活躍生徒vol.052:不登校への理解を社会に広げるために挑む、住山雄大さん

取材・文=よしき(S高4期・通学コース)
生徒数がつい3万人を超えたN高グループ。多様な生徒がさまざまな分野で活躍しています。そんな中、キラリと光る実績を生み出した生徒もたくさんいます。実績を生み出した生徒は、どんな活動をして、どのように成果へつなげたのか……気になりますよね!そこでN高グループ新聞では「活躍生徒」と題してインタビュー企画を始めることにしました。第52弾となる今回は、不登校経験者として、講演活動や不登校についての学外イベントに尽力し、マイプロジェクト地域summit特別賞を受賞した住山さんにお話を伺いました。
全国高校生マイプロジェクトアワード地域summit特別賞を受賞
Q.名前と学年、コースを教えてください。
N高等学校・通学コース・3年生の住山雄大(すみやまゆうた)です。
Q.どんな活動をしていますか?
不登校の当事者が抱える生きづらさをなくし、不登校への理解を広げるための活動をしています。具体的には、企画から運営までを主に一人で担いながら「あさがおの部屋」(※1)というイベントを、2か月に1度開催しています。
個人としては、不登校支援団体やNPOなどから声をかけていただいて当事者として講演を行ったり、メディアからのインタビューを受けたりしています。また、SNS(X、Instagram、Threads)で不登校についての発信をしています。SNSの方も投稿の作成からアップロードまで一人で行っています。



Q.活動の受賞歴を教えてください。
2024年度の全国高校生マイプロジェクトアワード(※2)で地域summit特別賞(※3)をいただきました。また、自由すぎる研究EXPO2025(※4)では入選をしました。
Q.受賞できたのはなぜだと思いますか?
社会的な課題と、相手が必要としていることをしっかり理解しながら取り組めたからだと思います。活動でありがちなのが、こちら側の「伝えたい」という気持ちが一方的になってしまうことです。私は、不登校問題にどのような課題があり、その課題に対して自分がどのような行動をしてきたのかを整理し、審査員にきちんと伝えました。その点が評価され、受賞につながったのだと思います。
きっかけは、自身が経験した不登校
Q.活動を始めたきっかけは?
きっかけは、自分自身が不登校を経験したことです。
私が不登校になった理由は、起立性調節障害(※5)という病気によって朝に起きられず、学校の環境に馴染めなかったことと、人間関係です。人間関係については、客観的に見たらいじめですが、当時の私はいじめだと認識していませんでした。その出来事をきっかけに人間関係はマイナスの方向に向かって、最終的には学校に行けなくなりました。不登校だった時に、不登校当事者の現状や思いが知られていなかったことが辛かったです.。それだけでなく、病気のことを知らない、知ろうとする姿勢もなかった。不登校について本当の意味で理解することは難しいと思いますが、理解できなくても良いので、不登校という状態や状況を私は知ってほしいです。
Q.現状、どんな課題がありますか? また、課題にどう向き合っていけば良いと思いますか?
文部科学省の調査によると、今日本には、周囲から理解されない辛さを抱えている不登校の子どもが約35万人います。現状の課題は、社会的認知不足による不登校の子どもの生きづらさです。
私は、現状の課題と社会の対応がうまく噛み合っていないと感じました。その状況を変えたいと思い、この活動を始めました。
現状の課題は、不登校の子どもの支援方法を知らないため、学校に行くことを強制してしまう点にあります。
最近の社会では、不登校や引きこもりには「無理をさせるべきでない」という風潮が広まっています。もちろん、無理をさせることは良くありません。
しかしながら、「無理をさせないこと」を意識するあまり、「とりあえず休ませておこう」といった短絡的な支援が増えている現状があります。
不登校の時期に、子どもが学校に行けなくなった原因や内面で抱えている思いを明確に言語化することは、ほとんどの場合難しいものです。そうした中、とりあえず休ませておくことは、かえって状態が悪化してしまうきっかけになりかねません。
だからこそ、学校に通っていない期間は、段階的な支援が必要だと考えます。
Q.活動をしようと決意したエピソードはありますか?
私が不登校だった経験を活かしたいなと思った時に、先輩に同じような活動をされてる方がいることを知り、先輩と話しました。話を通して活動のイメージがついて「自分にもできるかもしれない。やってみよう。」と思いました。
「怖い」を超えて踏み出して送ったメール
Q.活動を通して得られたスキルは何ですか?
行動力です。知ってもらうターゲットとしていたのは、保護者や教員です。
Nプレゼンフェスでも言及した「待ってほしい」という子どもの思いや、
不登校の支援の手順を保護者や教員に知っていてほしくて活動をしています。
私は活動の中で、社会人に活動の相談をさせていただく場面が多くありました。社会人にメールを送ることを何度もしたことから、色々なところに飛び込む行動力が身についたかなと思います。
Q.初めてメールを送った時はやはりドキドキしましたか?
ドキドキしました。怖かったです。最初はメールの打ち方が分からずに、怖い思いをしていました。何度も断られたこともあります。「また断られたらどうしよう」と思う時もありました。
Q.「また断られるかもしれない」という恐怖はどう乗り越えましたか?
「私は不登校支援活動をしています。イベントに参加させていただきたいのですが、可能でしょうか。」というお願いのメールを何通も送るうちに、次第に“慣れ”が生まれてきます。また、相手が求めているものと自分が与えたいものや学びたいこととがずれていることがあります。断られた時はお相手が「私たちにはメリットがない」と判断してくださったのだなと捉えています。乗り越えるというより、「仕方がないか」と切り替えるようにしています。
フリースクールだけでない、支援のかたち
Q.最近の不登校問題に関する社会の需要は何だと思いますか?
子どもは、必ずしも全員が不登校支援を行うフリースクールを求めているわけではありません。学校側が柔軟に対応してほしい、新しいサードプレイス(※6)を提供してほしいと感じている場合が多いと思います。
大人は不登校の子を持つ親御さんが集まるコミュニティがほしいと思っています。
私自身、活動を始めて驚いたことなのですが、不登校の子を持つ親御さんが集まるコミュニティは日本にたくさんあるのです。大阪にもたくさんあります。そのコミュニティは親御さん同士の悩みのはけ口になったり、支え合える場所だと考えます。また、私はコミュニティでイベントを開催したり、講演を行ったりしました。コミュニティはそういった学びの場としての需要もあります。
マイプロのスタッフさんやサポーターさんに支えられて
Q.N高のコミュニティは役に立ちましたか?
とても役に立ちました。2024年4月から、N高グループマイプロジェクト(※7)に参加しています。全国Summitへの出場経験があるスタッフやサポーターの方が多く、親身になって相談に乗ってくださいました。活動を進める中で、サポート体制のありがたさを強く感じました。
「ただの高校生」と見られないために
Q.大変だったことはどんなことですか?
人脈作りが大変でした。
人脈を作ろうと思ってただSNSで発信しても、ただの高校生にしか見えないのです。
そこで私が心がけたことは、積極的にイベントに参加すること。
月に2〜3回、週末は基本的に不登校支援のイベントや座談会に参加しました。
会場で名刺を配ったり、「私、こんな活動をしているんです」といった感じで話しかけにいったりして、いろんな人と繋がりました。人と繋がることが一番大変でした。ただ、その分とても楽しくもあります。
Q.活動を通して、自身の変化はありましたか?
日頃持っていなかった、PDCA(Plan=計画・Do=実行・Check=評価・Action=改善)サイクルの考え方を持ったことです。私は約2年半活動に取り組んでいますが、長期的なプロジェクトに取り組む時に大切な考え方だと実感しています。自分が「これをやろう!」と思ったことのプランを立てて、行動をしてちゃんとチェックして、次のアクションに生かす。そういった一連の動作を常にするようになったことで、良いところだけを見るのではなくて、「ここがダメだったから、次はこう改善していこう」という意識をするくせがつきました。
Q.活動のなかでどんな人に変化を与えられましたか?
僕が講演を行った際、以前一度だけイベントを通して関わりのあった不登校の保護者の方が、講演後に声をかけてくださったことがあります。
お話の内容は、中学3年生の息子さんが進学したことと、その経過についてでした。その保護者の方は、僕と初めて関わったイベントの終了後に、僕の話や僕の存在を息子さんに伝えたそうです。すると息子さんはその話をきっかけに、不登校当事者がいる環境であることや活動的な人がいることなどを理由にN高に興味を持ってくださり、現在はN高に入学して、不登校と向き合いながら楽しく過ごしているとのことでした。過去にはオープンキャンパスにも来てくれました。
僕はこの話を聞いて、親や教育者など大人に向けた認知拡大のアプローチが、きちんと子どもにまで届いていることを実感しました。僕の活動は大人に向けたものなので、その大人と継続的に関わらない限り、子どものその後の経過を聞く機会はほとんどありません。大人の方から「参考になりました」といったありがたい言葉をいただくことは多いのですが、子どもの変化を直接聞けたのは本当に嬉しく、活動の意義を見出すことができました。それだけでなく、これまで他の保護者や教育者の方にお話ししてきたことも、どこかで子どもたちのためになっているかもしれないと思うと、モチベーションも保てます。
「伝える楽しさ」を再確認したNプレゼンフェス
Q.最近はどんな活動をされましたか?
Nプレゼンフェスに出ました。
Nプレゼンフェスでの登壇の様子(写真提供:住山さん)
Q.Nプレゼンフェス、どうでしたか?
「不登校」をテーマにプレゼンをしました。
最高に楽しかったです。私はプレゼンを見るのも、するのも、どちらも大好きです。
やっぱり「プレゼンをするのは楽しいな」と改めて思いました。大きなステージでもあったことも凄く楽しかったです。控室ではいろんな人と関われたし、私のことをSlackやSNSで見かけて知ってくださっていた方がいて、有り難かったです。
後日、プレゼンの切り抜きをSNSにアップロードすると、「いいね!」や連絡をいただいて、届けたい人に届けることができました。

学校に来てようが来てなかろうが、その人はその人
Q.学生に伝えたいことはありますか?
不登校の友達がいたら、普段のように接してあげてほしい。
小学校、中学校だと他の生徒が不登校の生徒と接するときに腫れ物に触るように接することがよくあるなと思います。
不登校だろうがなんだろうが、人間は一緒です。わざわざ腫れ物に触るように接することは支援に繋がりません。意外といつも通りに接してもらえるのが一番楽であったりします。
実際に教員の対応があからさまに変わるのがストレスに感じるという事例も私は何度も聞いてきましたので、やはり普段通り接してあげてほしいです。
普段のその人自身は何も変わらないのだから、表面的なことで捉えずに、普段通りに接して欲しいと思います。
プレゼンの中でも話しましたが、今は休まないといけない時期かもしれないからそっとしておくことも大事ですし、同年代の生徒は支援をする必要は全くないと思うので、普段通りに接して、休まないといけないのであれば休むという対応を取れば良いのです。インフルエンザで欠席した人と同じような対応を取れば良いと思います。
これからも、不登校の認知を広げるために
Q.今後の展望を教えてください。
今の活動を継続します。2か月に1度ほど、開催をしている「あさがおの部屋」というイベントを、進学しようとしている大学のスペースを借りて開催しようとしています。メディアの出演や講演依頼も続けます。依頼をできる限り断らないつもりです。
もう一つやりたいことがあります。それは、先生になる学生が不登校について学ぶ場をつくるということです。
私が通う予定の教育学部では、小学校の先生の免許が取れます。私の周りの学生は将来、先生になるわけです。私は、不登校の子と関わる周りの学生に、不登校に対する理解を深めた状態で教育の現場で働いてほしいと願っています。そう思うのは、活動の中で「教員の対応が杜撰だ」、「教員の理解が行き届いていない」という話をお聞きすることがあるからです。大学で不登校の理解を広める活動を、学部の中だけでも良いからやりたいです。
おわりに
今回はN高3年、住山雄大さんにお話を伺いました。いかがでしたか?
「学校に来てようが、来てなかろうが、その人はその人。」
私は取材中にこの言葉を聞き、ハッとしました。
次回の活躍生徒インタビューも、お楽しみに!
「N高グループマイプロジェクト」とは、地域や身の回りの課題、自身の興味関心などをテーマにプロジェクトを立ち上げ、中・長期的に実践する課題解決型プログラムです。自ら課題を見つけ、問題解決のアプローチを思考し、プロジェクトと向き合うことで、社会や人とのつながりを学び、自分らしく社会を変える一歩を踏み出すことを目指しています。2017年に開講した「N高グループマイプロジェクト」は今年で8年目を迎え、累計1,000名のマイプロ生を輩出してきました。
N高グループマイプロジェクトでは随時受講生を募集しています。詳しくは下記URLからご確認ください。
https://sites.google.com/nnn.ac.jp/2025myproject
※詳しい募集タイミングは n-mypro@nnn.ac.jp までお問い合わせください。
※受講はN高グループ(N高/S高/R高/N中等部)の生徒に限ります。


コメント