~卒業生に聞いてみた~ N高からの海外進学
卒業後の進路。この言葉を聞いただけで頭痛がするという生徒も多いのではないだろうか。大学、専門学校、就職、そのほかにも数多くの選択肢の中から自分の進路を見つけ出さなければならない。
今回私は、‘‘海外進学‘‘についてN高卒業生にインタビューを行った。
2022年、海外の学校に進学したN/S高卒業生は55名。前年は36名。大学進学を考えるとき、国公立、私立に加えて海外大学も選択肢の一つになりつつある。
話をしてくれた人
藤田永遠さん N高卒業生
入学して3日目で10か国以上の友達
ーーまず、藤田さんが在学している学校と何を勉強しているのか教えてください
マレーシアにあるアジアパシフィック大学(APU)のファウンデーションコースに通っています。このコースでは数学やアカデミックな英語といった基本的なことを勉強します。
ーーAPUの特徴を教えてください
一番の特徴は国際性です。入学して3日目で10か国以上から来た友達ができました。大学のあるマレーシア以外の文化や宗教に触れることができます。日本人の生徒は僕が知る限りで10〜20人はいます。
ーー学校の寮に住んでいるのですか?
今は一人暮らしをしています。最初は学校の寮に住んでいたのですが、ルームメイトとなかなか合わなくて。部屋を変更してもらったのですが、結局4か月契約の寮を2か月で出ました。
ーー部屋の変更は柔軟に対応してもらえるのですか?
全然柔軟じゃなかったです(笑)。何回もオフィスに行ってお願いしました。粘り強く交渉しましたね。
英語の評定は10段階のうち2 それでも選んだ海外進学
ーーなぜ海外の大学に進学しようと思ったのですか?
自分の知らない世界を自分の目で見たくなったからです。僕はもともと全日制の高校に通っていたのですが、校則や普段の生活の中に疑問を持つことが多かったんです。海外の価値観や考え方に触れて疑問に思ったことを追究したいと思い海外進学を決めました。
ーー海外進学の意志を伝えたときの周りの反応はどうでしたか?
家族と友達からは特に何も言われませんでした。家族はもともと放任主義だったので、N高への転入や海外進学を決めたときに反対も賛成もされませんでした。唯一意見をもらったのは全日制高校の先生でした。海外進学はN高に転入しなくても、全日制高校からでも目指せるといわれましたね。
ーー先生に反対されてもN高への転入を決めたのはなぜですか?
英語の勉強に時間を使いたかったからです。全日制高校で副教科の勉強する時間や通学時間がもったいないと感じたんです。また、私立の全日制に通うよりもN高に通うほうが学費も安くなるので。
ーー海外進学についての情報はどうやって集めましたか?
すべてインターネットで調べました。実際に興味がある大学に通っている人のSNSやYouTubeをみたりもしました。
ーー志望校はどうやって決めましたか?
excelをつかって表を作っていました。あらかじめマレーシアの大学と決めていたので、世界ランクや学費、連携している大学などを比較して志望校を決めました。
ーーなぜマレーシアに決めていたのですか?
裕福な家庭ではなかったので、比較的学費や物価が安いマレーシアに決めていました。
ーー入学までの流れをざっくりと教えてください
志望校を決めた後はエージェント(※1)を探しました。エージェントが決まったらカウンセリングを行い、英語の勉強の計画を立て、IELTS(※2)を受けました。エージェントのほかにN高の留学課とも連絡を取っていました。個別面談を受けたり、英語学習のアドバイスを受けました。
※1 学校の紹介やビザ申請など、留学をサポートしてくれる代理店
※2 英語圏の国々に留学、就労または移住を希望する人々の英語力を測定する、ハイステークスの英語試験 (IELTS公式サイトより)
ーー英語の勉強はどのように進めましたか?
僕は全く英語の勉強をしていませんでした(笑)英語の評定も10段階で2と、とても低かったです。IELTS の勉強も全くしてなくて、過去問も解かずにYouTubeで1か月前でも間に合うIELTS の勉強法動画を見ていました。結果は合格点ギリギリで受かりました。
世界に誇る日本のアニメ文化
ーー入学後はどのくらいで英語に慣れてきましたか?
3か月で授業が聞き取れるようになりました。ずっと同じ先生のレクチャーを聞いているので、その人の英語に慣れてきていたのもあると思います。
ーー入学後に一番大変だったことは何ですか?
授業形式に慣れることですね。グループワークがほとんどなので、みんなの話をまとめたり、発表したりと慣れないことが多かったです。数学の授業だけは日本と同じでした。先生の説明を聞いてテストを受けるといった形式です。
ーー入学前にしておくべきだったことはありますか?
あります。英語と日本の文化などの勉強と基本的なソフトに慣れておくことです。英語は特にリスニングの勉強ですね。英語に慣れておくべきでした。あと、よく日本の文化や外交、歴史について聞かれるので、それらの勉強もしておくべきでした。日本のアニメや漫画は知っておくと話が盛り上がります。基本的なソフトというのはWordやGoogle Docsなどです。使い方に慣れていたら1学期の授業がスムーズに受けられたのになと思います。
ーー学業以外に力を注いでいるものはありますか?
あります。クラブやイベント、団体の立ち上げです。クラブなどに入って何かを頑張るというよりは、ゼロから新しいものを作ることに力を入れています。具体的には、日本のアニソン限定のイベントです。ステージ上でアニソンを歌ったり踊ったりするようなイベントです。今は学業よりもこれらの活動に力を入れていますね。
ーーコロナの影響で制限されていると感じることはありますか?
コロナ前のAPUを知らないのですが、構内の施設は制限されています。図書館が18時には閉まってしまったり、キャンパス内のお店が少なかったり。なので今、図書館を24時間開放するための署名を集めたいと考えています。他には、イベントをしたくてもなかなか人が集まらないことですね。
ーー卒業後について教えてください
卒業後はGAFA(※3)に就職したいと考えています。やはりリーダーシップが求められるので、自分が中心となってゼロから新しいものを作る活動に取り組んでいます。
※3 Google、Amazon、Facebook 、Appleの総称
ーー最後に、海外進学に興味があるN/S高生にメッセージをお願いします
N/S高生には個性的な人が多く、先生やスタッフはみんなの背中を押してくれると思います。なので、遠慮なく挑戦してみてください。あと、ぜひAPUに来てください(笑)僕のサークルや団体に入って一緒に活動しましょう!
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今回はマレーシアのアジアパシフィック大学に留学中の藤田さんにお話を伺った。海外進学に興味を持ったきっかけから卒業後のビジョンまでどれも興味深いお話だった。海外進学に興味がある人はぜひこの記事を参考にしてほしい。また、自分の進路に悩んでいる人は海外進学を選択肢の一つにしてみてはいかがだろうか。読者の皆さんにはたっぷり悩んで、悔いのない進路選択をしてほしい。
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