであることを周りに言っていますか?

家族だけに言いました。

ーーカミングアウトした時、どのような反応が返ってきましたか?

「本当に心の底から思っているのか」「思春期の一時的なものではないのか」といったことをきかれました。

ーーその時はなんと答えたのか、良ければ教えて下さい。

「心の底から思っているし、ずっと悩んできた」と答えました。

ーーそう答えた後の家族の反応はどうでしたか?

理解してくれた感じだったと思います。

ーーカミングアウトするということに至った経緯を教えて下さい。どのような思いを抱いていたのですか?

最初は学校のカウンセラーから提案されました。

やっぱり学校で性別に関するストレスや過ごしづらさを感じていたので、それらを解消する選択肢としてカミングアウトを勧められました。

カミングアウトをする前はとても不安だったのですが、今はカミングアウトをして良かったと感じています。

ーー今、カミングアウトしてよかったと感じられるのはなぜだと思いますか?

性別に関して配慮した接し方をしてくれるからですね。

ーー治療などは受けていますか?

治療はまだ受けていません。

ーーまだ、ということはいずれは受けたいと思っているのでしょうか?

はい。

ーー治療を受けた場合、戸籍の性別も変えたいと思いますか?

できればそこまでしたいと考えています。

ーー無理に答えなくて大丈夫なのですが、今までにトランスジェンダーゆえに傷付いた出来事はありましたか?

あまり思い出さないようにしているのもあってもう忘れていることも多いため、ぱっと思いつくような出来事はありません。

ーーでは、何か普段の生活の中で困ることや不快に思うことはありますか?

周りからの目ですね。トイレにしても服を買うにしても周りの目が気になってできないことは結構あります。

ーーそういう時はどう対処しているのでしょうか?

諦めるか極力気にしないようにしています。

ーー今回のインタビューを受けてくださった理由を教えてください。

自分の意思を発信したいと思ったからです。

ーーこの記事を読む方に伝えたいメッセージはありますか?

何をするにしても後悔だけはしないでほしいです。

ーーというのには、何か理由がありますか? もう少し詳しく教えて下さい。

私はいつも「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と思ってしまうことがあります。

何をするにしても自分から動かなければ始まらないので、思いついたらすぐに行動するのが大事だと思います。

ーー同じLGBT当事者の方々にはどんなメッセージを送りたいですか?

周りの人や環境に流されずにしっかり自分の意思を持ってほしいです。周りの人に考え方を強要される必要はありません。

Яita

Kさんは、自分のことを大切に思っていますか?

Kさん

わかりません。まだ私は自分のことを大切に思うことができていないように思います。

Яita

どうしたら自分のことを大切に思うことができると感じますか?

Kさん

自分を褒めることが大切だと感じます。

しおりさんのお話

しおりさん

ーー性自認を教えて下さい。MtFかFtMかで答えていただければと思います。

どちらかといえばMtFになります。100%女性というわけではないのですが、かなり女性寄りの性を自認しています。

ーー自分がトランスジェンダーだと自覚したのはいつ頃でしょうか?

1年半くらい前のことです。

ーーきっかけはありましたか?

私は、小さい頃から漠然と女の子になりたいと思っていました。初め、理由がよくわからなかったのですが、いろいろと考えていくうちに「もしかして自分は男性じゃないのでは?」という考えに至り、そこからという感じです。

ーー自覚した時、どのようなことを感じた・考えたなどあれば教えてください。

ものすごく納得しましたね。これまで自分の想いが「だからこうだったんだ」みたいな感じで、ようやく整理がついたと感じました。

ーー先ほども少しお話がありましたが、どのような幼少期を過ごしていましたか? もう少し詳しく教えていただけたらと思います。

小さい頃は割と意識はしてなかったかなというふうには思います。はっきりとわかるまでは男の子として過ごしていました。

ーー自身がトランスジェンダーであることを周りに言っていますか?

信頼できる人と思った人には言っています。あと、SNSではプロフィール欄を見て分かるようにしています。

ーー信頼できる人にお話ししているということですが、最初にカミングアウトした時にはどんな反応が返ってきたか教えてください。

いろいろな人に言っているので最初がいつだったかあまり覚えていないのですが、印象に残っている反応がひとつあります。その時は、「初めはちょっと変だと思っていたけれど、改めて考えるとそんな風に変だと思うのはよくないと気づいた」と言って謝ってくれたんですね。それを聞いてとても優しい人だなというふうに思いました。

ーーカミングアウトするということに至った経緯を教えて下さい。どのような思いを抱いていたのですか?

私は人からどう見られているかをとても気にするタイプなので、周りの人に『男性』と思われているというのが少し窮屈に感じてしまって、関係がある程度深くなって信頼できると思った人にはどんどん言っています。

ーー治療などは受けていますか?

今のところは何も受けてはないですね。

ーー受けたいか受けたくないかで言うと、どちらでしょうか?

受けたいとは思うのですが、自分の中で変わって欲しくないところまで変わってしまうことに強い抵抗があるかなというふうに思います。

ーー無理に答えなくて大丈夫なのですが、今までにトランスジェンダーゆえに傷付いた出来事はありましたか?

特に他人が絡んでいるということではないのですが、自分で自分のコンプレックスを気にしすぎてしまって、「私はやっぱりダメだ」といった嫌な気持ちになってしまうことはありますね。

ーーそういう時はどうやって乗り越えてますか?

私は人に頼るのが一番いいと思っていて、幸い何人か自分の悩みを聞いてくれる人がいるので、相談したりしています。

ーーでは、何か普段の生活の中で困ることや不快に思うことはありますか?

アンケートなどで性別を答えなければいけないとき、どちらに入れればいいのか迷うことは結構ありますね。自分のこの性をどういう風に伝えればいいのか悩みはします。

ーーそういう時はどう対処しているのでしょうか?

『その他』があればそれを選ぶのですが、ない場合は「この調査をしている人は何が知りたいのだろう?」と推測してどちらを選択するか決めています。

ーー今回のインタビューを受けてくださった理由を教えてください。

周りのためになりたいという気持ちが強くて、自分の置かれている境遇や思いをこのように発信していくことで、誰か助けることができたらいいなと思ったからです。

ーーこの記事を読む方に伝えたいメッセージはありますか?

まだ自分もできていないことではあるのですが、自分の中で「私はこうなんだ」というふうに芯を強く持つことが一番大事なことだと思っているので、とにかく自分を疑わないでほしいです。

ーー同じLGBT当事者の方々にはどんなメッセージを送りたいですか?

まず伝えたいのは、「仲間はいる」ということです。N/S高でもSlackのチャンネルがあって、そこに何人もいますし、SNSなどで広がる世界を見渡してみれば、同じような苦しみを経験して、その上で人の役に立とうと頑張っている人がたくさんいます。あなた一人だと思って苦しむ必要はないんだよ、ということ、そして、一人ではないのだから、困った時には周りに相談して、一人で抱えすぎないで、ということを伝えたいです。

Яita

しおりさんは、自分のことを大切に思っていますか?

しおりさん

ここまでいろいろ話してきたのですが、正直、私自身はあまり自分のことを大切にできてないですね。だからこう自分への戒めというかそういう意味を込めてこれまでの話をしました。

Яita

どうしたら自分のことを大切に思うことができると感じますか?

しおりさん

それはもう本当にN/S高に入ってから、悩んで悩んで悩み続けているのですが、まだちょっと自分に合った答えというのが見つかっていないというのが現状です。
周りの人たちに支えていてもらうことが一番効果的ではあるのかなというふうには考えています。でも、やはりまだ気にしてしまうことはあるので難しいと感じますが、残りの高校生活で見つけていけたらいいなと思います。

終わりに

ここまで読んでくださったみなさん、まずは今回インタビューに応えてくれた2人の勇気ある行動に、心の中でぜひ拍手を送ってください。

今回のインタビューでは、最後に「自分のことを大切にできているか」という質問をさせていただきました。

みなさんは自分のことを大切にできていますか?

まずは自分のことを大切にすることが、人のことを大切にするための第一歩になると僕は考えています。今回はトランスジェンダーに焦点を当てた記事ですが、他のセクシュアルマイノリティの方やセクシャリティに関連しない”マイノリティ”とされる方もたくさんいます。そして、マイノリティであるかそうでないかに限らず、どんな人でも一人の人間です。その人の個性を大切にし、その人自身を大切にすることが、すべての人にとってより生きやすい世界になると思うのです。ですから、まずは自分のことを大切にし、そして人のことも大切してください。どんな人も”かけがえのない一輪の花”なのです。

***

今回が僕にとって最後の記事になります。過去に語った通り(※4)LGBT当事者である僕は、主にLGBTのことをもっとたくさんの人に知ってほしいという思いからこのN/S高新聞実行委員に応募しました。

※4 僕はペンキをかぶりたい

僕の新聞実行委員ライフをLGBTの記事で始め、LGBTの記事で今年度を締めくくることができたことを大変うれしく思います。N/S高新聞実行委員としては最後ですが、LGBT当事者として生きていくのはこれからも変わりません。何か機会があれば今後もLGBTのことを発信していきたいと思います。みなさんもこの記事や過去のLGBTの記事を読んで、得たものを頭の片隅に置いていてほしいです。

Яita

身近なところから小さな幸せを形作り、すべての人がより幸せに生きられる世界を実現させていきましょう。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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