【卒業生にインタビュー】教えて先輩! 先輩だからこそ伝えたいこと

取材・文=機械音痴のいふぁ(S高3期・執筆コース)
今回は、「卒業生にインタビュー、今どうしてる? 」というテーマのもと、N高1期生であり、筆者が所属する京都四条烏丸キャンパスの元TA*でもある渡邉瑠璃子さんにインタビューを行いました!
現在のカリキュラムとは異なりますが、当時のプロジェクトNのグループ活動で複数の賞を獲得された渡邉さん。他者と関わるグループ活動の際のポイントなど、これからの私達にとって必要不可欠な内容を中心にたくさんのことを教えていただきました。
ぜひ最後まで見てくださいね!
*TA
ティーチングアシスタントの略称。大学生を中心としたインターンで、生徒を多方面から支えている。
お話をしてくれた方

(写真提供=渡邉さん)
渡邉瑠璃子さん
元N高一期生で保護者だより初代編集長。N高卒業後は通信制大学に進学し、京都四条烏丸キャンパスで4年間TAとして勤務したのち、現在はプログラミング教室でオンライン講師として勤務中。
教えて先輩!〜現在のご活動について〜
ーー今のご職業(活動)について教えて下さい!

現在は、関東圏を中心に教室展開しているプログラミング教室に勤務していて、オンラインでプログラミング講師をしています。
主に、教室に通ったり外に出たり、人が多いところで活動するのがしんどいな、苦手だなというお子さんに対して、マンツーマンなど少人数で授業をしています。
ーーTAをされていた頃もプログラミングTAとして働かれていましたよね! プログラミングはいつ頃からされていたんですか?



プログラミングは、TAになってから同じTA仲間でプログラミングTAの方に教えていただいて学びました。最初はプログラミングTAじゃなくて普通のTAをしていたんだよね。



えっ。(プログラミング面でいつも助けていただいていたので、)N高生の頃やそれ以前からずっと学ばれていたんだと思っていました……。



全然そんなことはなくって! プログラミングは本当にTAになってから学びました。



とても意外です……いつからの挑戦でも努力次第で今の渡邉さんのようになれるんですね!
教えて先輩! 〜N高生時代の取り組み〜
ーーN高生時代に特に力を入れて取り組んだ活動について教えて下さい。



N高生だったころは、保護者だより*を作ることに特に力を入れていて、その初代編集長をしていました。今はもう保護者だよりってないのかな?



そうですね。今は保護者だよりはなくて、代わりと言ってはなんですが、新聞実行委員が発行している保護者通信というものがあります!
*保護者だより
渡邉さんが初代編集長を務めた、通学コースの保護者向け広報誌
ーー初代編集長とのことですが、保護者だより作りを始めたきっかけはなんですか?



実を言うと、メンターさんと進路について話すうちに生まれた、AO入試で有利になるような実績を作りたいという思いが最初のきっかけでした。いろいろ考えていく中で自分が一番やりたいと感じたことが保護者だよりの制作で、新聞実行委員でも1つの記事を書き上げるって大変だと思うんだけど、記事を分担して協力し合うということであれば挑戦しやすいなと思いやってみました。



各キャンパスから3人ずつぐらいはメンバーを集めたかったので、そこは今までの職業体験を通じてできた友人を頼ったり、Slackを通じてメンバーを集めたりしました。
ーー渡邉さんは、N高生だったころプロジェクトNで複数の賞を受賞されていましたよね。グループで魅力的な成果物をつくるためのポイントを教えて下さい!



えっ! N高生だった時のことをどうして知ってるの!?



TAをされていたころに、ポートフォリオを見せてくださっていたのでそこから……。



あー! なるほどね。



グループ活動って自分から話しかけるか、話しかけられるかの二択だと思うんだけど、全員が話しかけられるのを待っていたらグループとして成り立たないよね。だから自分からファーストペンギンになって話しかけるっていうのを心がけていました。ファシリテーションのコツは、何度も数をこなしていくことかな。
グループワークをやる中で、お互いの意見を言い合えないっていう状況になるのがどうしても一番成果物作りの壁になってしまうから、良い成果物や発表をするために、グループ内での雰囲気や仲間同士の親睦みたいなところに一番力を入れていました。
そうすることで、やっぱりメンバー同士のコミュニケーションが取りやすくなって、これやってみたいけどちょっと言い出せないなとか、実はこれあんまりやりたくないけど回ってきちゃったからやらざるを得ないなみたいなちょっとネガティブなイメージも、むしろこういうチャレンジをしてみたいって思いを引き出すみたいな……秘めてる思いっていうのをなるべく隅々までキャッチしていけたらなと思って、班員の雰囲気づくりっていうのは一番大事にしていました。
ーー保護者だよりをはじめ、新しいことに挑戦できた理由や、人を巻き込む力について伺いたいです。



まず新しいことに挑戦って部分に関して、周りがやっていないこととか新しいことに挑戦するのってやっぱり私自身もすごく怖かったんです。
例えば、当時通信制高校に移った友達もいたことがなかったのでそれも1つの挑戦だったし、今いる通信制大学に行くっていうことも含め、何かに挑戦することってすごく怖いことなんですけど、挑戦した先に得られるものがすごく多いように感じています。
保護者だよりを作るときも、初めて偉い方の前でプレゼンをする機会があって、その偉い方の前でプレゼンするときって、どうしてもめっちゃ手が震えちゃうんです。でもその手が震えた中でも褒めてもらえた言葉っていうのがすごく響いていて、その時の記憶を今でも思い出して喝を入れているくらいには私の中で新鮮な経験だったんです。その得られた先には経験したことのないものがあって、挑戦してみた先に自分にどんなメリットがあるのかっていうことを常に考えるようにしています。



次に、人を巻き込む力っていうところに関しては、さっきグループワークについて話したように、人とのつながりを大事にしているところがあります。「実はこうだったんだよね」っていうのは後になって知ってもどうしようもないし、それをグループワークの時に言ってくれたらもっとこうできたかもしれないのに、ってなったりするじゃないですか。



なりますね……。



だから、「やっぱり実はこう思ってたんだよね」がないようにしたくて、いろんな人と話している中で何か困ったことがないかや、少し自己満足にはなっちゃうんですけど、相手が何かやりづらそうにしてないかなっていうのを、何事も一番に考えているというか。
言葉がまとまらないし、巻き込まれてくれているかは自分自身でもわかっていないけど、そうやっているうちに自然とついてきてくれる人はついてきてくれていて、頼ってくれる人は頼ってくれていて、みたいな状況になっていったのが、すごくTAの中での働きにも繋がってたのかなと思っています。
相手の話をしっかり聞いて、自分の見たり聞いたりした情報を信じて、その人のやりたいことや本当に求めていることをやっていけたらなっていうのが一番大事にしているところです。



すごく素敵なお話を聞かせていただいて……ありがとうございます。
教えて先輩!〜渡邉さんの想い〜
ーーTAをされていた中で嬉しかったことや一番の思い出は何ですか?



これはすごく明確にあります! 卒業する時にいろんな子にありがとうって言ってもらえたことが一番嬉しかったです。
私自身こんなに長いことTAしてると思っていなかったので、当時のことを思い出したら今でも泣いてしまうのですが、(TAとして勤務した最後の)卒業式の時は私も卒業するんだっていう実感とともに、いろんな子たちがわざわざ来て「ありがとうございました」って言ってくれて、私がやったすごく小さなことでも、その子にとってはすごく大きなことだったんだなっていうのを実感したんです。
だから、卒業した時に自分がなりたいTAになれていたなっていうのが一番嬉しかったことです。



TAをしていた中での思い出は、キャンパスでたくさんの行事があったと思うんですけど、私の思い出というよりは生徒の思い出に近いです。キャンパスフェスティバルまであんまり喋っていなかった子、比較的内気な子達が、そういったイベントごとに友達を増やして、精力的に活動するようになるというのをこの4年間で何回も見てきました。
「一番の思い出」にまとめるのは難しいのですが、そういう生徒の成長を感じられたのが、私がTAになって見てきた中で一番嬉しかったことであり、思い出でもあるかなと思います。例えば、普段はたくさん発言するタイプじゃなかったり、グループワークであまり喋らなかったりする子も、イベントの時は自分からギターやダンスの発表をしてくれるんです。
それを見た周りのみんながすごいねって感想を伝え合い、そこから繋がって、次の週からその子と一緒の机に座るようになるということが、N高では当たり前のように起きています。でもそれってすごく尊いことですよね。私自身が直接体験したことではないですが、そういう尊いことをたくさん目にしてきたんだということが、一番心に残ってます。
ーー続いての質問です。唐突ですが、今後はどんなふうな人生を思い描いていらっしゃいますか?



今後どんなふうな人生……そうだね。絶対にやっていきたいなと思っていることが一つあります。私が今回のインタビューを通してずっと伝えてきた一つの軸に「人と関わることが好き」というのがあって、特に私は小さい子に対する支援だったり、高校生に対する支援だったり、そういうことが自分の中ではすごく好きだし、やりたいことなんだなということに最近気づいてきました。
だから、今後の人生もきっとその軸で、成人になるまでのお子さんに対する支援ということを続けていくんだろうなと漠然と考えています。あとはせっかくやってきたプログラミングも、やっていてやっぱり好きなので、プログラミングと子どもに対する支援っていう、2軸はぶれないんじゃないかなって思っています。



ご自身の「好き」をしっかりと把握していらっしゃる姿が素敵です。
教えて先輩!〜在校生へのメッセージ〜
ーー最後に、在校生へのメッセージをお願いします。



そうだなぁ。在校生って大きなくくりだから、中等部生もネットコース・オンライン通学コースにいる子もみんなまとめてに対するメッセージとして、とことん好きなことをやってほしいなとずっと思っています。



例えば自分の好きってありますか?



うーん……進路を考える時も中々思いつかなかったんですよね……。



強いて言うなら、最近はSlack*を使ってキャンパス内外の友達と関わったり、キャンパスの友達と一緒にお昼ご飯を食べたりというような、誰かと関わることが結構好きかなと思います。
*Slack
N中等部及びN/S高内で活用されているチャットツール



お昼一緒に食べたりしてるんだ! いいね!



私だと子どもやプログラミングがそうなのですが、そういった自分が今まで思ったり気づいたりしていなかった好きなことは結構大事にした方がいいと思っています。
例えば発表するの苦手だったけどやってみたら案外楽しかったとか、今までデザインに興味を持っていなかったけどIllustratorを触ってる中でやってみたいことが増えたかもしれないとか、そういう自分の好きなことっていうのは色褪せないんです。今の「好き」は、数年後にやってみたいと思ったり心を惹かれたりするようなことに繋がっている、と私は思っています。
もしも今、推しているアイドルがいるというのであれば、アイドルを推すとかでも全然いいんです。自分の好きなものがある人に対しては、とことん好きなことを好きなだけやってほしいと思っています。
キャンパスのTA紹介のスライドにもずっと書いてたんですが、好きなことを好きなだけっていうのが私の一つのスローガンのようなもので、今好きなことを持っている人はそれを惜しみなく楽しんでほしいなと思います。



そして、今はまだ進路やこれから生きていくうえでの好きなことが見えてきてないよって人ももちろんいると思うんだけど、私も在学中は自分の好きなことはあまり分かっていませんでした。だからそういう人に対しては、すごくありきたりかもしれないけど、何でもとりあえずチャレンジしてみることが大事だと思っています。
学園内のコンテンツでいうと、職業体験はすごくいい機会になると思います。新たな交友関係を作れたことも、その職業体験で得られた内容というのももちろん素晴らしくて、私はイベント創作に関するワークショップに参加していたんですが、他のもっと違う内容のものでも全然いいんです。
好きなことがないと悩んでる人たちは、ぜひ自分が参加したことのない世界に飛び込んで、新しい体験から得られる自分のちょっとした好きを一つ一つ溜めていってみてください。



とても響きました。質問は以上です。ありがとうございました!
おわりに
今回の取材は、私にとってすごくドキドキするものでした。
なぜならば、渡邉さんは私にとって1年生の頃からの憧れのTAさんだからです!!
去年のプロジェクトNでは発表時の抑揚や成果物についてたくさんのアドバイスをいただき、プログラミングやAdobeツールなどの疑問点も丁寧に教えてくださいました。
皆さん、今まであまりやったことがない分野って、なんとなく苦手意識を抱きませんか?
実は私、人前で発表したりITツールを使ったりしたことがN高入学前にはほとんどなく、渡邉さんが丁寧にアドバイスしてくださったからこそ、興味を持ってもっとやってみたいと思えるようになったんですよね!
もう会えないと思っていた憧れのTAさんにオンラインでお会いすることができ、そのうえで今まで知らなかった渡邉さんの想いを伺えたことがとても嬉しかったです。
今回の記事が、最後まで読んでくださった皆さんの参考になれば嬉しいです。


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