ZEN Studyのライブ授業を現地取材! 〜創作活動における生成AIとの付き合い方〜

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取材=瑠璃、toran
文=瑠璃(S高3期・通学コース)

N高グループ生なら誰しも利用しているZEN Study(旧N予備校)ですが、「ライブ授業」の存在は知らないという人も多いのではないでしょうか。2024年4月にこんなライブ授業が行われていたこと、みなさんは知っていましたか?

「生成AIと創造性」芥川賞受賞作家に聞く、AI時代の「文学」

このライブ授業が行われた現地を、N/S高新聞実行委員として取材させていただきました。最近話題の生成AI、興味はあるけれど使ったことのない方、創作活動に活かしているのか気になっている方はぜひ最後までお読みください!

またZEN StudyやYouTubeにアーカイブが公開されていますので、記事と併せてご覧ください。

目次

ライブ授業のゲスト・MCをご紹介!

ゲスト

九段理江
2021年に「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞しデビュー。2024年1月17日に「東京都同情塔」で第170回芥川龍之介賞を受賞。

九段理江さん

佐藤理史
名古屋大学大学院工学研究科教授。公立はこだて未来大学のAI小説創作プロジェクト「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」のメンバー。

佐藤理史さん

MC

ヨビノリたくみ
理系大学生向けのYouTubeチャンネル『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』を運営する教育系YouTuber。小説を紹介する「ほんタメ」のMCも務める。

ヨビノリたくみさん

そもそも生成AIって?

さて、最近はさまざまな分野で生成AIが話題になっていますが、そもそも生成AIと従来のAIは何が違うのでしょうか?

従来のAI
情報の整理や自動化によって、決められた行為を自動化・効率化する。

生成AI
新しいコンテンツを自動的に作成するために設計された人工知能システム。テキスト、音声、画像、音楽など、さまざまなメディア形式でコンテンツを生成する能力を持っている。クリエイティブな産業、エンターテインメント、教育など多岐にわたる分野での利用が進んでいる。

従来のAIと違い、生成AIは新しいコンテンツを作り出せるという特徴があります。

ディスカッション! 生成AIの登場で「創作」は変わる?

今回のテーマの1つは「生成AIによって『創作』は変わるのか」です。ゲストのお二人はどのように生成AIを利用しているのでしょうか。

九段理江さん:ChatGPTを活用して小説を執筆

九段さんは芥川龍之介賞を受賞した「東京都同情塔」の執筆の際、ChatGPTを活用したそうです。

九段理江さん著「東京都同情塔」

「東京都同情塔」は近未来の日本が舞台。作中には、主人公が日常的に利用している文章生成AIが登場します。主人公の問いかけに対する生成AIの回答には、ChatGPTの回答の最初の一文を使用しているそうです。

また「東京都同情塔」には「シンパシータワートーキョー」という刑務所が登場します。九段さんがChatGPTに投げかけた、「東京に新しい刑務所を建てたいのですが、現代版の価値観にアップデートした刑務所の名称としてどのようなものが考えられるでしょうか」という質問に対する回答は、カタカナの外来語ばかり。そこから着想したのが「シンパシータワートーキョー」なのだそうです。

佐藤理史さん:AI小説創作プロジェクトのメンバー

佐藤さんが参加されている「気まぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」は、AIにおもしろいショートショートを創作させることを目指すプロジェクトです。

佐藤さん自身の興味は、機械的にストーリーを創作するためのアルゴリズムを解明することだそうです。2015年には、コンピュータプログラムを利用して作成した作品を、第3回星新一賞に応募されています。

生成AIによって「創作」は変わるか

生成AIを活用して「東京都同情塔」を執筆された九段さんですが、活用とはいえ、他の資料の参照と同じだといいます。これまでの創作と変わらず、これからも生成AIの活用にこだわるつもりはないそうです。

佐藤さんも、現在の生成AIでは、文学作品と呼べるほどのものは作れないと考えています。自然な文章を生成することはできても、人の感情を揺さぶるような「価値のある文学作品」を作るのはまだまだ難しいだろうとのことです。

九段理江さんの文学観

生成AIが作った作品は誰のものかというのはよく話題になりますが、九段さんは「誰の作品かはまったく重視していない」と言います。

自分の書いた作品が賞賛されることよりも、人間がどれほど創造的な作品を生み出せるか、というところに興味を持っているというお話でした。そして、その人間の限界を押し広げたいという思いから創作活動をされているのだそうです。

全てをAIに執筆させた作品でも、自分の作品をAIで読み込んで作られた作品でも、人間の可能性が広がるのであれば「誰のものか」は重要でないという考えです。

MCのヨビノリたくみさんにインタビュー!

ライブ授業終了後には、MCのヨビノリたくみさんにインタビューさせていただきました。

ーー今回のMCの感想をお聞きしたいです。

最初に考えていたテーマや内容からかなり脱線したんですが、そうやって話が転がっていく感じが、やっぱりリアルだなと思いましたね。生成AIについて人々が持っているイメージや、研究の先端知識、実際に活用している方の意見で、本当に一人一人考え方が違っていく分野だなと思いました。

ヨビノリたくみさん

ーー生成AIと文学の今後について、どのような予測や期待をお持ちですか。

最近おもしろいと感じるミステリには、これまでにない作風やタッチのものが多くて。単にトリックがすごいのじゃなく、「まったく見たことがない」と思えるものにおもしろさを感じるので、人間とはスタート地点が違う生成AIが書くミステリで驚いてみたいなと思います。今回のお話を聞く限り近いうちは難しそうですけれど、将来的にはそういった新しいおもしろさが見られるんじゃないかという楽しみがあります。

生成AIも使い方次第! あなたはどう活用しますか?

本編は以上です。まだまだ新しい技術の生成AIですが、発想や工夫次第で、さまざまな分野で活用できそうですね。

この記事が生成AI活用のヒントになれば嬉しく思います。

おまけ:ChatGPT、実際に執筆に使ってみた!

ということで、実際に使ってみました。実はこの記事の執筆でChatGPTを活用しています。

言葉がしっくりこないとき、文脈的にどんな言葉が相応しいか聞いてみたり。一つの文が長すぎて読みにくいとき、簡潔にまとめてもらったり。

検索エンジンで検索するよりも早く、しかも柔軟な答えが返ってきます。これは便利。

代わりに文章を考えてもらうのではなく、時間のかかる要約や言い換えを提案してもらう。創作アシスタントとしてのChatGPT、みなさんも活用してみてはいかがでしょうか。

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