生徒会が「心に残った至極の一冊」を本気で選ぶ。読書座談会後編

私がおすすめしたいのは「植物図鑑」という本です。冴えないOLが謎の男と出会って心を通わせる、というあらすじの本。キュンキュンするし、章ごとに植物に付随したエピソードが展開されるから面白いんだよね。

まじで偶然なんですけど、僕がおすすめしたいのは有川浩の「阪急電車」です。これは、阪急線（※）の中で起こる人々の人間模様が描かれた作品です。

物語の舞台になっている阪急線っていうのが僕の地元で、まさにいつも使っている路線なんですよね。だからこそ、物語の中の出来事に僕の知っている日常の風景が織り込まれていて、惹かれました。

わかるー。

表紙が独特でおしゃれですね。

私が紹介したいのは、「dele」シリーズの、特に「dele2」です。
個人から託されたデータを極秘に削除するディーリードットライフという会社を舞台に、そこで働く坂上圭司と真柴祐太郎という人の物語がすごくリアルに描かれています。
「dele2」は真柴祐太郎について触れられていて、彼の妹の過去が物語の中のいろんな要素と繋がっていく展開がすごく面白くて心に残ってます。

そういえばそうかも。こういう系統、よく読みますね。

「バビロンの大富豪」という本を紹介したいです。小学校高学年か中学年ぐらいにお父さんに買ってもらった本です。

投資について分かる本なんですが、堅苦しいわけではなく、古代のバビロンの人たちが「どうやって豊かに過ごすのか」について会話していく構成になっています。バビロンの大富豪の知恵が詰まっていて、すごく読みやすいですね。
ファンタジーとかも読むんですけど、やっぱり情報をインプットできる本が好きです。小学校の時も図鑑ばっかり眺めていました。

私が一番心に残った本は「仮面山荘殺人事件」です。東野圭吾さんのミステリーの本ですね。

八人の男女がある山荘に泊まった時に、逃亡中の銀行強盗が侵入してしまい、八人が人質になるんです。外部と連絡を取ろうとしても全部失敗し、最終的に八人の中の一人が殺されてしまう。八人の中で誰が一体犯人なのかっていうのを探すミステリーです。

なんでこれが一番好きかというと、私がミステリーを好きになった原点の本だからです。ミステリーにこんなオチがあるんだって驚かされて、それ以来ミステリーの虜になりましたね

ぜひ読んでください。驚きますよ、これは。

最近読んだものだと、杉井光の「世界でいちばん透きとおった物語」です。
大御所ミステリー作家・宮内彰吾の非嫡出子の息子である藤阪燈真は、父が遺した未発表小説『世界でいちばん透きとおった物語』を探すため、遺稿を追う旅に出ます。
書籍ならではの”仕掛け”がある体験型ミステリー小説なので、物語そのものに加え、本という物理的形態自体が仕掛けの一部になっています！
読後の満足感が半端なかった作品で、伏線があらゆるところに散りばめられていて、タイトルすらも伏線になっているところが衝撃的でした。伏線回収の瞬間がとてつもなく気持ちよかった。
読み進めるたびに引き込まれていって、ページを捲る手が止まらなかった作品です。

このお題難しくて。彷徨った結果、偶然なんだけどさっき愛禾ちゃんがあげていた（前編にて登場）、「ぼくは勉強ができない」にしました。

別に長いわけでもないし、文体が難しいというわけでもないんだけど、ちょっとひねくれているから簡単に共感できるストーリーではないというか。少しひねくれた主人公の気持ちを理解するのが私には簡単ではなかったので、これにしました。

そうそう。主人公が高校生だし、かなり読まれていると思うんだけど、だからこそ違う角度からずっと掘っていける。

僕は、読書において「難しい」ってなんだろうっていうのを考えた時に、他よりも感情移入しにくいものかなと思いました。だから、重松清の「ビタミンF」という本を紹介します。これ、たしか2001年の直木賞だったかな（※）。

主人公が、いわゆるアラフォーと呼ばれる40歳前後の男性なんです。僕ら中高生ってせいぜい十数年しか生きていないから、「父親視点の世界」に共感しにくいな、と感じて。

父親からみる家族ってどんなものなのか、子供とどう向き合えばいいのか、そういったことが如実に書かれているので、僕はこれをチャレンジの一冊としておすすめしたいですね。

いいね、ちょっと時代が古い小説もいいよね。

私が紹介したいのは「人魚の眠る家」です。離婚を考えていた夫婦が、娘の事故をきっかけに娘の生死に関わる究極の選択を迫られるという物語で、映画化もされてます。

私は大体、原作を読んでから映画を見たいタイプなんですけど、この本は長めで、読むのを先延ばしにしちゃっているので、まだチャレンジの一冊です。

さっきクリフォトも言っていた、「ハリーポッター」シリーズを紹介したいです。実は全巻持っているんですが、まだ途中までしか読めていないので、個人的にはチャレンジの作品かなと。早く読んで映画作品と小説の違いを味わいたいなと思っているので、ちょっとずつ読み進めています。

私が紹介するのは「二木先生」です。
簡単に説明すると、周りに変人扱いされる、「普通」になりたい男子高校生が、同じく自分と同じように普通じゃない「変」な人なのに普通のフリをしている二木先生の秘密を知り、脅して交渉して、自分が普通になるために行動していく物語です。

かなり人を分ける内容ではあるんですけど、「普通ってなんだ？」というのを本当に考えさせられる一冊なので、これがチャレンジの一冊かなと思いました。

いいですよね、この表紙。作中の一節が書かれているんです。

「N」道尾秀介
自分自身もまだ読めてない作品です。
全6章の連作短編で、読む順番によって720通りもの物語がある作品なので、自分なりの物語を見つけてほしいです。紙の文庫限定で章ごとに本文が上下逆さに印刷されていて、読者が工夫しながら読み進められる作品なので、ぜひ電子ではなく、文庫を買ってほしい！

私はやっぱり、想像力が豊かになったことかな。
「自分以外の人になれる」っていうのが読書の一番いいところだと思っていて。絵で描かれるわけでもないし、誰かが演じるわけでもない。描写されている世界が一つに決定されないから、自分の好きなように解釈して思い描けるんだよね。

弊害の方を回答すると、私、波にのっちゃったら読むのをやめられないんだよね。小学校の時、妹と協力して図書室でシリーズものを十冊借りて、1日で読んじゃったことがありました。もちろん朝から晩まで。

僕は、少しゆひのもさんと似ているんですが、本の数だけ人生観が増えて、自分の考え方がアップデートされていくことが良い影響かなと思います。
重松清の本のことでさっきも言いましたが、父親の視点、いじめの加害者の視点、大事な人を失った視点、とか、自分では体験したことのない立場を擬似体験できるっていうのは読書ならでは。それを経て、自分の視点、考え方が成長していっているような気がします。

弊害の方は、単純に本に割く出費が増えましたね。新品で買うと高いので。

わかる。図書カードをくれる人がいたら手を叩いて喜びます。

図書カードといえば、大学の資料請求を〇〇個以上したら図書カードプレゼント、というキャンペーンがあって。それを利用しようと大学の資料請求しまくったら、家に大学の資料が山ほど届いたことがありました。あの資料の量はやばかった。

（爆笑）

わかる、それ。最終的に肩をつつかれて我に返る、っていうのがお決まりだった。

想像力が確実に伸びたなと思います。あと、わからない単語とか地名が作中に出てくる度に気になって調べるので、知識がどんどん増えていっていると思います。キャンパスまで通学するのに電車で大体30分かかるんですけど、その時間は読書で有効に使えていると感じるようになりました。

僕は、本を読んだ上で自分で色々考えるのが好きなので、読めば読むほど思考力は上がったと思うし、好奇心も本で満たされましたね。あとは、日常生活で「これってあの本に書いてあったあれと関係あるのかな」と考える機会が増えました。

皆さんの話もすごくわかります。
自分は趣味で執筆をしているので、文章力は上がったと思いますね。あとは、世界観を構築するための想像力であったり、読解力も上がったかな。

本を読んでいると、自分の人生も物語みたいなものなのかなと時々思います。自分が人生という物語の中の主人公だとしたら、「主人公なりに色々やってみようぜ」とすごくポジティブに考えるようになりましたね。

確実に語彙力と想像力が鍛えられて、読書を楽しむ感性が豊かになった！
自分はミステリー/歴史/青春/恋愛/フィクション……などなどいろんなジャンルの小説を読むからこそ、自然と知識の幅が広がり、様々な分野の理解が深まりました。
ただ、夢中で読み進めていると気づいたら何時間も経っているということがよくあるので、気をつけなければいけないなと思っています（笑）。