トークセッションレポ 「元N_S高生に聞く! ぶっちゃけ理系進路ってどうなの?」
文=Яita(りた)(N高5期・ネットコース)
夏がもう少しで終わりを告げますね。今年の夏はどんなことをして過ごしましたか?
夏は多くの学校がオープンキャンパスを開催します。そんな中、8月のはじめに進路系トークセッション、「元N/S高生から聞く、ぶっちゃけ理系進路ってどうなの?」 が開催されました! テーマは理系進路について。僕は高3で理転(※1)したので、興味津々です。いち参加者として参加して得た情報をお伝えします!
※1 大学受験で志望する学部について文科系から理科系に転じること
ゲスト
難波 蒼(なんば あお)さん
- 大学:東京農業大学 生命科学部 分子微生物学科 1年生
- 出身:N高オンライン通学コース
- 好きな科目:ダントツで生物!
- 趣味:読書・編み物
最近はコースターやブランケットを編んだそうです!
今回は2人の方がお話してくれる予定だったのですが、もう一人の方はお休み……ということで、急きょN/S高出身で理学部に進まれたファシリテーターのもえさんもゲストの蒼さんと一緒に自身のお話をしてくれることになりました!
もえさん
- 大学:立教大学 理学部 数学科
- 出身:N高ネットコース
- 好きな科目:ダントツで数学!
- 趣味:音楽
大学ではDJサークルに入っているそうです!
学習について
どんな授業があるの?
【蒼さん】
1年生の前期は専門性のない授業が多いが、後期になると微生物学や基礎化学実験の授業が受けられる。
生物をやりたくて大学に入ったのに前期には嫌いな化学がありました(泣)。
<専門ではない授業の例>
・農学概論:必修授業 用水路の役割など、農業のことをひたすら勉強する授業
・死をめぐる民俗信仰の諸相:特別授業(※2) 心霊スポットについて真面目に考えるなどといった授業
※2 他の大学の先生が来てくれて講義をしてくれるそうです。
【もえさん】
数学は1つの単元が基本的に2コマ(1コマ100分)連続になっていて、1コマ目に知識をインプットして2コマ目に問題を解いてアウトプットする。キャリア授業などもある。
最初の数学は簡単ですぐ解き終わって早く帰れたけれど、段々内容が難しくなってきてチャイムが鳴っても解き終わらない……。
<キャリア授業>
理学とキャリア:理学部全体(※3)で受けるもので、理系の研究者や理系の企業に勤める人を呼び、そのキャリアを選んだ理由や大学時代の話を聞くという授業
※3 数学科・物理学科・化学科・生命理学科
板書はノート派? PC派?
【蒼さん】
PC派もノート派もいるが、断然PC派。写真が入れられるのと、タッチペンで書けるものだと手書きでありながらデータとして保存できるというのが理由。
【もえさん】
数学科だと式を書く必要があったり、記号の打ち方が分からなかったりするのでノート派。でも、授業に慣れている先輩の中にはiPadで書いている人もいる。
課題が多そう……。
【蒼さん】
なさ過ぎて不安になるくらいない。
でも、他の理系に進んだ同期の話を聞くと結構大変だと聞く。
課題があったとしても、好きな分野なら楽しくできると思う!
【もえさん】
授業中の演習問題自体が課題となっているからか、全然ない。
他の学科の人に聞くと課題は多いらしい。
課題がないとテスト勉強の時に知識を思い出すところから始めることになるから、意外と課題はあった方がいいです。
テストは全ての授業にあるの?
【蒼さん】
すべての授業においてテストがあるわけではない。レポートの提出だけで単位を取れる授業もある。
【もえさん】
ないものもある。シラバス(※4)を見るとテストの有無が分かる。
※4 教師が学生に示す講義・授業の詳細な計画のこと
進級の制度について教えてください!
【蒼さん】
〇年生になるには〇単位とってないといけない、などといった進級の条件がある。
【もえさん】
進級の条件だけではなく、春学期から秋学期になる時にも条件がある。
例えば……
春学期にAという授業の基礎編を落としたら、秋学期にその発展編は履修できない。
2年生になってから、2年生の勉強と平行してAの基礎編・Aの発展編を取らなくてはいけない。
高校では文系を選択した人や、理系科目が特別得意ではない人でもやっていける?
【蒼さん】
大学側のサポートも手厚かったり基礎からやってくれたりするので大丈夫。
苦手な科目があっても、後期に楽しみな授業があるといったことを思い浮かべたら頑張れる。
【もえさん】
大丈夫。
好きだという気持ちがあれば何でもやっていけるし、最初の頃の授業では高校数学の内容に軽く触れてもらえるので、いきなり新しいことを学ぶということはあまりない。それに、大学で初めて触れる分野があっても、みんな0からのスタートだから問題ない。
理系の進路に興味を持ったきっかけ
【蒼さん】
小学2年生の頃の理科の授業で、微生物と出会ったのがきっかけ。
それからしばらく微生物とは離れていたけれど、進路を決めなくてはいけない時期に「微生物が好きだったな」と思い出した。思い出せたのは、家に送られてくる実験器具を使って実験をするというN高のワークショップに参加したおかげ。ワークショップでは手のひらや硬貨、ヨーグルトの菌の有無を調べた。
ヨーグルトには乳酸菌がいると思ったのに、そのヨーグルトには乳酸菌が入っていなくて変化がなかったんです(笑)。
【もえさん】
算数は大嫌いで、大学も「誰が行くか!」と思っていた。その後、東大王(※6)にハマり、勉強のできる人が格好よく見えて、自分も勉強を始めた。その結果、一番楽しかったのが数学だった。その時は数学科は考えていなかったものの、大学のパンフレットを見ていたら数学科にひかれた。
※6 TBSテレビで放送されているクイズサバイバル番組
難しくてよく分からないグラフの意味などが分かるようになりたいって思ったんです!
小学2年生で微生物が好きになったとは驚きですね。個人的にはもえさんのお話にとても共感できました。僕も算数は嫌いでしたが、結局理系に転向したんです。
ライフスタイル
【蒼さん】
今のところ、結構空き時間は多くてあまり忙しくない。3年からは研究室に配属されるので忙しくなる。
<予定の多い日>
正直自由時間は少ない。
でも、お昼休みの時間があるので、その時間はふらっとひとりで図書館に行ったり、屋上でごはんを食べられたりするのでリフレッシュはできる。大変な授業はあるけどそんな日も基本楽しく過ごしている。
<予定が少ない日>
自由な時間は、趣味の読書や編み物をひたすらする日もあれば、昼ぐらいまで寝ている日もあるし、「スタバの新作を飲みに行こ~」なんて日もある。
【もえさん】
今は忙しくないけれど、3年生や4年生になると卒業論文のために動きだすので忙しくなる。
教職課程(※5)を取ると結構忙しくなるイメージはある。
※5 教育職員免許状を取得するのに必要な単位を修得できる課程
<予定の多い日>
1限は8時50分からだが、準備に2時間掛かるので6時30分までに起きる。帰りは17時頃になるので冬だと外が暗いこともあるけれど、その時間だとスーパーでおそうざいが割引価格になっていて丁度いい。授業と家事だけこなす日。
<予定が少ない日>
2限目だけあって17時からのサークルまでバイトをしている。一番大学生っぽい日。一日がっつりの休みはないけど、空き時間はそこそこある。
理系でも意外と自由な時間が多いのですね。リアルな日々のお話をきいて大学生活に憧れを抱きました。
大学生活を送る中で
大変なことは?
【蒼さん】
朝行くこと。
自由な時間に起きても大丈夫なN高での生活に慣れてしまっているので、1限から行くことは大変。
【もえさん】
蒼さんと同じく、朝行くこと。
必修の授業が1限からある日もあるので、前日にバイトが夜遅くまであるときは大変。
楽しいことは?
【蒼さん】
仲間と分かり合えること。
大学は中高時代閉じ込めていた自分を解放しても許される居心地のいい場所。
ミジンコの話とかしても気持ち悪がられず、「かわいいよね!」って。
【もえさん】
マニアックな話題で盛り上がれること。
お昼ごはんの時間に「○○関数が超面白い!」といった会話が聞こえてくる(笑)。
加えて、大学は部活やサークルがたくさんあるので新しいことを始める絶好の機会だと教えて頂きました! 学科での授業だけでなく、学科を超えた部活やサークルの活動にも楽しさがあるのですね。
受験について
今の大学はどうやって見つけた?
【蒼さん】
微生物について学べる大学をひたすら調べた。国立が多かったけれど国立はハードルが高かったので、自分のレベルに合わせて学校を探した。その時『東京農業大学』を見つけ、いろいろ調べるうちにその大学の良さを知って決定した。
場所ではなく学力とやりたいことで選んだ。
微生物学で調べても、生物学までしか学べないなどといった学校も多く、なかなか見つからなかったけれど粘りに粘って見つけた。
妥協しない方がその後の大学生活は楽しくなると思います。
【もえさん】
大学に行くことを決めたのが遅くて夏休みに大学探しをしていた。地元には理系の大学より文系の大学が多くて地元の近くでは行きたいところが見つからなかった。そんな時、N高の大学オンライン合同説明会が開催され、すべての学校の説明を受けた。今通っている『立教大学』の最初の印象は「キャンパスが綺麗だな」。調べてみると、数学科があったのでそこに決めた。
いろいろな大学を見ることをおすすめする。全然行く気のない大学もオープンキャンパスには参加した。大学のキャラクターのグッズをもらうことで勉強のやる気も上がる。受験当日は共に頑張ってきたぬいぐるみたちをカバンに忍ばせて受験会場に行った。
数理学科とか情報数理学科はあっても、数学科は少ないんですよ。『数学科』という文字を見た瞬間、「これだ!」と思いました。
大学入試の方法は?
【蒼さん】
公募推薦
公募推薦では小論文と面接試験がある。小論文のテーマは「微生物をこの世に役立てるために大学内外で何をしたいか」といった内容だった。
受験対策については、総合型選抜で一度落ちているのでそれが練習になったし、N高の小論文添削や模擬面接といったサポートをたくさん利用した。
【もえさん】
一般入試の共通テスト利用入試と独自方式の両方
数学科、物理学科などは多くが筆記試験のため部分点がもらえるので、分からない問題でもとりあえず公式を書いてみるといい。
元N/S高新聞実行委員のもえさんは過去に大学受験に関する記事を書かれています。ぜひこちらも併せてお読みください!
まずは、自分の本当にやりたいことを見極めること。そして、色々な大学のオープンキャンパスや説明会に参加して情報を集め、本当に「行きたい」と思える大学を選ぶことが大切だと感じました。
周りの大学生
【蒼さん】
自宅で培養をしすぎて家が菌だらけの人やミドリムシを飼っている人がいる。
あとは学科は関係ないけれど、廊下で筋トレをしている人や普通の服装に足袋と草履を履いてくる人がいる。
靴と靴下だけタイムスリップ
【もえさん】
毎日公式が書いてあるTシャツを着てくる人や地震があるたびにグループラインでマグニチュードの数値を送ってくる人がいる。
微分・積分の小テストの日に積分のTシャツを着てきてカンニング疑惑
なかなか個性が強くて面白そうですね(笑)。
まとめ
今回のトークセッションでは2時間、余すことなく理系進路について語られました。
理系進路の魅力やタメになる情報が盛り沢山だったと思いますが、いかがでしたか?
僕は200分連続で数学の授業があるときいてちょっとだけ怖くなりましたが、好きな気持ちがあればいけるというので頑張ろうと思いました!
この記事にまとめた内容を進路選択などに役立ててもらえたらうれしいです。
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