生徒運営の学園内ヘルプセンター「ナレッジベース」はこうして生まれた

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取材・文=まどか(S高1期・ネットコース)

N/S高校はネットの学校として知られています。ただ、学園生活を送るうえで、Slackなど初めて使うツールの使い方や、従来の学校とは大きく異なる学園生活の情報をどのように確認したらいいか戸惑ったという人も多いのではないでしょうか。そうした生徒にとって心強い存在が、学園内ヘルプセンターともいえる生徒運営のWebサイト「ナレッジベース」です。

今回は、学園のSlack活用推進の立役者であり、「ナレッジベース」の現開発チームリーダーのN高校3年生・横内勇気さんに、ナレッジベースへの思いや立ち上げたきっかけなど、お話を伺いました。

↑ナレッジベースのサイトのトップ画面をコラージュしたもの

ナレッジベースとは…
学園内のヘルプサイト
学校で使うツールやサービスなど、様々な事柄の説明・よくある質問を掲載

話をしてくれた人=横内 勇気(よこうち ゆうき)さん
・ N高校3年生
・ Slack 利用を学内各部署に働きかけ・推進
・ 学内ヘルプセンター「ナレッジベース」現開発チームリーダー

目次

きっかけは『どこにも書いてないやん』

「最初は自分が入学して思ったんですよ。『どこに何が書いてるん?』『どこにも書いてないやん』って」

横内さんが立ち上げたナレッジベースは、学園内で用いる多様なツールの扱い方をわかりやすくまとめていたり、留学を希望する生徒は学園ホームページのどこを閲覧すればいいのかすぐに見つけられるよう学園内のリンクを集めていたり、よくある問い合わせについてのQ&Aコーナーが置かれていたりするなど、必要な情報が生徒目線ですべて網羅されたサイトになっています。

横内さんがナレッジベースをつくったきっかけ。それは、まさに学校に入ってすぐの自身の体験にありました。学内の情報を検索しても答えがすぐにヒットしない。「答えがちょっと遠いところにある」(横内さん)ことを実感しました。

「自分が困っていることって、他の人も困ってるんですよ」
「たぶん他にも情報が欲しい人もいるだろうから、まとめておいたら、使う人もいるだろうなって」

自分の困ったという気付きを解消すれば、他の人にも活かされるのでは、と思うことはあります。でも、そこから実際に行動するのはなかなかできないこと。ところが、横内さんの行動は素早かった!

「僕が(学園に)入ったのが4月8日なんですよ。2週間で居心地悪くてコレやり始めたんです。」

横内さんがサイトのデータを見せてくれたところ、ナレッジベースをつくった日付はなんと「4月25日」。その日から、いろんな工夫を積み重ねていきました。

イメージしたのはヘルプセンターの学校バージョン

生徒が困った時に駆け込めるように、イメージしたのは、GoogleやSlackのヘルプセンターの「学園バージョン」。「たくさんの場所に答えが散っているんじゃなくて、『これがヘルプです』っていう一つのリソースにした方が、みんな探しやすい。一つだったらその中で探せばいいのでとても使い勝手がいいと思うんですよね」。

また、ナレッジベースを利用する人は必ずしも「同じ知識量の人だけではない」ことを意識したと言います。「言葉で書いて説明するのは楽だけど、言葉で書いても伝わらない部分もある」。例えば、「Polly」というSlackと連携して使う、アンケートを作成できるアプリの使い方紹介では、実際に「Polly」を使っている場面のGIFや動画を載せることでよりわかりやすくしました。

このほかにも、せっかく立ち上げたナレッジベースをどうやって他の生徒に広めるのかも考える必要がありました。横内さんは、まず学園職員に相談するところからスタートしたそうです。

「『こういうことをやりたいんです』って相談したら、『学園の公式なサイトにすることはできないんだけど、それを情報として生徒のみんなに共有することなら可能だからやってみましょう』って話になって」

こうしてナレッジベース立ち上げからおよそ3カ月後、学園側の協力で、学内のSlackで初めて告知することができました。その後は、わからないことをどうやって解決したらいいかという生徒同士のやり取りの中で、ナレッジベースサイトのリンクが貼られていくようになり、「ちょこちょこみんなに広めてもらう」ことで生徒の間に浸透していったそうです。

「有益な情報が載っていると使いたくなるので、放っておいてもみんながお知らせしてくれる。宣伝をかけなくても、みんなが使えば使うほどその分リンクが広まって、サイトが知られるようになったという感じです」

そんな試行錯誤と口コミによる広がりを積み重ねながら、現在の形になるまで「大体2年くらいかかったのかな」と振り返ります。

「ナレッジベースは、学園の規模が大きいからこそ必要なんですよ。何かひとつにまとめておいた方が、生徒の使い勝手が良くなるんだろうなと思って、やり始めて、(生徒が使いやすい)最終形態に近くなったのが、今の形ですね」

自分が必要だと思うものは、他の生徒もきっと必要だろう…。大規模な学園のニーズに生徒が自ら向き合い、工夫を積み重ねたからこそ、このナレッジベースは生徒に欠かせないサイトとして歓迎されているのかもしれません。

↑アンケートを作成できるアプリ「Polly」の使い方を一目で理解できるように紹介している画面。ナレッジベースでは、学園内でよく使用するツールについて動画なども使い、わかりやすく紹介されています。

一歩踏み出すことが難しいと考える後輩たちへ

学園生活をより過ごしやすいものにするために力を発揮した横内さん。なかなか一歩踏み出して行動することが難しいと考えている後輩たちに向けてのアドバイスをくださいました。

N/S高の強みは、「自分で1日のライフスタイルを作ることができることだ」と話す横内さん。「自分から何かをやるって本気で決めたのであったら、ワークショップに参加することも一つだと思います」。学園内にはたくさんのワークショップが用意されています。まず行動の一歩目として、時間をうまく作り、ワークショップで体験を積むことから始めてみるのがおすすめだと言います。

また、ナレッジベースを作った横内さんならではの助言もありました。
「困ったら聞くって解決法は、実はむっちゃ簡単で楽なんですよね。ただ、社会に出ると、ほぼほぼ通用しなくなる。聞く前に自分で調べるという行動を重んじられる」

実は、横内さんはナレッジベースで情報を集積する際、学園が用意しているオリエンテーションやハンドブックといった初めに提供される情報の「次のわからないところ」をまとめることを意識していました。そうした「次」の段階にある「ちょっと遠いところ」の答えを探すために、たくさんのことをコツコツ調べ続けてきたのです。

「検索って大事だなって思いました。N/S高生は、自分で調べるということをもっとやっていいんじゃないかなぁとすごく思います」

↑インタビューの様子。向かって左が横内さん。

終わりに

学園の生徒のほとんどが知っているといっても過言ではない「ナレッジベース」。そんなサイトの制作秘話を知ることができたような気がして、お話を聞いていて、一利用者としても、とてもワクワクしました。

「主体性を持って行動する」ということは、様々な場面で必要とされるものの、実際に自ら行動することに難しさを感じる人は少なくありません。
今回伺ったお話や、いただいたアドバイスには、N/S高生ならではの、一歩踏み出してみるためのヒントがたくさん詰まっているように感じました。
自分から行動することで、何かがきっと変わる―。そんなことを、改めて実感したインタビューでした。

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