どうしたら「わたし」を愛せるの?〜「本当に本を作るプロジェクト」参加者インタビュー①

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取材・文:まどやん

N/S高では、毎日さまざまなワークショップ(以下WS)が開催されている。

ほとんどのWSは数時間で終了したり、数週間で終えることが多い。しかしそんな中、11月から開催され、3ヶ月という長期にわたって開催されたWSがある。「等身大の自分」をテーマに一冊の本を出版する「本当に本を作るプロジェクト」だ。このWSに参加し、15人の生徒が筆を執った。

今回私は、多くの人に自分の体質を知ってもらうために文章を書いたという、中嶋にこさんに話を聞いた。

話をしてくれた人=中嶋 にこ(なかじま にこ)さん
N高3年ネットコース所属。にこさん自身も持つ、染色体異常によって起こるターナー症候群を多くの人に知ってもらうためWSに参加し、エッセイ「私の中にいるわたし」を執筆。

目次

初めて書いた「わたし」の本

ーー今回のようなまとまった文章を書いたのは初めてですか?

初めてです。文章を書くのは嫌いじゃなかったし、「書けたらいいな」と思って応募しました。すると、ありがたいことに応募時に書いた「書きたいテーマ」を見て、選考委員の方が読みたいって思ってくださったみたいで、選ばれました。

ーー作ったエッセイをどんな人に読んでもらいたいですか?

自分と同じ体質で悩まれている方もそうなんですが、全然知らなかった人にも読んでもらいたいってすごく思います。「知らない人がこれを読んだらどうなるんだろう」って、すごく心配だったのですが、WSで他の参加者やゲストの方にフィードバックをしてもらうとき、ターナー症候群を初めて知った人でも「意味が分からない」みたいな状況にはなってなかったので、安心しました。より多くの人に知ってもらうって意味でも、知らない人に読んでもらえたらって思います。

ーー人に読んでもらったあと、どのような感想を持ってほしいですか?

「そんな体質があるんだ」って思ってもらえるのが一番ですが、将来子供が欲しいってなったときなどに少し思い出してもらえる、そんなエッセイになれば良いなと思います。

ワークショップで出会えた仲間

ーー今回のWSで、出会えて良かったと思う人はいますか?

みんな出会えて良かったなって思います。本当に仲良くしてくれて、(一緒にWSに参加したN/S高生と)オフ会で会ったりするくらい。ゲストの方も、普通に生活していたら接点のなかった人たちと話す機会をいただけたことがすごく嬉しいです。スタッフの方もすごく優しいので、毎回WSが楽しみなくらい、みんなと会えて良かったなって思います。

ーーそんな仲間と一緒に、たくさん新しい価値観とも出会ったと思います。そこで、「この先も意識していこう」と思ったことはありますか?

本って、執筆者の考えが詰まっているものだと今回作ってもっと感じたので、本を読むって大事だと思いました。他の人の考えって視野が広がるので、本を読むのはいいなあって。

ーー今回のWSは大きく分けて4つのワーク(構想期間、執筆・フィードバック期間、製本期間、まとめ期間)がありました。その中で一番成長できたと感じるワークはなんですか?

執筆・フィードバック期間ですね。自分の書きたいことも見つめ直さないといけないし、みんなが頑張って推敲したものを見れる期間でもあったので。他の人の文章を読んだり、自分を客観視したりできる期間だったので、その期間が一番疲れたけど、成長できたと思います。

ーーすごく有意義な時間だったんですね。そして今回、3ヶ月に及ぶWSということで、N/S高にある数多くのWSと比べても長期間でした。そんな中、にこさんはどのようにスケジュール管理を行ったのでしょうか?

そうですね、WSがたまたま予定のない日だったっていうのもありますけど、たとえば、バイトのシフトを入れないようにするとか。あとは、ご飯食べてるときに他の人の文章を読んだりとか、お風呂に入りながら自分の文章書いたりとか。

ーーすごい、想像以上にハードスケジュールだったんですね。

本当に、みんな締め切りギリギリまでやって「徹夜した!」って言ってたので、執筆期間は大変だったんだろうなと思います。

ーーN/S高にはたくさんのWSがありますが、WSに参加することを躊躇する生徒も少なくありません。WS経験者として、にこさんからアドバイスをください。

ちょっとでも気になる部分があるのなら、そこは絶対に合っている場所だと思うので、ちょっと怖いかもしれないけど、ぜひとも応募してほしいなって思いますね。今しかできないことだと思うので、ぜひぜひ参加してみてほしいです。

自分を愛するということ

ーーにこさんの原稿を読んで、特ににこさんの自分を愛する才能、そして努力が素晴らしいと感じました。しかし、多くの人にとって自分を大切にすることは簡単ではありません。にこさんがにこさんなりに自分を愛してきた方法を教えてください。

私もめちゃくちゃ難しかったんですけど、逆にとことん嫌いになっちゃうとか、とことん落ちちゃえば、あとは少しずつ、良い意味で諦めがつく気がします。そこ(嫌いになること)まではつらいけど、あとは温かくもう一人の自分がよしよしってしてくれるような感じになるので、そこまでの辛抱だと思います。

ーーにこさんの言葉のひとつひとつが心に刺さります。最後に、にこさんにとって自分を愛することとは何でしょうか?

素直でいることかな。しんどいって感じたらちゃんとしんどいって受け止められるようになるとか、泣きたいってなったらちゃんと泣くとか。そういうことができるようになると少しずつ、そういうところも良いとこだよみたいな感じで、自分でよしよしってできる気がします。

にこさんの原稿を読んだ時点では、どんな人がこんな素晴らしい文章を書いているのか、皆目見当もつかなかった。だが実際に会ったにこさんは、名前の通りにこにこ笑顔がよく似合う素敵な人だった。そして、大事に、丁寧に、よく考えて言葉を扱う人だった。初めて原稿を読んだとき、文章から伝わるにこさんの強い存在感と生命力に圧倒され、泣きそうになってしまった。いち早く誰かと感動を共有したかったが、まだ世に出ていない作品ということもあり、その場では心にしまい込むしかなかった。インタビューをさせてもらった贔屓目を抜きにしても、この作品は本当に素晴らしいと思う。

読ませてもらって、インタビューさせてもらって、本当に良かった。にこさんだけでなく、他の方の話もすごく面白かったので、1人でも多くの人に読んでもらいたい。私は今もなお、誰かとこの感動を共有したくてたまらないのだ。

にこさんが伝えたい、ターナー症候群と生きる日々。
エッセイ「私の中にいるわたし」が読める書籍はこちら!

「青空の余白」¥650
販売店舗:往来堂書店himaar
(​​​​himaarはこちらのwebサイトからも販売予定)
発売日:3月上旬予定

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