オーイシマサヨシと伊東健人が語って歌う!『楽演祭EXTRA』をレポート!(後編)

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取材=鈴蘭(S高1期・オンライン通学コース)・ミツキ(N高7期・ネットコース)

文=鈴蘭(S高1期・オンライン通学コース)

写真提供=株式会社KADOKAWA

楽演祭は“エデュテインメント(エデュケーション+エンタテインメント)”を通じて“音楽の楽しさ”を体感できるライブイベントとして、2018年から開催されている。 11月12日に行われた楽演祭EXTRAではオーイシマサヨシさんと伊東健人さんが登壇。後編の本記事では、当日のリハーサルの様子とインタビューをお届けします!(楽演祭EXTRAイベント本編をレポートした前編はこちら)

目次

イベントの裏側に特別潜入!知られざるリハーサルの様子を特別レポート!

音楽部生限定!楽演祭EXTRA裏側体験ツアー

今回音楽部生限定で、24名の生徒が楽演祭EXTRAに招待された。

音楽部生ということもあり、歌が得意な人や音楽のミックスを勉強している人、バンドを組んでいる人など、音楽について興味・関心が強い生徒が集まり、もともと今回の出演者であるオーイシマサヨシさん、伊東健人さんを好きな人も多かった。 今回の招待はイベント本編だけではなく「裏側探検ツアー」と称し、リハーサルを見学する機会も設けて頂いたため、生徒はとても楽しみにしていた。

(リハーサル見学に入る前、当日の注意事項などを聞く生徒たち)

会場の静けさと緊張

まだゲストが入っていないイベント会場。スタッフが本番に向けて慌ただしく準備する音が響き渡る客席内には緊張感があった。

前方はスタンディングエリアで、エリア内を区切るようにポールが数本立っている。

なるほど、これが支えと区切りの役割を果たしているようだ。

後方は指定席エリアで、ステージからは離れるものの、段差によってステージ全体が見やすいエリアとなっていた。

私たちは客席内最前列に用意された椅子に座った。ステージ上では照明機材を調整するスタッフ。客席内にも配信収録用のカメラを動かすスタッフなどが出入りしていた。 (特にカメラスタッフは撮影する人と、カメラ移動に合わせてケーブルを介錯するサポートスタッフがおり、サポートするスタッフは常にしゃがんで移動してるので大変そうだった。)

(会場後方の様子)

いよいよリハーサル開始

しばらく待っていると、本イベントの司会者を務める音楽プロデューサーの冨田明宏さんがステージ上に現れる。

リハーサル開始前のひととき、冨田さんは私たちとコミュニケーションを取ってくれた。

「N高は良い授業をする、自分も行ってみたかった」と語る冨田さん。高校時代は授業が終わるとバンド活動に打ち込んでいたという。

確かにN/S高であれば、多くの高校と異なって履修の組み方によっては自分の興味や関心のあることに費やせる時間も増やせるだろう。N/S高生はぜひこの時間を活かしていただきたい。

するとそこに、伊東健人さんも登場。まだ本番の衣装ではないようだった。

冨田さんやスタッフさんにまず挨拶をすると、伊東さんは「この建物は急にあらわれるから面白いですよね」と、N/S高生にも話しかけるように雑談を始め、さらに場の空気を柔らかくしてくれた。

今回の会場であるサクラタウンは少し面白い立地にある。駅から向かうと、小高い坂を上がって、建物の直前で下るので突然建物が出てくるように感じるのだ。しかも結構大きい。私も初めて訪れた時はその迫力と美しさに驚いた。

また、伊東さんはその時まだステージに現れていない共演のオーイシさんについて、

「オーイシさんはね、多分今メガネを選んでるんでしょうね。彼のメガネはきっと2万個あるんでしょうから(笑)。」と冗談も交えて話した。

そこにタイミングよくオーイシさんも加わると、いよいよリハーサルがスタートした。

すでにライブパートのリハーサルを済ませていた出演者は、対談講義と称された「トークパート」の流れについて確認をはじめる。

リハーサル進行は、今回の楽演祭EXTRAをプロデュースするKADOKAWA・野澤さん自身が行う。

台本をもとにBGMのタイミングや、トークを始めるタイミングなど、キュー(※1)の確認がされていた。

これが最終確認なのであろう。サクサクっとリハーサルは進む。

驚いたのはここでトークパートで使用するスライドも確認していたことだ。不備がないかきちんと見ていた。登壇者がスライドの間違いに気づき指摘、野澤さんがそれをスタッフに指示するといった流れでスライドは修正されていた。

また当初の予定では、登壇者の座る位置はステージ向かって左(下手側)から、伊東さん、冨田さん、オーイシさんの順番だったが、冨田さんの提案で対談講義のメインであるオーイシさん、伊東さんをセンターに据える形に変更。

来場者にとって良いイベントとなるため、出演者とスタッフがお互いに意見やアイデアを出しながら、細かい部分も直前まで調整をしていたのが印象的だった。

(※1)音響や照明操作などのタイミングを知らせる合図のこと

(図解_席順を変える)

リハーサルではあるが、本編で扱われる予定のお題に対して出演者のお二人はたくさん話していた。流れや雰囲気を掴んでいるのだろうか? 

野澤さんに「本番まで面白い話は取っておいてください」と促されていたのが少し面白かった。

またトークの流れの提案や本番で触れて欲しい内容などが伝えられていた。

和気藹々とした雰囲気で、脱線しながらもリハーサルは順調に進んでいく。

リハーサルではあるが色々な話を聞けた。

そのなかで興味深かったのは冨田さんが語った「日曜日の気分」の話だった。

「日曜日」というと、次の日に学校や仕事があって憂鬱だと感じる人も多いのではないだろうか?(少なくとも私はそうだ)

しかし冨田さんは「日曜日の夜は全然憂鬱じゃない。(明日は)あの人と打ち合わせだ!という高揚感がある」「色々なアーティストと一緒に、仕事やイベントを作ることが一番幸せだ」と語る。

好きなこと、やりたいことを仕事にすると、新しい出会いが生まれて、毎日が楽しいのかもしれない。かくいう私も取材できる今日がすごく楽しみだった。

ここで冨田さんに、「仕事をする上で一番大切にしているものは何か」と客席から質問を投げかけてみると、「人の縁ですね。一つ仕事をすると対価をもらう、その数だけ恩が生まれていると考えてます。その恩を返せるように仕事をしています。」との回答。

なるほど、”人の縁を大切に”というのは他でも聞くことはあるが、恩が生まれるという発想は無かった。イベントも楽曲制作も1人で作り上げることはほとんどないのであろう。だからこそ仕事に対し誠意と感謝を込めて働く。私も常に周りの人に感謝をして生きていこうと思った。

キリが良いところで野澤さんがリハーサルを終えた。当たり前かもしれないが、間に入るタイミングや切り上げるタイミングが絶妙でさすがだった。 生徒は終始真剣な眼差しでリハーサルを見ていた。熱心にメモをとっている人もいた。今回の見学が生徒にとってとても有意義な時間だったことは間違いなさそうだ

(リハーサルを聞く生徒の様子)

インタビュー

「半分ぐらい主催者のつもりでーー」

※お二人同時にインタビューを行いました。

ーーではまず、本日のイベントの感想をお聞きしてもよろしいでしょうか。伊東さんからお願いします。

伊東健人さん

まず、これまで多くの著名アーティストが出演している楽演祭シリーズに “声優アーティスト”として呼んでもらえたことが非常に光栄でした。 全体の感想としては楽しかったという感情が大きいです。お客さんの反応、オーイシさんと冨田さんと喋っていく中で、自分自身も色々な学びも得られたイベントでした。

ーーありがとうございます。次にオーイシマサヨシさんお願いします。

オーイシマサヨシさん

実はこのイベントが開催されるにあたって、まず僕にお声掛けいただいていたんですよ。
イベントの主催者から「対談とかライブとか一緒にしたい方はいますか」と聞かれたので、健人くんなんてどうかなと、提案をして今回実現しました。
なのである種ね、半分ぐらい主催者のつもりで今日はいたので、このイベント自体が成功して良かったなと思います。また僕自身もすごい楽しい時間を過ごせたので、来て良かったです。

アニサマへの思い/これから挑戦したいこと

ーーありがとうございます。続いてオーイシマサヨシさんに個別で質問をさせていただきます。

オーイシマサヨシさん

「おー怖い何でしょう(笑)。」

ーーAnimelo Summer Live 2023にて、2020-21のテーマソングである『なんてカラフルな世界!』(※2)をアニサマフレンズと披露されていたと思います。オーイシマサヨシさんがアニサマの楽曲を披露された際に、何か感じるものはありましたでしょうか。実は当日現地参加していて、ぜひお聞きしたいです。

(※2)Animelo Summer Live 2020-21(アニサマ)のテーマソング(『なんてカラフルな世界!』)の作詞・作曲を大石昌良が担当した。

オーイシマサヨシさん

来ていたんですね! そうですね、「あのアニサマが帰ってきたな」という感じはありました。やっぱり声が出せるということがあのライブ会場の色彩を担っていたのだと思ったのを覚えています。
すごく感動的で、あの『なんてカラフルな世界!』を歌ったことによって、アニサマに色(カラー)が帰ってきたな、という気持ちになれたのは非常に嬉しかったです。
ある種、あのセットリストも賭けではありました。「過去のイベントテーマソングを自分が歌う」ということを今までどのアーティストもやったことがなかったと思うので、チャレンジでした。その中でもお客さんがしっかり優しく受け止めてくれたので、非常にハマった感じがあり、僕自身も感動しました。

『なんてカラフルな世界!』が初披露された2020-21では新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインにより声出しが難しく、観客が声出しできない状態での披露となった。2023に声出し解禁されたため、自身のセットリストに本曲を入れ、声出しができる状態で披露された。

ーー続いて、伊東健人さんに質問をさせていただきます。アーティストデビューから1周年ということで今一番挑戦していきたいことは何でしょうか。

伊東健人さん

こう聞かれるとポンポンポンと一気に3つぐらい出てきます。まずは「ライブ」とか「アルバム」とか「タイアップ」とかをやりたいですね。 (隣にいるオーイシさんを見て)そう、オーイシさんの曲のつくり方や作家への向き合い方に本当に頭が下がる思いでいつも聴かせてもらっているので。

オーイシマサヨシさん

本当?(笑)

伊東健人さん

本当ですよ(笑)。
だって、アニメの作品を全部見て作るといった曲の作り方が必須かと言われれば、そうではないじゃないですか。

オーイシマサヨシさん

まあまあそうね。

伊東健人さん

オーイシさんのその考えは前々から聞いていて、自分もそういう風に作品と向き合えたらどんなに素晴らしいことだろうと思います。
ただ、一朝一夕ではなかなかたどり着ける境地ではないので、「いつかその背中にちょっと指先だけでも触れることができたら最高だな」ぐらいの意識ではあります。
そういったことももちろん挑戦したいって気持ちはずっとありますし、まだやれていないことの方が多いので。アルバムもやっていないし、リリースイベント内でのライブはやったけど、ライブメインとしてはやってないんですよね。
2024年は活動を始めて1年が過ぎ2年が見えてきている年なので、今年こそは”絶対やる”という気持ちでいます。

ーーお二人ともありがとうございます。

自分らしさとは

ーー次はお二人に質問させていただきます。私はオーイシさんと伊東さんは本当に型にはまらないお二人だなと感じていて、そんなお二人が考える自分らしさを教えていただきたいです。ではオーイシさんからお願いします。

オーイシマサヨシさん

僕からですか(笑)。自分らしさ…そうですね。
僕は「目線」かなと思っています。
例えばそれは、ステージ上での目線といった物理的なことではなく、ずっとファン目線であること、基本的にはステージから降りている人の目線であることが、僕は自分らしさかなと思っています。
要するに何かお客さんと一緒に楽しむにしても、やっぱりアーティストという1段上からの感じではなくて、みんなと一緒の目線で作品も楽しむし、アニメソングも楽しむし、ライブ自体も楽しむんです。そういうエンタメを目指しているので、そこはブレずにやっていきたいと思います。そしてちょっとでも僕が偉そうになったらハリセンで叩いてほしいなと思っています(笑)。健人くんはどうですか。

伊東健人さん

なんでしょうね。正直、見つけられてはいないです。やっぱり色々な面があるので。
声優としてと、声優アーティストとしての自分らしさって何だろうと考えるとちょっとずつズレてきます。正解もそれぞれ異なるだろうなと思っているんですけど、声優アーティストとしての自分らしさを言うのならば、音楽オタクと、アニメ漫画ゲーム作品のオタク、両方を突き詰めた存在になりたいと思うんです。
わがままです。欲張りですけど、欲張りなまま突き進んでいきたい。
誰も見たことのないところに、自分は行ってみたいなという気持ちがずっとあるので、それこそ今は想像しづらいくらいがよくて。今までこういう人はいなかったなというところをやっぱり目指し続けていきたいですね。
そう考えるのは、周りに天才ばかりいるからなんです。声優アーティストと呼ばれる人もどんどん増えてきていて、一般的になってきていると思いますし、きっとそのスピードを緩めると置いていかれるのでその気持ちを持っています。
あとはイベント中にあったオーイシさんのポジショニングの話(※3)と同じなんですけど、それはずっと考え続けなければいけないなと思うんですよ。

オーイシマサヨシさん

そうですね…。一番大事かもしれないからね。

伊東健人さん

そうなんです。自分はどこがいいのかというのは常に考え続けながらも、1年、また1年と、ちょっとずつ変わっていって、ここのポジショニングでは今自分が1番手ではないのかもしれないと客観視して痛感させられる。そういう出来事というのは今までもあったし、これからもあると思うので、そこは柔軟にいきつつ、頑ななとこはそのままでいきたいですね。そのやり方で自分がどうなっていくのかは、自分も楽しみにしていると言っていいかもしれないです。
結局は決まってないってことです(笑)。

(※3)本イベント中に出てきた話題。気になる方は前編へ

経験が未来に繋がっている。全ては無駄にならない。

ーー最後にこの記事を読んでくださっているN/S高生、N中等部生に向けて一言お願いします。

オーイシマサヨシさん

今のうちにたくさんのスキルを得ていった方がいいかもしれませんね。まあやりたいことがあったとしても、歩を進める時にたくさんの壁にぶち当たると思うんですけど、その壁を回避する方法は色々あると思います。
壁をよじ登ったりとか、回り道したりとか、穴を掘ったりとか。
そういう一つ一つの動作が、今の中高生の時代に培われるものが結構多いです。僕の場合だったらアコースティックギターや歌の練習をしていましたとか、曲を作っていましたとか。
そういうのが30年後の未来に繋がっていると思うので、何か技術や今の自分ができることをたくさん、若い脳みその中で磨いていくのが一番やるべきことなのかなと思います。
是非、今のうちにたくさん経験されて色々なスキルを磨いていただければと思います。オーイシでした!

伊東健人さん

オーイシさんと重なる部分もあるんですけど、今思い返せば中高生のころは本当に無駄なことが何一つないんですよ。例えば「え、そこが繋がるの?」って思うようなこと。自分だったら小中そして高1まで野球をやっていたんですけど、高1の頃からはバンドも始めて、バットとギター両方担いで野球部行っていたのですが、それが当時の野球部の顧問に見つかってしまい、どちらかにしろと言われてしまい…。
その時は1週間後にライブが控えていたこともあって、野球部の方を辞めたんですよ。
でも、野球をしていた時に培われた、喉の強さや体力はすごく今に活きているので…考えようだと思うんです。それまでの経験を無駄とするかそうでないか、心の持ちようだと思います
他にも仲間内で映画を撮っていたりだとか…。

オーイシマサヨシさん

すごいですね。

伊東健人さん

当時から考えれば、今、この仕事をやるとは思ってもいなかったですけど、結局そういう経験が今に繋がっているんだなと思うので、今やっていることはきっと将来に繋がります。それは遊びでもいいです。
でも、そう言われてもなかなか素直に受け取れない年頃だろうなとも思うんです。
僕も当時の自分にそれを言われたら「そんなわけないだろ」と思っていただろうし。
だから今はそう思っていても大丈夫です。将来、ふとした時に思い出す時が来ると思うので、なるべくネガティブに受け取らず、何事もポジティブにやってほしいなって思いますね。

オーイシマサヨシさん

間違いないね。

伊東健人さん

『興味ない』と思ったことでもやってみたら、将来には活きる。絶対に活きると思うので、今は納得できなくてもいいから、何となく頭の片隅にでも覚えておいてもらえると、僕としては嬉しいかなと思います。

ーーお二人ともありがとうございました。

おわりに

人は咲いた花に注目するが、花が綺麗なのは幹があり、根があるからだと再確認した。
オーイシさんや伊東さんの今の活動を支えているのは過去の活動だった。今、未来に繋がるかわからない努力や活動も、熱を注いだものは必ず未来に活きてくる。だからこそ私たちは今、好きなものでも苦手なものでも精一杯熱を注いで頑張るべきなのであろう。

また表舞台を作る裏方も幹であり根だ。華やかな表舞台の裏…一見地味に思えるだろうか?私は今回の取材で、表舞台と同じくらい裏方がかっこよく、華やかに見えた。全員が自分にしかない役割を持ち、淡々と冷静に自分が持つ技術を活かしている。

とてもかっこよかった。私は音楽にさほど詳しくも無く、仕事の種類は分からなかったが、全員がイベントを作り上げるために必要な存在なのだろうと感じた。

最後に、貴重なリハーサルの見学とインタビューの機会を作ってくださった学園スタッフのみなさんとイベントプロデューサー・野澤さん。インタビューを受けてくださったオーイシマサヨシさんと伊東健人さん。私たちN/S高生と多くのコミュニケーションを取ってくださった冨田さん。その他関わってくださった全ての皆様に感謝申し上げます。

ありがとうございました。

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