【プロN】N/S高のプロジェクト型学習の『良いとこ』『悪いとこ』を生徒目線で紹介
文=なぎと(N高5期・通学コース)
N高・S高の通学コース・オンライン通学コースでは沢山のカリキュラムが用意されている。
その中でも一番大きく印象的なカリキュラムがある。
それは、「好奇心を刺激するデジタル時代の課題解決型プロジェクト学習」ProjectN(以下プロN)というものである。
高校生が社会に出て活躍するための知識やスキルを身に付ける課題解決型学習プログラム。
具体的な解決策を企画し、制作物をアウトプットします。
「プロジェクトN」を通してデジタル時代の社会で活躍できる人材を目指します。
(N高・S高公式HP より https://nnn.ed.jp/course/commute/curriculum/pbl/project/ )
N高・S高の公式HPに上記のように掲載されているとおり、プロNは本格的かつ生徒が自由に企画を立案・プロデュースすることができる。
今回は、このプロNについて生徒目線から「今までのプロジェクト紹介」「プロNの良い点」「プロNの悪い点」を挙げていく。
※今回は通学コースのプロジェクトNについての記事です。オンライン通学コースはこれらとは別のプロジェクトを行っています。
【今までのプロジェクトN一例】
事前に21世紀型スキルの授業で「傾聴力」と「デザイン思考」について学んだ後、実際にその成果をアウトプットするためにAdobeソフトを活用し、チーム毎にデザインの企画・提案をする授業。学園の職員をターゲットとし、職員が叶えたい夢を架空のマジカルフレームに映し出すプロジェクトです。
デザイン思考をベースにPhotoshopやPremiere Rushなどを使ったデジタルアートで表現。Adobe社現役デザイナーによる「デザイン思考」や「Adobeソフトを高校生が使う意義」などの講演もあり、生徒たちの心に響いた授業でした。
人気漫画「ドラゴン桜2」とコラボした、読解力を鍛える授業。ドラゴン桜2の主人公・桜木建二先生が講師として授業動画にも登場し、社会に必要な読解のスキルを教えてくれました。
文章を読んで理解するだけでなく、理解したものを要約することまでを通じて着実に身に付くスキルを学びました。
最終的なアウトプットはTEDやドラゴン桜チャンネルといった動画から得られた学びを要約したもので、最終日にはドラゴン桜2の編集者・佐渡島さんからその要約文の発表へのご講評をいただきました。
2020年7月に実施したデザイン思考の授業「新しい遊び・挨拶」をつくる授業の応用と実践として、さらにその「遊び」を人々に伝える・届ける、ということに挑戦したプロジェクト。なんと、noteさんと文化放送さんとのWコラボ! という目玉授業でした。生徒はnoteを使ってWebで発信し、そして文化放送さんの協力のもと希望制で電波も使って発信することにもチャレンジ。最終発表会に選ばれた生徒は、noteさんのイベントにも招待され、堂々とプレゼンを披露! ラジオ部門で選ばれた生徒は文化放送さんのスタジオにお邪魔し、本物の声優さんが収録している様子を生で拝見したり、「ガヤ」をみんなで吹き込むなど、とても楽しく素敵な経験をしていました。
新しい「フリマアプリ」の代名詞として多くのユーザーを獲得しているメルカリ社から「20年後の価値交換を支えるビジネスやサービスを考えること」と言うミッションをいただき、N高生がチームごとに企画・提案をするコラボ授業を行いました。
制作途中では、メルカリ社からの講義やフィードバックをいただき、活発な質疑応答をしながらミッションへの取り組みを進め、全国オンライン発表会から選出された9チームが、メルカリ本社にて役員の方へプレゼンを行い、高い評価をいただきました。
N高通学コースのキャンパスをデザインしている、株式会社船場さんとのコラボ授業。3Dモデリングでオリジナルのキャンパス設計にN高生が挑戦しました。
船場さん特製のN高制作キットを使ってキャンパスを再現する授業や、全国中継で船場さんにご講演いただき、空間デザインの醍醐味や、キャンパス設計のヒントやコツを教えていただきました。
授業の最後にはN高生それぞれが作り上げたキャンパスを発表。3Dで再現されたアイデアいっぱいの作品発表で大いに盛り上がりました。
高架下という街のデッドスペースを、デジタルとリアルを融合させ、もっと快適に楽しく過ごせる商業エリアにする企画を提案する授業を、ジェイアール東日本都市開発さんとのコラボで行いました。
家の中で何でも出来てしまう今の時代に、敢えて商業施設へ足を運びたくなるようなアイデアを試行錯誤し、地域や社会への課題意識をN高生たちが磨きました。
ジェイアール東日本都市開発の方からリアルな経験談をお話をしていただいたり、ゲストをお呼びしたチャレンジプレゼンも実施し、とても有意義かつ満足度の高い授業となりました。
単に洋服のデザインを考えるのではなく、SDGsの視点で服飾業界の課題を学び、生徒が考えるターゲットに相応しい「持続可能な洋服とは何か?」を考え、更にAdobe Illustratorを使った制作を学びました。
普段意識せずに着ている洋服にも、環境破壊や人権問題・労働環境などへの多くの課題が隠されていることを学び、服飾大学の講師の方に「服飾業界の現状と今後」についての講演もしていただきました。
優秀企画に選出された作品には、実際に生産をしてプレゼントをするご褒美企画も行いました。
日本の農業者の数が減少し、食料自給率の低下が心配される今、何世代にも渡って「持続的」に継承される農業のブランド化の企画提案をする授業を、農林水産省のご協力のもとに行いました。
生産して出荷するだけではなく、加工・流通・販売と、それぞれの産業を融合することにより、新しい産業を形成しようとする6次産業化をベースとしました。
N高生が6次産業コーディネーターとなり、一過性のプロモーションではなく、農業遺産を後世に継承するアイデアを提案しました。
高校生にとって「当たり前」にできることは、いつ・どうやってできるようになったのだろう? そのきっかけのほとんどは乳幼児期にあり、数字や言葉の知識はもちろん、社会で生きていくためのスキルを身につけるには道具や大人たちのサポートが必須です。
玩具企画で重要な「発達」への理解を深める授業や、玩具メーカーのタカラトミーさんによる特別講演を聴講できる機会も設け、N高生が様々なアイデアを出しながら、子ども達の未来を考え「楽しく遊んで学べる知育玩具」を企画しました。
日本の伝統芸能の奥深さ・楽しさ・素晴らしさを生徒自ら探求し、それを同世代に発信するWebサイトをチームで立ち上げ、さらに1日限りのオンラインイベントを生徒が企画・制作・運営するプロジェクト。
全国にいる約300名の対象生徒が9つのブロックに分かれ、Web集客への戦略立案から制作・運営まで、完全オンラインでプロジェクトを遂行、まさにリアルなお仕事体験を実践しました。
「伝統芸能」の専門家として、落語家の林家たい平さんに「熱い」ご講演をいただきました。また最終日の審査員には津軽三味線の吉田兄弟さんにお越しいただき、的確なフィードバックもいただきました。1年を締めくくるにふさわしい、とても豪華で、かつ挑戦的なプロジェクトになりました。
【プロNの良い点】
1.基礎(α)と応用(β)を選択できるところ
αとβの詳しい説明は省くが、簡単に言えば基礎を固めたい人はα、もっと本格的に学びたい人はβである。
一定の条件はあるが、プロジェクトごとに受講するコースを変更できる。
「最初のプロジェクトはαで基礎を固めて次のプロジェクトは応用へ行く」ということもできる。
2.プロジェクト課題が実社会を想定したスケールでいい
実際に起こっている問題に取り組んでさまざまな視点から課題を解決していける。
コラボ企業・団体も豪華で、先に紹介したように、フリマアプリで有名な「メルカリ」さんやこの記事を公開している「Note」さん、さらには「農林水産省」さんともコラボ授業・講演を行った。
3.楽しい
とにかく最後まで本気でやると楽しいし、普通の高校では絶対に体験できない。
最初は説明が多くて飽きてしまうかもしれないが、進んでくると自分で制作物を作ってキャンパス内で発表したり、他の生徒の制作物から、自分にはなかった視点を得ることもできる。
【プロNの悪い点】
1.個人ワークになった
今年(※)からプロNのα(基礎コース)がグループワークから個人ワークに変わってしまった。
グループワークがやりたい人にとってはαで基礎を固めながらグループワークを楽しむということが出来なくなってしまった。βに行くことでグループワークすることは可能だが、最初からβに行くのは少し勇気がいる。
※2022年2Q時点
2.応用(β)の作業量が半端ない
βでは企画から調査・制作発表まですべて生徒がしなければいけない。企画制作の自由度はαに比べて高いが、その分授業内での時間が足りずに、休憩時間や他の時間で作業をしなければならない。
【最後に】
プロNには良い点や悪い点があるが、通学コースでしか体験できないこともある。
さらに、プロNは毎年より良くなるようにアップデートされていくので飽きることはなく毎回楽しい授業になるように教材制作の職員の方も頑張っている。
他の生徒とのコミュニケーションをより多く取りながら学びたいので、来年からはまたグループワークに戻ってくれることを期待している。
この記事を読んで、プロNに少しでも興味を持って下さった方、通学コースでは授業体験会も実施されているので、参加してみてはいかがだろうか。
※この記事は通学コース所属の生徒による記事です。オンライン通学コースのプロNとは少し仕様や制度が違います。
引用
・プロジェクトN公式サイト(https://nnn.ed.jp/project-n/ )
・プロジェクトN 公式Note (https://note.com/project_n/all )
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