【N中生が作ったノベルゲームでN中PR!!】通学コースシナリオ大公開第6弾 〜12月(オープンキャンパス)〜

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文=愛禾(N中等部2年 通学コース)
シナリオ=N中職人計画シナリオチーム

2025年4月に行われた、磁石祭ZERO2025。筆者はオンライン会場にて、「N中生が作ったノベルゲームでN中PR!! 〜ノベルゲームでN中生になってみませんか〜」(※)という企画を出展した。N中の1年間を体験できるノベルゲームをN中生で制作し公開、またメンバーによるYouTube生配信も行った。

実は、磁石祭で公開できたゲームは「ネットコースゲーム(※)」のみ。本来、通学コースのゲームも制作していたのだが、期間やメンバーの卒業といった都合により、「ノベルゲーム」という形にすることは叶わないままとなった。しかし、通学コースゲームもシナリオだけは完成していたため、「このままシナリオをお蔵入りにするのは惜しい!」と思い、N高グループ新聞で発表をしようと考えた。

このシナリオは連載である。何しろN中の1年間を詳細に描いたものなので、長い。ただその分キャラクターやイベントのリアリティある描写などにはシナリオ制作者一同こだわっているため、最後まで付き合っていただきたいと思う。

それでは早速、本編に入っていく。第6弾となる今回は、「12月(オープンキャンパス)」。

第1弾のプロローグ・4月(入学)はこちら

※「N中生が作ったノベルゲームでN中PR!! 〜ノベルゲームでN中生になってみませんか〜」について……この企画についての詳細な記事はこちら。シナリオ等のネタバレは一切行っておらず、制作裏やメンバーの意気込みなどを知ることができるため、先に読んでもらえるとさらに楽しめると思う。

※ネットコースゲーム、通学コースゲーム……N中等部には、キャンパスに通学する通学コースと、週に二回zoomで授業を受けるネットコースの二つがある。イベントや授業形態などが大きく異なるため、筆者の企画では二つのゲームに分けて制作を進めた。

目次

初めに・キャラクター紹介

シナリオの表記は以下のようになっている。

「」内の文章|セリフ
()内の文章|キャラの心の声
【】内の文章|架空コミュニケーションツールSlock上でのやり取り
=に囲われている太字の文章|シーンの変更、説明
何も使用されていない文章|テロップ

また、磁石祭ZEROネット企画出展の都合上、アプリケーションの名称等を一部変更している。
この先、〇〇(あなたの名前)はあなた(読者、プレイヤー)と同一人物である。

キャラクター一覧

※この先登場するキャラクター含む

①主人公 〇〇(あなたの名前)
学年:中学2年生(中2 4月入学)
登校頻度(※):週3

②西原梨々華(さいばら りりか)
性格:明るい・たまに天然
性別:女子
学年:中2
誕生日:5/8
趣味:ゲーム・動画編集
slock名(※):リリカ
登校頻度:週3

③伊藤優(いとう ゆう) メンター(※)
学年:20代-30代
誕生日:7/13
趣味:園芸・猫の世話
特技:聖徳太子みたいな聞き分け能力
slock名:mentor_Ito_yu

④早川このみ(はやかわ このみ)
性格:おとなしい
性別:女子
学年:中学1年生
誕生日:1/9
趣味:イラストを描くこと
slock名:このは
登校頻度:週3

⑤天音龍樹(あまね たつき)
性格:明るくマイペース
性別:男子
学年:中学1年生
誕生日:7/21
趣味:楽曲制作・音楽を聞くこと
slock名:龍樹
登校頻度:週3

⑥神楽とと(かぐら とと)
性格:面倒見がよく姉御肌
性別:女子
学年:中学3年生
誕生日:4/27
趣味:アニメ、映画鑑賞・声優の研究・漫画を読むこと
特技:声真似
slock名:とと
登校頻度:週5⑦宝城五木(ほうじょう いつき)
性格:優しいが短気・少々毒舌
性別:女子
学年:中学3年生
誕生日:5/8
趣味:プログラミング(ゲーム制作)・ゲーム
slock名:タカラ
登校頻度:週5

⑧柊透(ひいらぎ とおる)
性格:内気で無口・打ち解けると比較的よく笑う
性別:男子
学年:中学3年生
誕生日:11/19
趣味:プログラミング(サイト制作)・デザイン
slock名:柊
登校頻度:週3

⑨伊虎香奈(いとら かな)
性格:明るく気が強い
性別:女子
学年:中学2年生
誕生日:8/22
趣味:漫画を読むこと・アニメ鑑賞・サッカー
slock名:Kana
登校頻度:週1

⑩青沼孝介(あおぬま こうすけ)
性格:天然・強烈な博多弁を使う
性別:男子
学年:中学2年生
誕生日:3/16
趣味:ゲーム・YouTubeをみること
slock名:あお
登校頻度:週1

※登校頻度……N中等部では週5、週3、週1の中から登校頻度を選ぶことができる。3ヶ月に一回(4月、7月、10月、1月)変更が可能。

※slock名……架空コミュニケーションツール「slock」では、個人がアカウント名を設定できる。

※メンター……N中等部、N高グループにおいて学習面・生活面で生徒をサポートする職員のこと。

=終わりの会・放課後=

伊藤優
「それでは、最後にお知らせです!」

キャンフェスが終わり、『なんか一大イベント終わった感』にキャンパス全体が包まれている。
〇〇(あなたの名前)が隣の席を見ると、リリカさんがぐたぁっと眠そうに座っていた。

伊藤優
「毎月行っているオープンキャンパスですが、12月も開催します!
12月の第二土曜日に行うので、ぜひスタッフに応募してくださいね。
詳しい募集要項は、キャンパスのチャンネルに載せているので見てみてください」

〇〇(あなたの名前)
「リリカさん! 今の話、聞いてた? そもそも、起きてる?」

西原梨々華
「起きてる起きてる! キャンフェスの話でしょ?」

〇〇(あなたの名前)
「……そうかもね……」

呆れつつ、〇〇(あなたの名前)はslockを開いてキャンパスのチャンネルを開いた。
キャンパスごとにtimes、プライベートチャンネルの二つが用意され、そこで大事なお知らせの確認や雑談をする。

伊藤優
「みんな早速確認してくれてありがとう! とりあえず今日は挨拶をして終わりにしますね」

終わりの会の挨拶をした後、〇〇(あなたの名前)とリリカは、チャンネルに投稿された文章を読み始めた。

西原梨々華
「オープンキャンパスって、もしかして私たちが入学する前にきたイベントのこと?」

〇〇(あなたの名前)
「そう!  ほら、ここに書いてあるでしょ。」

募集文は以下のようなものだった。

【募集!】12/xx(土)オープンキャンパスのスタッフ募集!
某所キャンパスで開催されるオープンキャンパスのスタッフを募集します。

  • ▼時間
    • 9:30 〜 13:00
  • ▼やること
    • 入学検討者の方へのプレゼン
    • 体験授業のサポート など
  • ▼募集人数
    • 2〜3人
    • プレゼンせずに、お手伝いのみの参加でも大歓迎!

やってみたい方はメンターまでお声がけください!』

〇〇(あなたの名前)
「つまり、N中の入学を検討している小中学生がN中を体験しにくるイベント、ってことだと思うよ?」

伊藤優
「そうですね! そういうことになります。たぶんリリカさんたちも入学前にきたんじゃないかな? 私、2人のこと覚えていますよ」

〇〇(あなたの名前)
「うわ伊藤さん!」

〇〇(あなたの名前)たちは、思ったより大きな声で話していたらしい。気がつくと背後には伊藤さんが立っていた。

西原梨々華
「きましたきました! なんか、N中生の学校生活についてのプレゼンを聞いて、PBL(※)の授業の体験をした気がする」

〇〇(あなたの名前)
「だからここにそう書いてあるじゃんね……」

伊藤優
「結構人気のイベントなので、もし興味があれば早めに教えてくださいね〜」

伊藤さんはパソコンを抱えてメンターの席へ戻って行った。

西原梨々華
「なんか、伊藤さんって、すっと現れてすっと消えるよね……」

〇〇(あなたの名前)
「そういう妖怪いるよね……?」

伊藤優
「ぬらりひょんですね!」

席に戻ったはずの伊藤さんが、答える。

西原梨々華
「しかも地獄耳だし……」

〇〇(あなたの名前)
「……まあまあ! どうしよう? これ、リリカさん参加する?」

西原梨々華
「ごめん! 私はパスかな〜。この日、家族で温泉行ってくるんだ〜」

〇〇(あなたの名前)
「そっか……いいなぁ、温泉」

リリカさんは参加しないらしい。〇〇(あなたの名前)はGlegleカレンダーを見てみた。xx日は空いている。

〇〇(あなたの名前)
「どうしようかな……。キャンパスの中でも話したことない人、いるんだよなぁ……。初対面の人と一日運営とかは避けたいし」
「でも、N中に入ってから8ヶ月間の色々を話してみる機会とか、欲しいし……」

<選択肢1>

〇〇(あなたの名前)
「いや、でも! すごく楽しそうだし、新しい出会いもあるかもしれないし……。来年入学してくるかもしれない人たちに先に会えるのは嬉しいしね! 応募してみる!」

西原梨々華
「お! いいじゃん!」
「伊藤さん〜! 〇〇(あなたの名前)さんがオープンキャンパス参加したいらしいです!」

〇〇(あなたの名前)
「ちょ、リリカさん、叫ばないで……」

伊藤優
「ありがとう〜! もうすでに参加者名簿に追加しておきました!」

〇〇(あなたの名前)・西原梨々華
「おぉ……」

〇〇(あなたの名前)
「あ、ありがとうございます!」

〇〇(あなたの名前)はオープンキャンパスに参加することとなった。

※PBLとは……プロジェクトベースドラーニング(課題解決型学習)の略。プロジェクト解決を題材としてグループワークやプレゼンなどを行う、N中では毎日2コマ行われている授業。

=〇〇(あなたの名前)の部屋=

〇〇(あなたの名前)は家に帰ると、早速オープンキャンパスのことを考え始めた。

〇〇(あなたの名前)
「結構、ノリで参加しますって言っちゃったしな〜。 何をどうするのかもまだ全く把握していないし」

〇〇(あなたの名前)
「お! GDMに招待された〜」

GDMとは、グループDMの略称だ。
DMは1対1のメッセージだが、GDMでは複数人とメッセージでやりとりすることができる。

〇〇(あなたの名前)のslockの画面には、slock名でKanaさん、龍樹さん、そして〇〇(あなたの名前)のキャンパスのメンター伊藤さんの名前が表示されていた。

〇〇(あなたの名前)
「龍樹さんって誰だ? Kanaさんも知らない人かも……。そもそも、このGDM、なんの目的のもの?」

〇〇(あなたの名前)がそう思ったとき、メンターさんからGDMでメッセージがきた。

伊藤優
【皆さんこんにちは^^。今回は、某所キャンパスのオーキャンスタッフに応募いただきありがとうございます! 今後、このGDMでやり取りをしていきますのでよろしくお願いします。】

【早速ですが、オーキャン概要の確認とメンバーの紹介です!
開催日時は12月xx日の9:30-13:00、場所は某所キャンパスです。メンバー紹介も兼ねてやることを説明しますね!
@〇〇(あなたの名前)さん、@Kanaさんが入学検討者に向けてのプレゼンと体験授業サポート、@龍樹さんが体験授業サポート担当となります。
プレゼン担当の2人にはスライドのテンプレートを渡すので、当日までにスライドの作成をお願いしますね!】

オープンキャンパスのことを、省略してオーキャンと呼ぶらしい。
メンターさんからは、メッセージとともにglegleスライドのテンプレートのリンクが届いた。

伊藤優
【あと、皆さんにお礼として、ちょっとだけお菓子と飲み物(+経験)を用意したいと思っています。
好きなお菓子や、逆に、NGなものを教えてください〜!】

〇〇(あなたの名前)
「お菓子もらえるんだ。別にお菓子好きではないけど、煎餅あたりだったら嬉しいかも。まあ、後で返信しよう。」

〇〇(あなたの名前)
【質問です! スライドって、何を書けばいいんでしょうか?】

伊藤優
【いい質問ですね〜! プレゼンの相手はN中に入ろうか迷っている人、これから入学する人、そしてその親御さんなので、自分がN中にきてよかったこと、今の生活スタイル、などを書いてくれるとありがたいです。詳しくはテンプレートを見れば、わかるのではないかと思いますよ。他にも何かあれば質問くださいね!】

〇〇(あなたの名前)
【わかりました。ありがとうございます!】

〇〇(あなたの名前)は早速、glegleスライドのテンプレートを開いた。
『N中にきた理由』『N中にきてよかったこと』『今力を入れていること・これから頑張ること』『N中内での活動』『入学検討者へのメッセージ』などの項目がある。
これらにそって、一つの話題につきスライド1、2枚にまとめていくらしい。

〇〇(あなたの名前)
「よ〜し。やるか〜!!」

〇〇(あなたの名前)は早速、入学から今までのN中生活を思い出して作成を始めた。

=キャンパスの昼休み=

西原梨々華
「〇〇(あなたの名前)、どう? スライドの作成は順調?」

〇〇(あなたの名前)
「まあまあかな」

西原梨々華
「えー! なんでそんなに自信ないの? もっと自信を持って『完璧だよ!』みたいなリアクションが欲しかったのに……」

謎の欲望が満たされずにぶつぶつ言っているリリカさんを横目で見つつ、〇〇(あなたの名前)は残りのおにぎりを口に入れた。
N中は基本的に昼食持参というルールで、外で食べるのでなければテイクアウトなどを買いに行くことも可能になっている。

天音龍樹
「あの、〇〇(あなたの名前)さんっすか?」

〇〇(あなたの名前)
「へ? あ、は、はい」

突然声をかけられて、喉に米粒をつまらせる〇〇(あなたの名前)。リリカさんがそれをみて、かなり申し訳なさそうに笑っている。

天音龍樹
「あー、いきなり話しかけて申し訳ないっ!! 俺、天音龍樹です! 今度オーキャンスタッフで一緒の」

〇〇(あなたの名前)
「え!? 週3だったの!?」

西原梨々華
「へ〜! 龍樹くんもオーキャン参加するんだ?」

どうやらリリカさんと龍樹さんは知り合いらしい。

天音龍樹
「『週3だったの?』って、授業のグループ分けの表とかに、名前載ってますけど……。
『オーキャンに参加するのって?』って、俺、リリカに真っ先に言ったけど……。
なんなら、今日、昼休み話しかけにいきますとも伝えたはずなんだけど……」

西原梨々華
「あれ〜? そうだっけ? ごめんごめん!」

天音龍樹
「と、とにかく、よろしくです! 俺、プレゼンは苦手なので今回は手伝いだけですけど!」

〇〇(あなたの名前)
「よろしくお願いします〜」
「もう1人、Kanaさんって知ってますか?」

西原梨々華
「あー伊虎ちゃんね〜! RINE知ってるよ」

天音龍樹
「リリカは顔広すぎ! 伊虎さんは俺も話したことないから、多分週1生かなと思います!」

〇〇(あなたの名前)
「あ、そうなんだ!」

通学コースの週1は火曜日に登校してくるので、月水金登校の週3とは、普段会うことはない。
イベントなどで一緒になることはあるが、顔を合わせるのは年に数回だ。

西原梨々華
「そうだ! 龍樹さ〜、デザインとか、ものづくり系そこそこ得意じゃん!
〇〇(あなたの名前)がスライドデザインで詰んでるっていうから、教えてあげたら?」

天音龍樹
「そこそこ得意……って、褒め言葉なのかな?」

〇〇(あなたの名前)
「別に詰んでないんだけどね……。 何かプログラミングとかやってるんですか?」

天音龍樹
「俺は、いつも音楽作ってますね! デザインもやろうと思えば、まあそこそこ……」

西原梨々華
「よし!! 龍樹先生のスライドデザイン講座だ!」

リリカのスーパー強引な性格によって、〇〇(あなたの名前)と龍樹(並びに、観客となった席の周りの生徒数名)の昼休みはデザイン講座に強奪された。

=オーキャン当日=

 =家=

オーキャンが始まる時間はいつもの登校時間と同じだった。


「今日なにかあるっけ? 土曜日だよね?」

〇〇(あなたの名前)
「オープンキャンパス! 11月の終わりくらいから、ずっと言い続けてたと思うけど……。 N中の入学検討者の学校体験みたいなやつだよ。」


「へ〜知らないけど、とにかく楽しそうでよかった。」
「頑張りなさいよ!」

〇〇(あなたの名前)
「はぁ……。はい」

知らない、とは言うものの、〇〇(あなたの名前)は入学前に行っているのだから知らないはずはない。おそらく忘れているだけなのだろう。お母さんに無駄に喝を入れられたせいで、〇〇(あなたの名前)は若干緊張し始めた。

=キャンパス=

〇〇(あなたの名前)はキャンパスに到着した。

〇〇(あなたの名前)
(そういえば、入学したての日には、1人でキャンパスに行くこともできなかったんだっけ……。)

〇〇(あなたの名前)
「おはようございます!」

伊藤優
「おはようございます〜! いつにもまして元気ですね〜! よかった。」

天音龍樹
「おはようございます!!」

〇〇(あなたの名前)
「あ、お、おはよう!」

熱いデザイン講座を受けた後、龍樹さんとはわりに親しく会話をしていた。
龍樹さんとは昨日も会ったのに、感動の再会を果たしたと言わんばかりの勢いで挨拶をしてくる。

伊虎香奈
「おはようございますっ! 初めまして、ですよねっ」

〇〇(あなたの名前)
「お〜! 初めまして!」

伊虎さんは明るい雰囲気の、でもリリカさんやととさんとも違う魅力のある人だ。語尾を跳ね上げて話す癖があるようだ。

伊虎香奈
「全員集まりましたね」

それから〇〇(あなたの名前)たちは学園の入学広報部の職員さんに挨拶をし、プレゼンの練習や今日の流れの説明を受けた。
10時をすぎたころから、オープンキャンパスに参加する人たちがやってきた。
母親や父親、中には兄弟と共にきている人もいる。これから入学できる人が対象なので、主に小6から中2が多い。中には中3の人もいた。おそらく1月に入学する人なのだろう。N中には年に四回入学機会がある。

天音龍樹
「おはようございます!!!!」

伊虎香奈
「おはようございますっ」

2人が真っ先に挨拶をした。参加者と同じく、〇〇(あなたの名前)はその勢いに圧倒されてしまった。挨拶をしないと。

〇〇(あなたの名前)
「おはようございます!」

参加者はまず、メンターさんからN中の授業や学校生活の説明を受ける。
そのあと、PBLという毎日2コマある授業の説明を受けて、最後に〇〇(あなたの名前)たちのプレゼンだ。
参加者たちを向かい合わせにさせた6人席に案内すると、〇〇(あなたの名前)たちもそれぞれ席についた。
保護者は後でグループごとに着席する。

伊藤優
「はいこんにちは〜! 今回、オープンキャンパスの進行を主に務めさせていただきます、某所キャンパスキャンパス長の伊藤優と申します」

〇〇(あなたの名前)
「メンターさんがいつもより、ぱきっとして見える」

天音龍樹
「小学校の授業参観の時、いつもジャージの担任がスーツを着てきてたのを思い出すね」

隣のグループの端に腰掛けた龍樹が、通路を挟んだ〇〇(あなたの名前)に話しかけた。

〇〇(あなたの名前)
「わかる……。でも、ちゃんと話聞こうね」

天音龍樹
「そんなの当たり前じゃないですか〜」

話しかけてこようとする龍樹を抑えつつ、でも周りの参加者とも交流しつつ、あっという間にPBLの授業が始まった。

〇〇(あなたの名前)
「自分の名前は〇〇(あなたの名前)といいます! 今年の4月に入学した、中学2年生です。お弁当を食べるのが好きです。よろしくお願いします!」

生徒1
「わぁ、大先輩だ! 私は小6です」

〇〇(あなたの名前)
(小6……もう3年前なのか。眩しい……)

今更ながら、〇〇(あなたの名前)は年下が苦手だったことを思い出した。

そして年上もあまり得意ではなかった。N中には学年によるクラス分けもないし、年齢を言う機会もほぼない。強いて言えば、8月から1月2月にかけて受験の話をするのが中3、くらいの認識なのだ。敬語もタメ口も基本はごちゃ混ぜで、とても気楽に話すことができる。

伊虎香奈
「伊虎香奈です。 サッカーとか運動が得意で、アニメも好き! よろしくお願いしますっ!」

他のグループからは、龍樹くんや伊虎さんが話す声が聞こえてきた。

PBLの体験授業ではブレインストーミングというものをやった。N中ではよく使われるもので、その内容がいいか悪いかにかかわらず、とにかくアイデアを出していくというものだ。『未来のスマホにありそうな機能』というのを皆で考えた。

伊藤優
「それでは、次に在籍生徒の発表を始めたいと思います。
今回は、中2の伊虎香奈さん、〇〇(あなたの名前)さんが登壇してくれます!」

ぼうっとしていると、あっという間に時間がすぎて、生徒発表のフェーズに入った。〇〇(あなたの名前)は2番目に発表する。先に伊虎さんがプレゼンをしてくれるのは、少し心強い。

伊虎さんがモニターの前に行き、プレゼン資料を投影した。

伊虎香奈
「それでは、発表を始めていきたいと思います! N中等部2年、伊虎香奈です。」

〇〇(あなたの名前)
「すごいなぁ……」

若干強気な伊虎さんの声はとても聞き取りやすい。
スライドデザインも見やすくて個性が出ているし、全くと言っていいほど噛んでいない。

伊虎香奈
「N中に来てから挑戦していることは、アニメーション制作です。
元々、サッカーや運動が好きでアウトドアな性格なので、全くといっていいほどやってこなかったんです。
でも、アニメを見ることが好きなので、『自分で作ったキャラクターを自分で動かしてみたい!』と思い、始めました」

伊虎さんが先にやってくれれば、少しは気が楽になるかと思った。
でも、彼女のプレゼンのクオリティがとても高いせいで、ハードルが爆あがりだ。

伊藤優
「伊虎さん、発表ありがとうございました〜! N中で使用できるツールを有効活用して自身の興味を突き詰めている姿、素敵でしたね」
「続いて、〇〇(あなたの名前)さん! 発表をお願いします」

〇〇(あなたの名前)
「はっは、はい!!」

(やばい、終わった……。変な返事しちゃった……。)

〇〇(あなたの名前)は天変地異でも起こって、参加者たちの興味がそれてくれないか、と願ったが、さすがにそんなことは起こらない。〇〇(あなたの名前)はモニターの前に向かった。

〇〇(あなたの名前)
(壁にかかっている時計が『記憶の固執』の絵みたいに見えてきた……)
「そ、それでは発表を始めます! よろしくお願いします。」

40個くらいの目玉が〇〇(あなたの名前)を見つめている。
全部じゃがいもだと思え、といわれることもあるが、それを実践できる人はそもそも緊張しないような人だと思う。

〇〇(あなたの名前)
「学年は中学2年生で、好きなことはお弁当を食べることです!」

一応、場を和ませるために入れた趣味だったのだが、参加者はフリーズドライのごとく凍りついた。何人かの保護者が苦笑する。

〇〇(あなたの名前)
「今日は、『N中にきた理由』『N中にきてよかったこと』『今力を入れていること・これから頑張ること』『入学検討者へメッセージ』の内容を紹介していきます」

声はうわずっているし、ジャガイモどころか一つ一つの視線が〇〇(あなたの名前)の顔に突き刺さっているように感じる。自分でも何を話しているのかよくわからない。

〇〇(あなたの名前)

「最後に、入学検討者の方へのメッセージです。」
「皆さんは、様々なバックグラウンドを持っていると思います。そして、今の自分を変えたい、もっと成長したい、と思っている人は何人もいるはずです。私も、そうです」
「私は、『N中に入れば成長できる』とは思いません。思っているだけで何もしなければ、何もないまま中学校生活は終わります。それは他校も同じ」

「でもN中が他の全日制の中学校とは違うのは、『1打てば100返ってくる』ところです。
自分はこうなりたいから、この努力をする、この手段をえらぶ。自分なりに実行すれば、必ず何人もの仲間と、何人もの職員さんが力をかしてくれるし、尊敬も応援もしてくれる」
「『頑張る』ことがこんなに応援される環境に、今、自分がいることが、何よりも嬉しいし楽しいです」
「ご清聴ありがとうございました!」

それからの〇〇(あなたの名前)の記憶はほぼない。とにかく楽しく、面白かったのは覚えている。
あと、たくさんの保護者さんと話したこと、龍樹の満面の笑み、伊虎さんの興奮した声、メンターさんの褒め言葉。
気がつくと、〇〇(あなたの名前)は電車の優先席によりかかっていた。

〇〇(あなたの名前)
「終わった……。記憶がほぼないなぁ」
「でも、なんか楽しかったなぁ」

〇〇(あなたの名前)のその嬉しい余韻は、もらった煎餅が醤油ではなくサラダ味だったことのショックと、連続ドラマが終わり機嫌の悪い母との会話があっても、決して消えることはなかった。

終わりに

シナリオ公開第6弾、いかがだっただろうか。オープンキャンパスへの登壇は希望制だが、入学検討者の方々の前で話すことができる良い機会だ。在校生の方はぜひ参加してほしいと思うし、入学検討者の方は登壇する生徒側の視点を知ってもらえればいいなと思う。次回はシナリオ公開第7弾「またねの会」。シナリオ内ではとうとう3月に突入する。お楽しみに!

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