刺さるプレゼンの秘訣 だからあなたのプレゼンは刺さらない。

取材・文=すみやま(N高8期 通学コース)
みなさんはプレゼンテーションをしたことがありますか? 学生だと、授業の中で自分の成果やアイデア・考えを発表した経験がある人も多いと思います。私も授業内や課外活動など、様々な場でプレゼンテーションを行ってきました。ですが、プレゼンテーションを重ねるにつれてこんな課題を感じるようになりました。
「このプレゼン刺さってないなあ……」
説明することはできていても、相手の心に響いて、最終的に行動にまで移してもらえるようなプレゼンテーションができていない感触があったんです。みなさんの中にも「相手にうまく伝わらない」「このプレゼン、相手に刺さってない」そう感じる方がいるのではないでしょうか。今回はそんな課題を解決するべく、プレゼンテーションのプロフェッショナルに取材し「刺さるプレゼン」にはどういった共通点があるのかを探ってきました。プレゼンテーションが上手くなりたいそこのあなた! ぜひ最後までご覧ください。

鈴木祐介さん
TEDx Ambassador, TEDxTokyo 元共同代表 Nプレゼンフェス 探究部門の講師
※TEDxUTOKYO・・・※TEDxTokyo・・・東京で開催されていたTEDxの1つ。
※Nプレゼンフェス 探究部門・・・N高グループで開催されるプレゼンの祭典「Nプレゼンフェス」の部門の1つで、登壇者は自身の活動や探求してきたことをプレゼンテーションする。(https://nnn.ed.jp/news/szgqxuu5u/)
刺さらないプレゼンの典型例
すみやま鈴木さん、本日はよろしくお願いいたします。



よろしくお願いします〜。



まず最初にお聞きしたいのが刺さるプレゼンではなくて、刺さらないプレゼンってどんなものがあると思いますか?



ターゲットを絞っていないケースは多いと思いますね。Nプレゼンフェスの講師をしていても思いましたが「誰に届けたいですか」ときいても答えられない人が多いと感じました。そこがはっきりしていないと聞き手は「そもそもこれは誰に向けたプレゼンなんだ?」と感じるので、結果的に刺さらない状況になると思いますね。



ターゲットを絞ることでそのターゲットに合わせたプレゼンができるし、聞き手にもすんなり入っていくんですね。ちなみに、ターゲットを絞っていないケース以外のものでいうとどんなものがあると思いますか?



その場合は大衆に向けたプレゼンテーションになっていると思うので、オーディエンスのニーズと発信内容が合わないケースや、聞いてもらっている対象に興味関心がないケースはあると思います。決して聞き手が悪いわけじゃなくて、その場に合わないというケースですね。



プレゼンを作るには、ターゲットを絞っていれば刺さるプレゼンになるという捉え方もできるかなと思ったのですが、その点はいかがでしょうか?



それは微妙ですね。確かにターゲットを絞ることはすごく重要です。ただそれだけでは刺さらないですね。なぜなら相手の「聞きたい」とこちら側の「伝えたい」が合致していない場合は刺さらないので。片思いと一緒ですね。



なるほど! 確かに聞きたくないことは自分の心に響きませんし、一方的になってしまうイメージがあります。



そうですね。あともう1つ刺さらないプレゼンとしてあるのは、自分語りになってしまっていることかなと思います。要するに必要なのは、聞き手がなにかしらの価値を持って帰ることができるということですね。ただの自分語りだと価値を得ることができないので、刺さるプレゼンにはならないと思います。
【まとめ】刺さらないプレゼンは
・ターゲットを絞れていない
・相手のニーズを理解できていない
・自分語りになっている
というケースが多い。
刺さるプレゼンに必須なものはズバリ〇〇である



刺さらないプレゼンについてお聞きできたところで、ズバリ、刺さるプレゼンには何が必要だと思いますか?



チョコレートに例えますね。



チ、チョコレート?



コンビニで並んでるチョコレートってメジャーなものや、有名なものが多いですし、人気のあるものは手に取りやすい位置に置かれているわけじゃないですか。他のお菓子もそうですよね。でもチョコレート市場というものはコンビニだけじゃなくて、マイナーなものなら専門店や老舗にも一定の需要はあるわけですよね。



そうですね。



これを踏まえて、チョコレートについてプレゼンすることになった際に、チョコレートを普段はコンビニで買う人へのプレゼンと、専門店で買う人へのプレゼンでは需要が変わってきます。専門的なチョコレートの話に興味があるのか、チョコレートの歴史やフェアトレードなどの社会性に興味があるのかなど人によって様々です。まずはこの需要を把握することが重要です。
そしてその様々な需要に対してのプレゼンは、チョコレートの専門的なプレゼンを通して新しいチョコレートの興味を持ってもらったり、チョコレートを通してフェアトレードの概念をアイデアで伝えたりなど様々な目的が生まれます。この目的をはっきりさせることが非常に重要です。



需要の把握と目的を明確にすることが重要なんですね。確かに需要と目的にずれが生じると一気に意味のわからない話になってしまって、到底刺さるプレゼンにはならないのがイメージできます。ただ需要を把握することは人に聞いたり調べたりすることでクリアにできるけれど、目的を明確にすることは難しい気もしてしまいました。例えば、目的と手段が混同してしまって、目的がいまいち明確にならないことはよくあると思うのですが、これを避けるためにどういう考え方をしたら目的が明確になると思いますか?



まずはプレゼンすること自体は目的じゃないということを理解することが重要ですね。具体的にはそのプレゼンで何を伝えてどういう行動喚起ができるのかという部分が目的で、その手段がプレゼンであるという話ですね。僕自身、TEDxを15年くらい運営していると「TED出たいです!」みたいな声をかけてもらうことはあるんですけど、こういう人はTEDに登壇すること(プレゼンをすること)が目的なので、登壇は難しいですね。
あとは目的を明確にする際に「なぜその人が話すのか」という部分も明確にする必要がありますね。同じトピックでも自分が経験しているかしていないかでは言葉の重みが違うので、経験値を持った自分が話すことの意義を明確にすることは刺さるプレゼンにつながるかなと思います。



確かに行動喚起するには、言葉に重みのある人が話した方が相手には刺さりそうですね。自分の話す意義を明確にするには自分しか持ちえない経験や学びなどを軸にプレゼンする必要があると思います。でも、周りが持ちえない経験や学びなどは意外と自分にとっては当たり前のことで、自分視点では見えなかったりすると思うのですが、それに気づくには何をしたらいいと思いますか?



その経験や学びを誰かに話してみてください。話してみて、相手がつまらなそうにしているのか、興味を示してくれるのかを観察して、それを普段の雑談で蓄積すればその経験や学びに価値があるかは見えてくると思います。大事なのは特定の1人に話すんじゃなくて、色んな人に話してみることですね。



確かに普段の雑談の様子を観察するだけでも価値は分析できそうですね。



そうですね。ただ多くの人に刺さることだけが正解というわけではありません。例えるなら、偏差値50程度のありきたりなプレゼンを50人にしてある程度わかってもらうよりも、偏差値80の理解が難しいプレゼンが1人の人に刺さった方が、僕は圧倒的に価値があると思っています。
なんかどっかで聞いたことのある話よりも、世界に1つしかないすごくニッチな話だけど1人の人生を変えるくらいインパクトのある話の方が、僕はいいと思いますね。
【まとめ】刺さるプレゼンは
・需要の把握と目的を明確にすること。
・目的を明確にするためには「何を伝えてどういう行動喚起ができるのか」と「自分が話す意義」を考えること。
・自分が話す意義を見つけるためには日常会話で分析をすること。
最後に



最後に、刺さらないプレゼンの典型例をとってしまっていたり、刺さるプレゼンがなかなかできない人にアドバイスの一言をお願いします。



Nプレゼンフェスのコーチでは15名くらいのN高グループ生のプレゼンテーションをフィードバックしましたが、半数くらいは学生向けのプレゼンテーションだったかなと思います。それなのに周りの学生に対してプレゼンの内容の話をしないのは勿体無いと思いますね。
プレゼンの当日に向けて力を入れるのなら、そのプレゼンを広げる草の根活動を、日々の雑談でもなんでもいいからした方がいいと思います。
あと、これは学生にあるあるですが、「プレゼンの場を神格化しすぎ」です。会場が400人だとしたら、本来は400人の中のターゲットである何人かに話してるはずなのに、全員に対して話してしまうんですよね。本当は1人の目をみてその人のためにプレゼンをしてもいいはずなのに。



確かにステージに立つと全員に話すことを考えてしまいますね。



そうなんですよね。だからこそ考えてみて欲しいのが、自分のプレゼンを振り返った時に、プレゼンと同じくらいのテンションで同じターゲットに同じことを言えるのかということです。多くの人はこの回答に困ると思うので、日常会話も1つの機会として捉えて練習してみてください。そうすると「伝えたいことを伝える」「プレゼンが上手くなる」といった機会の損失は防げるし、プレゼンの核となる「何を伝えるか」という部分が磨けると思いますね。



日常会話も練習の一環なんですね。日常の思考や意識の高さが刺さるプレゼンを生むのかもしれないですね。



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