生徒会主催「歌舞伎鑑賞ツアー」取材レポート!! 歌舞伎日和の5月9日
生徒会主催で“歌舞伎を鑑賞”するリアルイベントが開催されたことをご存じだろうか。
開催された5月9日は晴天。陽の光が眩しく、まさしく絶好の歌舞伎日和、と言っていいだろう。
114名の応募があり、そのうち30名が当選し開催された、生徒会主催「歌舞伎鑑賞ツアー」。
今回はこのイベントをN/S高新聞実行委員としてレポートしていこうと思う。
歌舞伎座タワーに到着!!
参加者の集合場所は歌舞伎座タワーの7階。
そもそもなぜ歌舞伎座タワーなのか。実はここには、角川ドワンゴ学園のオフィスが入っているのだ。
歌舞伎座タワーに入って最初に見えるのは大きなエレベーター。
そこから7階まで上がると、セブンイレブンやビルから外観が見渡せるベンチがあるフロアに辿り着く。
そこにもまたまた大きなエレベーターが。
スタッフさんについていき、案内されたのは12階のとある部屋。角川ドワンゴ学園の会議室の1つだった。
そこには、先についていた参加者とこの企画の立案者であり今回のツアーの案内人のヨンペイさんの姿があった……!!
「はじめまして!石黒ヨンペイです!」という明るい挨拶と共に、一人一人に下の画像の名札とペンが配られた。
ヨンペイさん手作りの名札で、紐は歌舞伎を意識したらしい。
用意された席に座り、名札に名前を記入する。
これでツアーの準備は整った。あとは参加者全員が集まるのを待つだけだ。
この時は集合した直後ということもあり、まだまだ全体的に緊張した雰囲気が走っていた。
これを見て少しだけスクーリングのピリっとした雰囲気を思い出したのはここだけの話だ。
少しだけ不安を抱きつつ、開始を待った。
今回の企画目的をインタビュー
開始までに少し時間があったために、ヨンペイさんにインタビューをしてみた。
歌舞伎鑑賞ツアーを行う目的を教えてください。
私自身、歌舞伎を見て、いろいろ日本の文化とか江戸時代のこととか学べたので、皆さんにも歌舞伎を見ることで日本伝統文化を知ってほしいと思っています。
あとはやっぱりどうしても値段が高い。一番安い席で4,000円ですよ?
まあ確かにそれくらいの価値はあるんですけども、どうしても敷居が高いなっていうところがあり、普段鑑賞したくてもできない方に機会を与えたくて、企画させていただきました。
それと、やはり私は生徒会役員になる前から「この企画だけは絶対にやろう」とずっと公約で掲げてきたものですから。
歌舞伎以外でも日本の芸能だとたくさん種類があると思います。生徒会の企画として歌舞伎を選ばれた理由は何ですか。
少し前に初めて歌舞伎を見まして、とても感動したんですよ。例えば男性が女性の役を演じるんですけども、女性にしか見えないわけですよ。
歌舞伎は日本で最大級のエンターテインメントで、世界で言うミュージカルのような芸能だと私は思います。
それに、歌舞伎っていうのは、他の日本の芸能と比べると超キラキラしているんですよね。
衣装も豪華、そして踊りも豪華、全てが華やかなんです。
私は本当にキラキラしたものが昔から好きで、歌舞伎のキラキラ感をみなさんに体験していただきたいなと思ってます。
この歌舞伎を見た上でみんなにどうなってほしいとか、どういう考え方をしてほしいみたいなことってありますか。
この機会に歌舞伎の面白さを知って、周りに広めていただきたいなと。
そうしてまた歌舞伎に触れたことがない若者や、まだ歌舞伎を見たことがない方にも歌舞伎座に足を運んでいただけたらないいなと思っています。
ヨンペイさんのユーモアのおかげで所々笑い声が聞こえながらも5分ほどでインタビューを終えた。
ちょうど参加者が全員集まり、ついに歌舞伎鑑賞ツアーが始まった。
手始めにクイズを!? 歌舞伎鑑賞ツアー開始!!
「本日はよろしくお願いいたします!!」
再びヨンペイさんが挨拶をし、参加者の拍手の中スライドを進める。
ヨンペイさんからの自己紹介、ちょっとした世間話、鑑賞する歌舞伎の演目の紹介などを話した後、私ばかり話しているんじゃつまらないのでね、と言いながら、参加者を見渡す。
そのあと聞こえたのは、彼の大きな声だった。
歌舞伎クイズー!!
トントントンと手持ちの和太鼓と拍手の音に、少し心が揺さぶられた。
全問正解者にはなんと、豪華景品があるということで……
彼の手から取り出されたのは”石黒ヨンペイ写真集2023”。思わぬ景品に会議室は笑いに包まれた。
ぜひ全問正解を目指してゲットして欲しい、と伝えつつ次のスライドに切り替え、早速クイズが始まった。
私も「クイズに負けたくない、勝ちたい!!」という思いで、記事用の写真を撮りつつひっそりクイズに参加することに。
ここからはクイズの様子を少しだけ紹介するので、参加者の気分になって一緒に解いてみていただけると幸いだ。
さて、1問目に出された問題は……?
歌舞伎には何年の歴史があるでしょう?
①約100年 ②約200年 ③約400年
「なんとなく中学校の音楽で習ったような」そう思った人たちも多かっただろう。
なんとか昔の記憶を辿り、与えられた10秒の中で私が捻り出した答えは……③だ!!
さて、そろそろ投票が始まる。
ドキドキを運ぶように、ヨンペイさんの声がした。
では、そろそろ答え合わせと行きましょうか!!①だと思う人!!
誰も手を挙げていない。これはひとまず大丈夫だな……。
ほっと胸を撫で下ろす。
誰もいませんね! じゃあ②だと思う人!
おっとここで少し多めに手が挙げられた。
少し不安になりつつも、まだこれは想定範囲内、まだ大丈夫と自分に言い聞かせる。
次がいよいよ③だ。
じゃあ最後、③だと思う人!
おおおっと!? かなり手が上がっている、これは……かなり正解に近いのでは!?
おお!! 多いですね!! では答え合わせと行きましょう。
緊張の瞬間。目にぐっと力が籠る。
クイズをここまで真剣に楽しんでいるのは久々かもしれないと思いながら、耳を澄ました。
答えは……まさかの①!!
ええ!? と生徒も職員も目を凝らした瞬間、
ではなく③の約400年です!!
参加者「おー! 」
どっちやねん!! と危うくツッコミそうになったが、それよりも正解したことに嬉しさを覚えた。
こんな調子でクイズは第7問まで続き、大盛り上がりで幕を閉じた。
全問正解者はいなかったため、残念ながら(?)ヨンペイさんの写真集を手に入れられた人はいなかったが、だんだんと参加者の笑顔もみられるようになってきた。
そして、ついに歌舞伎座への移動を開始する。
ここまで出てきた学園のオフィスについてもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめ。
https://nshigh-news.jp/2023/02/6166/
まるで違う次元にいるかのよう……歌舞伎座に到着
歌舞伎座に到着すると、そこはまるで別次元かのような世界だった。
大きな建物に圧倒されながら、私たちはチケットを受け取りいよいよ入場した。
歌舞伎の世界へ引き込まれて
開演5分前のブザーが鳴り、観客も大半が席へ着き始める。
今回N/S高生に用意された席は、”1等席”。”1等いい席”でもあるが、何より演者に近い席だった。
残念ながら花道からは少し遠かったが、それでも十分舞台には近く、開演に期待が高まる。
11時になり、会場全体が暗めな照明に切り替わった。
ちょうちんが先ほどよりも強く優しく光を灯しているのがわかる。
和太鼓の音と共に定式幕※が上手へ流される。
拍手の中に幕の擦れる音が混ざり、今までに感じたことのない心のうごめきを感じた。
1演目目は「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」。
既に舞台に並んでいたのは、10人の立役と屋敷。小さく響く声が観客の目を惹きつける。
話が進んでいくと共に、順調に屋敷に登場する人も増えてきた。
その中でも明らかに異質なもの、それはまるで本物の女性であるかのように、私たちの意識を引き寄せた。
顔全体におしろいを塗り、女性を演じる女形(おやま)だった。
ーー例えば男性が女性の役を演じるんですけども、女性にしか見えないわけですよ。
インタビューの際、ヨンペイさんが発した言葉が蘇る。
女型は人形のように座ってほとんど動かず、日常生活だと逆に不自然なはず。それでも演技をしているということすら忘れさせ、美しさと儚さを感じさせる姿に圧倒された舞台だった。
休憩タイム! お腹すいた!?
あっという間に1つ目の演目を終え、休憩に入ると、周りにはゾロゾロと外へ向かう人たちが。
なんとなくついていってみると、そこにはお土産にお弁当、お菓子などが並んでいた。
ここのお弁当は美味しいって有名だよ!
えー!買おっかな……
こんな会話も見られ、生徒同士の交流も数多く見られていた。
売店に並び、弁当の値段を見てみると……
1200円。
磁石祭でお財布が寂しい今の私には、流石に手が出せず諦めることにした。
しかし、お弁当を買っている参加者を発見。
早速感想を聞いてみると、「めっちゃ美味しいです……! 」とのこと。
いよいよ本格的にお腹が空いてくる。
私はというと、弁当の代わりに抹茶味のもなかアイスを購入(390円)。
あずきがアイスの上に入っている、少しばかり高級なもなかアイス。
甘さとあずきの渋さがマッチして、舌がとろけてしまいそうだった。
溶けなければお土産にしたかったのだが、アイスだから仕方がない……。
その後、歌舞伎鑑賞は続き……。
2演目目は「若き日の信長(わかきひののぶなが)」。
信長が四つの舞台で孤独や苦悩を吐き出す本作。暗さの中に信長の人間らしさが現れており、強く感銘を受けた。
3演目目は「音菊眞秀若武者(おとのきくまことのわかむしゃ)」。
初舞台の尾上眞秀が若武者を演じた。自分たちよりも若い役者に愛おしさも感じつつ、まだ小さい体で舞台を背負う背中に、強さを感じた。
最後に「また観たい!」鑑賞終了後の感想交流
上演が終わり歌舞伎座を出た後、生徒同士で感想を共有し合う時間となった。
人それぞれ感じ方の違いがあり、意見交流が盛んに行われていた。
参加者の中には歌舞伎のそれぞれの演目が終わった後に、メモを取っている人も。
さまざまな感想が飛び交う中、参加者は笑顔に包まれていた。
また、SNSを交換する様子もみられ、このイベントをきっかけに友達ができた、という人もいたようだ。
初めの緊張感が漂う部屋からは想像ができないくらい、和やかで楽しげな雰囲気の中、歌舞伎鑑賞ツアーは幕を閉じた。
ツアー終了後、参加者にインタビューを行った。
参加生徒の声
初めは歌舞伎を見るのに18000円※3って高いな、と思っていたのですが、自分が思っていた以上に迫力があって、演奏も臨場感に溢れていて、この値段でも問題がないように感じました。
歌舞伎の400年の歴史を感じられました。
今のように機械やインターネットが発達していない時代に、観客にどれだけのものを見せられるかというところをとても工夫されていると感じました。
実は友達にお土産を買ったんですよ。
それを「歌舞伎楽しかったよ!! 」って渡そうと思って!
みんなに伝えたいと思います!!
一番最後の演目(音菊眞秀若武者(おとのきくまことのわかむしゃ))が一番印象に残りました。私より年下なのに、この人が将来歌舞伎を担っていく人なんだなって思って。
見られたことにすごく感謝しています。
※3一等席の値段が18000円。今回のイベントの参加費は席料金含め無料。
また、インタビューの最後にはこんな質問も投げかけた。
また歌舞伎を見たいですか?
インタビューに答えてくれた参加者は、皆口を揃えた。
「見たいです!!」
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