メンタルヘルスってなんですか?〜海外ゲストに聞いてみた〜(前編)    What is Mental Health?~Asked International Guests~ (Part 1)

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取材・文=ひーさん(N高6期・通学コース)

     桜良(N高6期・通学コース)

     yunana(N高7期・ネットコース)

     Hiwa(S高1期・ネットコース)

     yuna(S高1期・通学コース)

写真提供=NPO法人インビジブル


”メンタルヘルス”という言葉をご存知ですか?

医療の言葉? 心の問題? 日常生活ではあまり聞かないですよね。

私自身、上記のように問われてもよく分かりませんでした。

「何がメンタルヘルスになり得るのか。」

私たちはあるプロジェクトを通してメンタルヘルスの在り方を調査してきました。それが「UI都市調査プロジェクト(※)」です。

UI都市調査プロジェクト(※)

ウェルカム・トラストが主催する、メンタルヘルスの理解と議論を根本的に問い直し、再検討することを目的に、パートナーと協力する国際文化プログラム「マインドスケープス」の一つ。

各都市の文化とメンタルヘルスの関連を調査するアートプロジェクト。

ニューヨーク (米国)、ベンガルール (インド)、ベルリン (ドイツ)、東京 (日本) の世界 4 都市で開催。

東京は、マインドスケープス東京(以下、MTW)と呼ばれ、

・食×メンタルヘルス

・日本建築×メンタルヘルス

・映像×メンタルヘルス

・撮影記録チーム

の4チームで各ジャンルのアーティストとN/S高生総勢21名で行われた。

もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!


チームごとに形にした調査結果を、このプロジェクトに関わりのある、いろいろな分野で活躍されている海外の方3名が見に来てくださいました!

みんなの集大成を見ていただいた後に、「アートって何?」「メンタルヘルスって何?」 「日本ってどんな印象?」などをゲストの方に、新聞メンバー+同じユースメンバーである、伊藤ちゃん、みつきと一緒にインタビューしました!

Anthea Longo(アンテーア・ロンゴ) 

アンテーアさんは、イギリスの首都ロンドンを拠点とするウェルカム・トラストの文化パートナーシッププロジェクトオフィサーとして活動。

Margareta von Oswald(マルガレッタ・ボン・オスワルド)

マルガレッタさんは、ドイツの首都ベルリンを拠点に人類学者として活動。                   マインドスケープスの研究員。

Priya Basil(プリヤ・バジル)  

プリヤさんは、ドイツの首都ベルリンを拠点に作家として活動。

政治活動家としても活動。

プリヤさんは、ライター・イン・レジデントとしてマインドスケープスの活動拠点4都市を中心に周り、メンタルヘルスについて調査した内容をまとめたものを出版予定。

インビジブル(※)所属で、プロジェクト・コーディネーター(インターナショナル ・ リレーション、MTWユース実行委員会 )のたきさんから、「3人とも日本のユース……高校生の皆さんに聞きたいことたくさんあるってさ!」とお声かけをいただき、インタビューが始まりました。

インビジブル(※) NPO法人インビジブル。「invisible to visible(見えないものを可視化する)」をコンセプトに、アートを触媒にしたプロジェクトをつくり、個人が持つ可能性を拡げる活動を展開している。

ウェルカムトラストと共同主催者として「UI都市調査プロジェクト」の事業の企画運営を担っている。


ーー今日どういったことを知りたい、聞きたいと思ってきて下さったんですか?(みつき)

アンテーアさん

皆さんが、UI都市調査プロジェクトでどんな活動をしてきたのか、知りたくて来ました!
プロジェクトについて聞きたかったことのほとんどは、みんなの調査結果の中に答えがありました。
しっかりした発表を本当にありがとう!

食×メンタルヘルスの調査結果
調査テーマ〜”こころを扱う場”を求めて〜
食×メンタルヘルスの調査結果の「みそしる点前」パフォーマンスを体験している様子
日本建築×メンタルヘルスの調査結果
調査テーマ〜究極の寝床を作る〜
各々で作られた究極の寝床を紹介している様子
映像×メンタルヘルスの調査結果映像作品を視聴している様子
調査テーマ〜「フツウ」ってなに?〜
映像作品を視聴している様子
目次

どんな人なのか知ってみよう!

ーー皆さんはどういったお仕事をされているんですか?(yuna)

アンテーアさん

役職的な意味でいうと”パートナーシッププロジェクトオフィサー”

プロジェクトの責任を持ち、運営や管理を担当している人々が協力し合う関係を作るような仕事です。
元々このプロジェクトの基盤、お金を出しているウェルカム・トラストの人間です。
プロジェクトマネージャーという仕事の上で、アートとかカルチャーに関する部分の担当をしています。

マルガレッタさん

人類学のキュレーター。

キュレーターというのは、展覧会を作ったりするお仕事っていうのが簡単かな。
このマインドスケープスはベルリンとベンがルールとニューヨークでも開催してるのだけれど、ベルリンで、マインドスケープスに関わっていたメンバーです。

たきさん:人類学ってみんなわかる?

私たち:人類を学ぶ……?

マルガレッタ:yeah!(笑)

プリヤさん

ライター、小説家

エッセイや小説、ノンフィクションなどいろいろな文章を書くライターのお仕事をしています。

日英の通訳のサポートをしてくださった、たきさんに言葉を繋いでもらいながら、ドキドキの座談会インタビュー!

メンタルヘルスやアートの国ごとの捉え方

メンタルヘルスが何かを探るために、ゲストのみなさんが考えるそれぞれのメンタルヘルスを聞いていきます!

ーーみなさん違うご出身なのでそれぞれ受けてきた教育の違いや、国ごとの価値観の差があり、アートの考え方だったり、メンタルヘルスの捉え方が違うのかなと思いました。(hiwa)

プリヤさん

実際このプロジェクトに関わるまでメンタルヘルスという言葉に対して関与したり、考えたりすることはなかったです。
でも実は母が病気を持っていて、鬱などの言葉は知っており、使っていました。
アートとメンタルヘルスに関しては……はっきりと分けては捉えていなかったかもしれないです。

アートというのは、私の中では何かを表現するという解釈。
自分で自分自身の心に触れるプロセスを作り上げたとき、作っているとき自体をアートと捉えています

自分に目を向けるという意味では、その活動そのものがきっといいことだろうし、取り組むという意味では、共感性を感じます。

アンテーアさん

私はイタリアで育ちました。
メンタルヘルスなんてイタリアでは誰もそんなに話すことはなかったです。
真剣に、考えられたり、話されるということもあまりなかったです。
入院するくらいまで病状が悪化しないと、気にかけられない程度のものでしたね。

しかし同時に、イタリアにおける”アート”というのは、社会の基盤として、とても大事なものとして扱われています。アートの重要性やその価値については、国民みんながわかっているというバックグラウンドがあります。

今は、アートの歴史をすごく大切にしている分、現代アートとして名を出すことは難しくなっています。

若い作家が生まれにくいんです……。

最近は、メンタルヘルスというよりも、Well-being(※)においての、アートの価値っていうものが段々と認知されてきているように感じていますね。

well-being(※) ウィルビーイングとは、幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態のこと。

マルガレッタさん

私もプリヤさんと同じく、メンタルヘルスというものを教えられた機会とかもなかったです。
私は父がミュージシャンなので、元気がない時などは音楽がきっと何かの助けになるよ、と言われて育ちました。

いつも、その言葉をアドバイスとして信じているし、個人的には、1番アートとメンタルヘルスが交わる部分だったと感じています。

ーー日本だと、アート自体はそこまで大事にされているわけではないと思いますし、メンタルヘルスに関しても同様に、最近になって考えられてきていると個人的には感じています。海外から見て日本のそういった部分はどのように感じていますか?(hiwa)

マルガレッタさん

日本のことは本当に知識も何もない状態っていうのが正直なところですね。
唯一知っていたのは、インビジブルのチームが事前に送ってくれた「こういうとこ行くといいよ!」みたいな案内とか、それくらいの情報でした。

ベルリンで、自分のプロジェクト内でやりたかったのが、”食”。食とメンタルヘルスを本当にやりたかったんです。
それと、睡眠の方にもすごく関心がありました。今回の展示でどのようなものが見られるか、前からとても楽しみにしていましたよ。

アンテーアさん

実は、私も人類学やってたんですよね。

そのときに日本にフォーカスを当てて、研究をしていました。
特に、外と内っていう概念を研究していましたね。
その経験があるので、日本においてのメンタルヘルスの考え方としても、内側と外側みたいな概念があるのだろうという想定はありました。

メンタルヘルスに限らずだとは思うんですけど、外から見ての日本の一つの問題というか課題は、”人に迷惑をかけない” といったような過剰な意識っていうのもあるかもしれないですね。
もちろん、尊敬があるからこその言葉だと思うけど。

プリヤさん

私も正直、日本に対しての知識があるかないかで言ったら、そこまであるわけではないです。
抽象的ではあるけれど、侘び寂びという考え方や、金継ぎ(※)などから受けた、自分の中でのイメージはありました。

特に金継ぎという技術からは、一度壊れてしまったものが新たな始まりとして祝福されていたりしますよね。壊れたものが生まれ変わることに美しいと感じる日本人の感性が、素敵だなと思います。

そういうものに影響されて、もしかすると私の中で、メンタルヘルスにも似たようなものが応用されているのではないかとちょっと思いました。
日本の歴史を遡ると、「腹切(はらきり)」とかが誇り高き行いであったみたいな解釈がありますよね。
おそらく真実ではないようなことも含めていろんなイメージが頭の中には実はあったりするんですね。

もちろん調査結果を見に来ていることもそうだし、このプロジェクトに関わることでメンタルヘルスについて考える機会が圧倒的に増えました。

でもそれは、ただ単にばらばらにあるのではなくて、層があるような、すごく複雑なものなんだろうなと思います。

ですから本当に今日からなんです、日本。

私自身も、この機会にいっぱい学べること、皆さんや日本に対して少しでも理解が深まるようになることを、楽しみにしています。

金継ぎ(※) 金継ぎとは、欠けたり割れてしまった器を主に漆と金粉を使って修復する日本の伝統技術のこと。 金縫い、金直しとも呼ばれ、金粉を蒔いて仕上げをすることで、継ぎ目がまるで新たな模様のようになり、世界にひとつしかない特別な器になる。

メンタルヘルスの形

ーー全然違ってしまうんですが、皆さんにとってのメンタルヘルスという形を、体で表現するとしたらどういう感じになりますか?(ひーさん)

ーーすごく難しい質問ですよね……。(ひーさん)

マルガレッタさん

今やれるかなぁって感じなんですけど、イメージは踊っている感じ。踊っている時に一番、健康な自分っていうものを感じます!(笑)。

アンテーアさん

もしかしたら日本建築の作品をみたから影響されているのかもしれないんですけど、寝ている状態がメンタルヘルスの表現に近いのかもしれません。

プリヤさん

どちらにも共感はするんですけど、何か違うことを言ってみようかな。
水の中にいる時間……重力から解き放たれている状態。泳いでいたりそういう状態ですね。

たきさん:面白いね!

マルガレッタ:good question.

インタビューの様子

前編を終えて

前編は私たちユースから海外の方3人に、「メンタルヘルスやアートについてどう思う?」だったり、「日本の印象」だったりをお聞きしました。

ここまででも情報が盛り沢山ですね!

今回少し触れた、UI都市調査プロジェクトや侘び寂びや金継ぎなど、気になる方は実際に調べてみてください!

さて!後編は、海外の方達の質問に私たちが答えます。

”メンタルヘルス”とは何なのか。

後編もお楽しみに〜!

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