ナレッジベース実行委員がカラオケへ行くようです

取材・撮影・文=ココぴ(N高7期・執筆コース)
一月某日、ナレッジベース実行委員のSlackワークスペースにとあるチャンネルが立てられた。
#zy-よおナレベ、合宿前後どちらかでカラオケ行こうぜ
カラオケです。
え、カラオケって……? あのナレベがカラオケ!?
「ナレベ? って、そもそも何?」とナレベをご存知ない方も、
「ナレベ? カラオケ行くの……?」と混乱されている方も、
「まあナレベならやるか」と納得されている方も、
ぜひ最後まで読んでください!
困りごと解決のプロ! ナレッジベース実行委員とは?
今回取材するのは生徒会ナレッジベース実行委員会。
ナレベという愛称で親しまれる生徒組織の一つです。
N/S高はネットを学校生活の拠点とした高校です。そのため情報が無限に増えていき、散らばり、学園の全容を把握することは不可能に近いのが現状。
「これってどこに情報が載ってるの?」は日常茶飯事。知りたいことがあっても、膨大な情報から正解を見つけ出すのは困難です。
ナレッジベース実行委員はそんなN/S高の困りごとを、ICTの力で日々解決しています。
主に、学園生活で必要な情報をまとめた「学内ヘルプセンター」や、知っておくと便利な+αの情報をまとめた「ナレッジテクニカル」のサイト運営を行っています。また、磁石祭の情報をまとめたヘルプサイトの運営もナレッジベース実行委員が担当しています。
生徒からはもちろん、職員からも頼りにされる存在です。
さて、ナレベについてわかったところで冒頭を思い出しましょう。
ものすごくICTを活用しているしごでき(※仕事ができる人)集団が、実行委員活動をするための専用のSlackワークスペースで、え、カラオケ……??
【密着】カラオケで熱唱するナレベの人々
Slackでは、チャンネル作成者であるすみれさんが指揮を取り、当日の集合時間やどこのカラオケへ行くかを決めていました。
リアクションなどSlackの機能を使い着々と意思決定を進めます。さすが、ナレッジベース実行委員。
途中、他の「よおナレベ(※)」と合体したり派生ができたりしつつ、店舗の予約まで完了。
最終的に、合宿後に八王子でカラオケとダーツをすることが決まりました。
※記事後半に説明があります。
ということでやってまいりました八王子……ではなく、まずは高尾の森わくわくビレッジでの合宿。
チャンネル名が「#zy-よおナレベ、合宿後にカラオケ行こうぜ」であることからもわかる通り、実はナレッジベース実行委員では二月に合宿が開催されていました。
全国に散らばる実行委員が一堂に会するなかなかない機会なので、オフ会を実施するにはいいタイミングです。
せっかくなので合宿中に「カラオケ行くよ〜」と宣伝していると、どんどん仲間が増えていきました。
最終的に十一名の大所帯に。当日参加しないメンバーも合わせ、チャンネル参加者は二十二名です。
二泊三日の合宿も終わり、みんなでバスに乗り出発です。
駅に着き、途中参加のメンバーとも合流していざカラオケへ。
スーツケースをガラガラと引きずり、無事到着。広々としていて十人以上が入れる、普段はなかなか案内されないような部屋でした。

なぜかパソコンを開いている方がいるような気がしますが、多分気のせいです。
じゃんじゃん曲を入れて、さっそく歌っていきます。
最初に歌ったのは40mPさんが作詞作曲された「S高等学校校歌〜夢で描けば〜」です。
実はカラオケで歌えるの、ご存知でしたか? 学園の友人と一緒に歌ったことがある方もいるのではないでしょうか。
他にも昔合唱で歌ったような曲も揃っていて、懐かしさを感じられます。


各自が好きな歌を歌い、好き勝手に過ごしています。
しかしある曲によって雰囲気は一変。
「みなさん立ってください」
流れたのはなんと君が代。
なぜか全員で起立し、国歌を歌うことになりました。これカラオケで歌うものでしたっけ??
これには参加しなかったメンバーにもSlackでツッコまれました。
Slackといえば、料理を注文するときにも活躍しました。
スレッドを立て、ほしい料理を各自で書き込んでいきます。注文済みの料理には「済」のリアクションがついていきます。
大人数の場ではどれを誰が注文したか、どこまでの注文が済んだかごちゃごちゃしがちです。
今回はSlackを使用したおかげかスムーズに進んでいた印象なので、こうして大人数でカラオケを利用する際は真似してみてもいいかもしれません。

料理をつまみつつ、時間はいつの間にか進んでいきます。
合宿終了後すぐの14時頃からはじまり、15時、16時、17時……。ちらほら帰りはじめるメンバーも出たところで、18時が過ぎました。解散の時間です。
行きと同じくガラガラとスーツケースを引き、駅へ向かいます。
道中では参加した実行委員からの「楽しかった」という声を聞くことができました。

「よおナレベ」って実際どうなん?
そもそも「よおナレベ」とは
一言で表すならナレベ版オフ会。つまり、ナレッジベース実行委員によるオフ会の別称です。
普段はネット上でしか会えない実行委員の仲間とリアルで遊び、実行委員同士で交流することができる機会です。
「よおナレベ」は簡単に作ることができます。大体の企画は以下の手順で進みます。
- 「#zy-よおナレベ〇〇行こうぜ」といった名前でチャンネルを作る
- 興味を持った実行委員がチャンネルに参加する
- Slack上で詳細を計画し、当日集まる
zyという頭文字がナレベのワークスペースのプレフィックスとして設定されたことで、「よおナレベ」は独自の文化として確立しました。
ちなみにプレフィックスとはSlackのチャンネルの頭文字のことで、学園ワークスペースであればinfoやtimesなどが該当します。「よおナレベ」はナレッジベース実行委員独自の文化なので、想像しづらいという方は学園のtimes文化をイメージしてみてください。
2025年3月現在は、開催済みのものも含め47のチャンネルが存在します。
今回のようなカラオケはもちろん、スイパラ(スイーツパラダイス)やポークステーキなど食事系、科学館や美術館、高尾山で登山をする「よおナレベ」もありました。また、去年の合宿後はカラオケとUSJへの「よおナレベ」が企画されていました。
調べたところ、最古の「よおナレベ」は花火大会でした。2023年7月6日にチャンネルが立てられ、29日にみんなで花火を見に行ったようです。
実行委員へインタビュー!
実際、この文化について実行委員はどう思っているのでしょうか。オフラインの交流は実行委員活動に影響するものなのでしょうか。
合宿中やSlackで「よおナレベ」について訊いてみました。
「よおナレベ」についてどう思いますか?
楽しい
楽しかったです
普段オンラインでしか話さない人とオフで遊べて、新鮮で面白かったです!
普段会えないメンツとかナレベで会いたいって人と研修以外で会える機会ができるから、めっちゃいいなと思います
楽しい、面白いといった声を多く聞くことができました。
いつもは画面越しでしか会えない、活動の中で関わることがない、そんな普段会えないメンバーとの交流の機会として重宝されているようです。
チームやプロジェクトごとじゃない不規則な集まりだから、あまり関われない人と関われたり、実際に会えたりする企画があって、すごいな〜って思います
なにより、そこでスケジュール立ててる人すごいな〜って!
さて、ここで「スケジュールを立てている人」が話題にあがりました。
せっかくなので今回取材した「よおナレベ」の主催者の方にもお話を伺いましょう。
なんか不思議な文化だなって思いません?
遊びに行こうよって単発で誘うんじゃなくて、チャンネル作るのが……なんか、謎すぎる(笑)。
謎すぎるけど、まあでもなんか、便利ですよね。チャンネルを気軽に作っていい文化もいいなと思います。
今までの「よおナレベ歴」は?
えー、ナレベに入りたての時に渋谷でカラオケ行ったのと……一ヶ月後くらいにUSJ行って……そこからはあまり行っていなくて、私がカラオケ行こうよって言い始めました。
今回のカラオケにかける想いは?
カラオケにかける想い……!? え、別に私が「カラオケ行きたいな」って……。
でも、去年の合宿でカラオケに行けなくて……行きたかったけど「翌日USJだし」と思ってやめちゃったんですよ。
去年の合宿ではユニバーサルスタジオジャパンで遊ぶ「よおナレベ」が企画されていました。
その前日に今年のようなカラオケへの「よおナレベ」も存在し、そちらも盛り上がりを見せていたようです。
だから今年は行けたらなって思っていたので、思ったより人が集まってうれしいです。
「『よおナレベ』で実行委員活動が変わった」と感じることはありますか?
身近で自分が遊びに行きたいなって思うところに誘ってくれる人がいると、それがきっかけで話できるし、その場でも話できるしで、(自分を)知ってもらえるじゃないですか。新期生でも。
私が組んだ「よおナレベ」にも新規生が来てくれたら嬉しいなと思うし、お互いをより分かり合える場になったらいいなと思います。
新規生だった頃の経験を踏まえ、「よおナレベ」について語ってもらいました。
自分を知ってもらうというのは、入ったばかりの組織の中では難しいことです。その難しさを解消できたからこそ、今度は先輩として新規生をサポートしようという気概を感じました。
実際、今の新規生にもこの文化は受け入れられているようです。
すごく面白いし、気軽に楽しめるっていうか……新規生で緊張気味だったんですけど、やっぱ行きやすくてすごくありがたい企画でした。
「よおナレベ」はありがたいし、楽しいし、先輩後輩と関わる機会でもあるので、いいなと思います。
立案も参加も気軽にできるからこそ、こうして文化として広まったのかもしれません。
「よおナレベ」、本当に気軽に交流できるいいツールになってるんじゃないかと思います。ただ単に「交流」ってだけじゃなくて、「よおナレベ」っていう風に名前をつけることによってより親近感が湧きますし。
初めてN/S高の人とオフラインで遊びました! 「よおナレベ」がオフラインで会うことのハードルを下げてくれているのかな、と思います。
「よおナレベ」についてのここまでのまとめ
- 楽しい
- 普段会えない人と会える
- 気軽に参加できるリスト
実行委員活動へ与える影響は?
ここまで実行委員にお話を伺ってきました。「よおナレベ」の楽しさや利点についてわかりましたか?
ネット上の活動がメインである我々実行委員にとって、気軽に参加できるオフ会というのは交流ができる良い場です。
インタビューした三年生の中には、「よおナレベ」が与えた影響について分析してくださった方もいました。
オンラインの学校、オンラインの委員会だから「会う」っていう強制的な機会はないと思うんです。けどその中で、ちゃんと会う機会を作っている。
オンラインよりオフラインの方が交流が深まるといったデータもあるので、実行委員活動をするにあたって効果的ないいものをもたらしてるんじゃないかな。
仲の良さもそうですし、アイデアの創出ももちろんそうですし、それこそ根幹を作ったのかな?
やっぱ交流って一番大事ですから。
職員さんもよく言っているんですけど、こういう活動を通してなによりも一番大事にしてほしいのは、青春というか、「一生続く友達を作ってほしい」というところだったりします。そういったところにも深く、強く繋がっていると思うので、いい取り組み、いいイベントだと思います。
「でも、交流ってそこまで大切?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
活動中のやり取りがスムーズに行かないことは問題ですが、それにさえ支障がなければ十分。実行委員活動=真面目に取り組むべきものであり、その中にある遊びやゆるさの存在はイメージしにくいものです。
しかし案外、交流から生まれるものは大きいです。
やることが決まっている場にいると、それに関係すること以外の話はしづらいです。
例えば「好きな食べ物はなんですか?」というテーマが与えられているのに、脈絡なく好きな動物についての話はできませんよね。
だからこそテーマが与えられていないとき、つまりやることが決まっていないときがチャンスです。
アイデアは何気ない雑談から生まれることが多いです。
「〇〇って困るよね」
「わかる。〇〇になればいいのに」
「よしプロジェクト作るか」
なんて会話からチャンネルができ、プロジェクトとして動きはじめるなんてことも、ナレッジベース実行委員ではあるあるです。
また、「このプロジェクト一緒にやってみない?」といった勧誘も雑談中に行われる場合があります。
ラフな雰囲気で会話をしているときの方が誘いやすいですし、そもそも雑談の中で人柄や得意分野をはじめて知るなんてこともザラにあります。
実際、私も「よおナレベ」がきっかけで実行委員に詳しくなれました。
ここまで新聞実行委員として取材をしてきましたが、実は私、ナレッジベース実行委員なんです。
「実行委員でカラオケ!?」と驚いて見せた筆者ですが、むしろカラオケは行く側です。今回のカラオケもすごく楽しみにしていました。
そんな筆者ですが、実行委員つながりの方と遊びに行くようになったのは二年生の終わり頃。
それまで休日に誰かと一緒に遊ぶということはせず、交流は実行委員の活動内で完結させていました。
しかしいざ人と交流し、仲良くなっていくと、見える世界が変わります。
ボヤけたイメージしか持っていなかったチームメンバーのことも、一緒に遊びに行った後だと違った見方ができます。活動の中でも「〇〇が得意なあの人にお願いしてみよう」といった選択肢が自然と出てくるようになりました。
なにより、ここは自分がいてもいいところなんだ、という安心感を持つことができました。
実行委員活動の豊かさに直結するからこそ、交流は大切です。そしてその交流のハードルを下げてくれるのが、「よおナレベ」です。
「よおナレベ」は実行委員活動に良い影響をもたらしていると言えるでしょう。
まとめ
インタビューの際、ナレベについてこう表してくれた方がいました。
ナレベは「しっかり」と「ゆる」が両立している雰囲気があると思うのですが、その「ゆる」の雰囲気を作るのに「よおナレベ」がいい働きをしていると思います!
ナレッジベース実行委員の雰囲気はまさにそれです。「しっかり」と「ゆる」が両立した組織。だからこそ居心地がいいし、生徒による新しい活動が生まれやすい場所だと思います。
ナレッジベースやらヘルプリサーチやら馴染みのない単語が飛び交うせいか「ナレッジベース実行委員はすごいけどお堅い組織」と思われがちです。
しかし実際は雑談ベースのMTG(ミーティング)も多く、和やかな雰囲気の組織です。リアルイベントの際はたいてい誰かが猫耳をつけていたり、磁石祭のステージにメイド服を着て登壇したり、そんなおふざけも兼ね備えております。
この記事を通し、ナレッジベース実行委員の「ゆる」の部分を知っていただけたら幸いです。
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