今年ニコニコ超会議で開催されたN高グループの文化祭、磁石祭2026(※1)。僕は今年幕張メッセのリアル会場に行き、実際にその規模の大きさと人々の熱量の大きさに触れた。
磁石祭は企画・運営・MCなどのほとんどを生徒自身が行っている。そんな生徒たちを支えるスタッフの方々がいることはご存じだろうか。
この記事では文化祭製作委員会(※2)の生徒を支えたTA(※3)さんに、どのように生徒と協力していたのか、生徒の活動支援のためにはどのような距離感が必要なのか、そして子どもの活動を支援しながら大人はどう関わるべきなのか、うかがう。

話をしてくれた方

村上 未来(むらかみ みらい)さん
元N5期生。2024年から文化祭製作委員会の担当を務め、24・25年はスタジオ配信ブース、25・26年はライブステージの担当をした。
前提
まず磁石祭のライブステージ(以下ステージ)(※3)についての前提について話していこうと思う。
まずステージがやらないといけないことは大きく三つある。一つ目は企画を作ること。二つ目は台本を作ること。そして三つ目が広報のプランを作って実行することである。この三つ目がうまくいかないとチケットは売れず、ニコニコ生放送でのステージの視聴数が伸びない。
台本を作ったり企画を作ったりするというのは企画者の生徒が行う。そのサポートをしたり進捗を管理したり広報のプランを立てて実行したりするというのを、ステージの生徒が行っていた。ゲストを呼ぶことは大人のスタッフがやっていて、そのゲストへ送る資料の作成はステージの生徒が行っていた。
スタッフとして生徒とどう関わっていたのか
意識していたこと
ーー村上さんはライブステージの担当スタッフとして生徒とたくさん関わってきたと思います。磁石祭は生徒主体を掲げていますが、その目標を達成するためにどう生徒と協力していましたか?
2025年に行われた磁石祭ZERO(※4)の反省に大きく上がっていたのが、学校のプロモーション機会として磁石祭を運営すること、数値目標を達成することが一番大切で、そんな環境の中で生徒のやりたいことをやるというのがすごく難しかったということなんです。
その反省を踏まえて今年は、生徒が最終的な意思決定を担えるようにするというのと、大人が手を動かすというよりかは先方に送る資料や特番、連携などを基本的に生徒どうしでやってもらうというのを僕は意識していました。
なんでこれを意識していたかというと、一番は生徒主体の文化祭だということを運営の子たちが思ってもらえるようにするため。人に意思決定されたものより自分で決めたものを動かしていく方が、やっぱり運営に携わっているメンバーとしてやりがいを感じると思って。「このゲストを呼ばないと数値目標を達成できるかわからない」みたいな、特に大事な意思決定をスタッフが行うということはありましたけどね。
生徒の案のクオリティを上げる
具体的には、演出や広報施策で「こういうことをしてほしい」とリクエストを伝えた上で、最終的な数値目標を達成できるまでブラッシュアップしたA案とB案のどっちを選ぶかというような決断を生徒に任せていました。
例えばA案が生徒が考えた施策で、B案がスタッフが考えた施策だとします。今までは生徒がやりたいA案と数値目標を達成できるクオリティの高いB案が選択肢にあって、B案を選ぶことが多かったんです。けれど今年は生徒自身がアイデアのクオリティを上げていって、それをスタッフのフィードバックとサポートによってB案と同等のクオリティまで上げていました。これによって生徒が考えた案とスタッフが考えた案、どちらもクオリティとしてはそれほど変わらない二つの案のどちらを取るかという選択を生徒が行うことでやりがいが出ていたと思います。

サポートで気をつけていたこと
アイデアを否定しない
ーー先ほど仰られていたようなサポートをする際に気をつけていたことや注意していたことがあったら教えてください。
一番はアイデアを否定しないこと。運営メンバーの子たちが頑張って出してくれたアイデアなので、そのアイデアを否定してしまうと次にアイデアを出すモチベーションが下がってしまう。だからそのアイデアは肯定しつつ、もう少し視野を広げてみようみたいな促しは結構していました。
ブラッシュアップの方法っていろいろあるんですけど、ブラッシュアップの方向性とかアイデアを、他者に示してもらうよりも自分で発見する方が納得できるものになると思うんです。だから可能な限りは自分で調べて自分で気づいてもらえるように促していました。
目的と背景の説明は抜かりなく
文化祭ってかなりギリギリなスケジュールで準備を進めているんです。例えば、今年歌ってみたステージにiLiFE!の空詩かれんさんを呼んだじゃないですか。実はなんですけど、あれってかなりギリギリなスケジュールの中でスタッフが独断で呼んだんですよ。数値目標を達成するためにゲストを呼ばないといけないのだけれど「3月末まで呼べてなくてどうしよう」ってなったときに、僕がどういう人をオファーするのがいいか考えて、空詩かれんさんに決めたんです。
でもこれって生徒から見てみれば「なんで勝手に呼んでるんだ」って話じゃないですか。だから、ゲストは空詩かれんさんに決まりましたって生徒に説明するときも、「空詩かれんさんに決まりました。有名だからいいでしょ。」みたいな感じじゃなくて、ちゃんと説明をしました。なぜ空詩かれんさんをゲストにしたかというと、まずは有名だから。それから既存の磁石祭のゲストの男女比、生徒たちの企画に協力してくれそうか、歌の講評をするゲストが必要ということを考えてこの人を呼ぶことで僕らにメリットがあるから。そして実力派で売っていて売り出しの時期で、iLiFE!のリーダーとしてその名を轟かせたいという相手のニーズを汲み取ったから。だから「短い期間でお呼びすることができました」という感じで、決定されたものに対しての背景とか目的の説明をきっちり話してましたね。企画のアドバイスをする時も同じような説明の仕方をしていました。
大人は子どもとどう関わっていくべきか
親はどう子どもと関わったらいい?
ーー子どものやりたい活動に対して大人が手伝ったり支援するためにはどれくらいの距離感で接するべきでしょうか? 例えば子どもが「こういう習い事がしたい」と言ったときに親がそれを汲み取りながら、自分の意見も伝えたいときの距離の取り方などです。
子どもが親にこういうことをしたいって言って、それを汲み取るためのいい距離の取り方……。かなりあれですね、難しい。
習い事に限定して話をするんですけど、僕はお金だけ出してあとは基本関わらないっていうスタンスが一番いいのかなと思います。僕は昔習い事でそろばんと空手をやってて、空手でいうところの大事な大会や帯の進級のための試験のときに実際に会場に行って応援したりするというのはもちろんしてほしいし、するべきだと思うんですけどね。
年齢にもよるけど、深く関わって「今どうなってるんだ」「どういう状態なんだ」ってきいても、やっぱり聞かれたくないとか、恥ずかしい部分というかうまくいってなかったら親には言いたくないっていうこともあると思うから。相手が自発的に何か言ってきたら聞いてあげるけれどもこっちから聞くみたいなことはせず、お金を払って一生懸命頑張ってもらうっていう距離感がいいんじゃないかなと思います。
教員はどう生徒と関わったらいい?
ーーでは、先ほどの話が教員と生徒の関係に切り替わったらどうでしょうか。
さっきとシチュエーションがだいぶ違うと思うんですよ。教員と生徒だと多分年齢によっても違えば、やってる習い事とか学校によっても結構いろいろなことが違うと思うから、一概にこうとは言えないし比較ができないと思います。だけどある種教員は教育を促進しなければいけない立場なので、結構果敢に関わっていくっていうのが必要なんじゃないかなと思います。
例えば文化祭のプロジェクトなら「今どういう進捗になってますか」みたいなことを聞いてあげるというのは、こちら側から関わっていかないと発生しえない話じゃないですか。そういうことを主体的に行ったり、こちら側から関わった際に「次はこうしたらいい」とか「こうしたらもっとよくなるんじゃないかな」という、アドバイスをしたりする積極性を持つことが大切だと思います。
おわりに
村上さんのお話からは、去年の磁石祭の反省から生徒をよりサポートするためにいろいろな工夫をしていることが強く伝わった。
今回の取材では村上さんに大人目線で子どもとの関わり方を話していただいた。この話を聞いて僕は子ども側は、親と子どもの関係のときは大人が見守ってくれているから、いい結果が出たら親に伝えたり、困ったことがあったら相談したりすること、教員と生徒の関係のときは困っていることからできたことまで全部正直に伝えることができると思った。
大人と子どもの関わりについて、この記事が少しでも参考になれば幸いだ。


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