元素を暗記したい。手作業でカードゲーム作ってみた

元素周期表を、ご存じだろうか。
全部で118個ある元素をまとめた表で、中学校2年生くらいから教科書に出始める。一応、中2の時点ではC(炭素)やH(水素)など、見覚えのある元素しか出てこないのだが、この先、高校・大学と襲ってくるだろう理系科目に太刀打ちできるようにするために、全部覚えることにした。
まあ、眺めれば数日で覚えられるだろう。そう思ったのが数日前。
しかし。
現実はそう甘くないのである。元素周期表で覚えるべき(覚えたい)のは、元素名・元素記号・原子番号の3つ。元素は全部で118個あるので、覚える要素は合計354個。無理だろ。
しかし。
実は私、小学校4年生の時に魚のカルタを制作し、賞をとったことがある。ここでは50音分の50匹の魚を調べ、50枚の読み札に名前を書き、50枚の取り札に絵を描いた。今でもその大半の魚の名前を覚えている。また、通学しているキャンパスで遊ぶカタカナーシ(※)というカードゲームでは、そこに出てくるほとんどの単語を自然に暗記してしまう。
……つまり、カードゲームにすればなんでも覚えられるのではないか?
思い立ったら、即実行。というわけで、元素周期表を覚えられる遊びを開発しようではないか!
N高グループ生は、パソコンに強い。毎日のように授業で使用するから当たり前なのだが、もっと手を動かしてアナログで創作する楽しさも知ってほしい。今まさにこの記事をMacBookで書いているが、本当はペンを握って書く方が得意な、私みたいな人間もN中にいるのだ。せっかく自由に使える10本の指を持っているのならば、最大限有効活用して細かい作業、根気のいる作業をしてみてほしい。
というわけで、元素記号を覚える遊びを作るついでに、自分の手を動かして作るものづくりの楽しさ、難しさを感じてみたい。
元素とは? 〜ウォーミングアップ〜
「元素とは?」
この問いに、中高生の皆さんはもう答えることができるはずだ。少なくとも私はこの前、中学校のテストに出たので、答えられる、はず。
「元素とは?」に関連する用語として、ついでに「原子」についても説明しよう。
原子とは?
ドルトン(※)は19世紀の始め頃、物質はそれ以上、分割することのできない粒子でできていると考えた。この粒子を原子と呼び、その性質を説明した。
〈原子の性質〉
①化学変化によって、原子はそれ以上に分割することができない。
②原子の種類によって、質量や大きさが決まっている。
③科学変化によって、原子が他の種類の原子に変わったり、なくなったり、新しくできたりすることはない。(参考:「新しい科学 2」,東京書籍,2025年1月,26p)
元素と元素記号とは?
原子にはさまざまな種類があり、この原子の種類を元素という。現在では、118種類の元素が確認されている。元素は、全てアルファベット1文字、または2文字からなる記号で表され、これを元素記号という。(参考:「新しい科学 2」,東京書籍,2025年1月,26p)
周期表とは?
118種類の元素は、それぞれ性質がことなっており、その性質をもとに元素を整理することで、物質の性質を考えたり、新しい物質を作り出したりするのに役立てることができる。これらの元素を整理したものが、元素の周期表である。(参考:「新しい科学 2」,東京書籍,2025年1月,28p)
という説明で、元素について、ご理解いただけただろうか?
元素のカードゲームを作ろう
使ったものはこちら。
・工作用厚紙……2枚
・水性ペン(カラー自由)
・ハサミorカッター
・筆記用具(下書き用に鉛筆など)
・定規(できれば30cm以上)
ちなみに、我が家には工作大好きな弟がいるため、彼からインクジェット紙を2枚もらって使用した。画用紙でも代用可能だが、発色が少々悪くてインクが染みやすい。とはいえ、まあ画用紙でも十分ではあるが。
制作にあたり参考にしたのは、「子供の科学(※)」2024年3月号。別冊付録としてついている元素周期表は、元素記号、元素名、原子番号と、大まかな特徴がまとめられており大変見やすくなっている。弟が子供の科学を定期購読していたのは非常に助かった。こういう時、ネットは情報が多すぎてわかりにくいのだ。
さて、早速構成を考えていこう。カードゲームはもちろん、何かを作る時にはまず初めに構成を考える。これは記事の企画書を書く前にも作っていて、筆記用具を使ってメモをしていくと思考の整理がしやすいと感じている。材料や機会を無駄にしないための、大事な作業だ。
まず、一番覚えたいのは元素名と元素記号だ。元素番号はこの際置いておこう。
私の使える紙の枚数はA4が2枚。(買い溜めの残りがそれしかなかった。)だからオプションなどはつける余裕がない。
私はデザインが複雑なカードゲームがあまり好きではないので、デザイン自体はシンプルで遊び方にアレンジができる仕様にしたい。考えた結果、1枚のカードの表に元素記号、裏に元素名を書くことにした。
もっと内容を書き込む案も出したものの、「自分で調べる」というのも大きな学びであるため、カードに全て書き込むのは違うような気がした。漢字ドリルも熟語の羅列の欄をなくして、自分で自由に調べたことを記入できるようにすべきではないかなと思っている。書かれたことをただ読むよりも、自分でリサーチをすることの方が生きた学びになるのではないか、と思うのだ。
アイデアも固まったところで、定規で測って線を引いていこうではないか。118枚分を。
平行線を引くために、両サイドに点を打つ。手が3本あるのは、乱入者(兄弟)。
両サイドに打った点と点を繋いで平行線をひく。ここまでで15分。
全部の線を引き終えた。ここまでで25分。
通学しているキャンパスにいるN中生の様子をみていると、学習に筆記用具をしている人は半数もいない。キャンパスにおいてある問題集を解く人、ZENstudy(※)の動画を見ながらノートをとる人などがちらほらいるが、ほとんどはパソコンで学習している。
私は圧倒的に紙で勉強派なので、シャープペンを触るのが珍しい、ということはないが、周りのN中生からしたらレアなことなようだ。
まして、ハサミや水性ペンを使用した工作など、ちょっとしたきっかけでもないとやらないのではないだろうか。こういうアナログ作業は、確かに面倒臭いし時間はかかるものの、意外と頭も使うし、構造を考え段取りをしながら手を動かす練習にもなる。
線を引き終わったら、一つのマスごとに元素記号を書き込んでいく。118個ものほぼ意味不明なアルファベットをひたすら袋文字で書いていくというのは、なかなか根気がいる作業である。
地道な作業だが、書いていくうちに少しずつ覚えていく。元素記号だけで推測できる元素名も少なくない。書き終わったら水性ペン(水色・黒を使用。それしか見つからなかった)で文字を濃くしていく。
書き終わったら、最初に引いた線通りハサミで切っていく。この作業はただハサミを滑らせるだけなので、そこまで時間はかからない。
最後の肝心な作業は、裏側に、元素記号に対応する元素名を間違えないように書いていくことだ。こうして書いていく間にも、「へぇニホニウムってNhなんだ! そのままだな」とか、「ユウロピウム(Eu)って英語の知識で十分読めるな」とか、調べながら知識がついていく。
完成だ。
ここまでの制作過程を見てわかるように、カード自体はとてつもなくシンプルである。カードにたくさんイラストや豆知識が書かれているカードゲームも好きなのだが、我が家で遊ぶとなると、飽きやすい兄弟のために遊び方にバリエーションがある方が良い。それに、私が遊び方にアレンジを効かせるのが好きなので、自分でカードから制作する時は自由度が高いものを作るのだ。
カードゲームで遊んでみよう 遊び方を考える
いくつか遊び方を考えてみた。
①
覚えられること:元素記号・元素名の組み合わせ
人数:無限(一般的に考えられる人数ならいくらでも)
想定時間:20分〜30分(慣れれば15分ほど)
ルール
全てのカード(118枚!)を元素記号を上にしてテーブルの上に広げる(元素記号から推測する方が簡単だと感じるため、元素記号が上の方が良い)。
1人ずつ、自分がわかるカードを元素名を言ってからひっくり返す。あっていたら連続して5枚までとることができ、間違っていたらそのカードは捨てる。
この遊び方はシンプルだがやりやすく、意外にも楽しい。我が家はH(水素)やO(酸素)、Au(金)、Mg(マグネシウム)あたりからなくなっていき、Pa(プロトアクチニウム)、Dy(ジスプロシウム)などが残っていた。大体、なんですか、その長い単語は。
でもこうして覚えているのだから、「長すぎて間違えた」という理由で記憶に残っているのだ。
この遊びは慣れてきたら逆向き(元素名から元素記号を当てる)でも遊ぶことができる。時間がなければ、簡単なものを何枚か選んでやってみても良い。
②
覚えられること:元素記号・原子番号
人数:①と同じ
想定時間:20分〜30分
ルール
元素名もしくは元素記号を上にして並べたカードを、原子番号順に並べていく。小学生の英語学習でアルファベットをA〜Z順で並べていくというものがあるが、それと同じ要領である。
アルファベットなら26個しかないのでタイムアタックもできるが、これはなれるまでは時間がかかるため、初めは半分以上あっていることを目標とした方が良い。
私は初めてやった時、始めの方が2個ずれたおかげで13個しかあっていなかった。
私がいくつか遊んだ中で面白く、暗記にダイレクトに繋がりそうなのはこの二つだった。もしシンプルな元素記号のカードが手に入ることがあれば(あるいは作る根気があれば)、ぜひやってみてほしい。教科書を眺めるよりも確実に覚えられるように感じた。
終わりに
幼少期から、私は手を動かして何かを作ることが何よりも好きだった。N中に入学してからはパソコンを使ったプログラミングのものづくりの時間も増えたが、やっぱりキーボードを打って出来上がるものと、自分の手を汚しながら、怪我をしながら作るものでは達成感や満足度がかなり違うなと感じている。
この記事を読んで、少しでも元素に、そしてアナログなものづくりに、興味を持ってもらうことができれば幸いである。


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