上手に文章を書くコツは「読む」こと!? 〜プロのライターさんに学んだ、文章を書く時に大切なこととは〜
取材・文=Lyra(S高1期生・ネットコース)
みなさんは「相手のいる文章」を書いたことはありますか?
「この文章でおかしくないかな?」
「文章の構成が下手で……」
「相手に伝わる文が書けている気がしない」
相手のいる文章、相手に伝わる文章を書くのはなかなか難しいことだと思います。
そこで今回は、7/26(火)に開催されたトークセッション「相手のいる文章を書こう」に実際に参加した私が、本トークセッションから学んだ「相手のいる文章を書くときに大切な視点」や「ライターにとって大切な心構え」を、イベントを振り返りながらお伝えしていきます。
本記事がみなさんの学びの一助となれば幸いです。
話をしてくれた人
塚田智恵美さん
元「進研ゼミ」編集者。現在はフリーのライターとして
「自ら学ぶ、学びを楽しくする」コンテンツの執筆・編集を中心に活動中。
知人の編集者曰く、「お酒の席でもつねにノートを携帯し、おもしろい話を聞き出せそうなときには唐突にメモし始める」らしい。
文章を読むことが上手に書くコツ!?
「みなさんこんにちは。今回講師としてお話をします、ライターの塚田智恵美です。
まずは普通に自己紹介をしたいところですが、本トークセッションでは少し変わった自己紹介をしようと思います。」
トークセッションは、”変わった自己紹介”、もといプチワークより始まりました。
「みなさんはどれが”一番いい”自己紹介の文章だと思いますか?」
と三つの自己紹介文を読み上げ、わたしたちに問いかけてきました。
さて、塚田さんはなぜ私たちにどれが一番いい文章だと思うか問いかけたのでしょうか? その理由と、「相手のいる文章を書くために一番大切なこと」を教えてくれました。
「今皆さんはいい文章を選ぶために”読み手として”目を凝らして文章を読みましたね。実はこれが”相手のいる文章”を書くために大事な訓練になると考えています。」
私は、「”書き手として”相手に伝わる文章が書きたくてこのトークセッションに参加したのに、”読み手として”目を凝らして文章を読むことが大事な訓練ってどういうことなんだろう?」と頭にはてなが浮かび離れませんでした。
ですが、この後のお話でその意味がだんだん紐解かれていきます。
大切な「読み手としての眼」
ここからは、塚田さんの熱いお話のパートに入っていきます。
まず始めに塚田さんは、「相手のいる文章を書こうと思った時に最初にぶつかる壁」についてお話ししてくださいました。
「相手のいる文章を書くには何を考えればいいでしょうか?相手の知りたいことや面白いと思うことを考えて書くことでしょうか…
しかし、相手の知りたいことや面白いことなんて私たち書き手はいくら想像してもわかりませんよね。
実のところ、読み手本人すらも自分が何を面白いと思うのか、知りたいと思うのかわからない。
この”わからない”が一番初めの壁になると私は考えています。」
確かに、読み手が読みたいと思える文章ってどんなのかわからない…。
でも、「わからない」なら相手のいる文章を書けないのでは?と思った私。
塚田さんは「相手のいる文章を書くときにとても大事な視点」について次のように教えてくださいました。
「そんな中でも相手のいる文章を書くためには”読み手としての眼”がとても大切になると考えています。
そもそも翻って見て、”誰かに読んでもらいたい”の前に自分の文章を読み手として読めているでしょうか?
もし自分の文章を読んで”なんか引っ掛かる”と感じたのであれば、なぜなのか考えてみてください。それが読み手として文章を読むということであり、読み手としての眼を鍛える方法です。」
「自分の文章を読み手として読めているか?」という問いを目の前にした時、私はとても大事なステップを飛ばしてしまっていたのだなと気付かされました。
「誰かに読んでもらいたい」の気持ちが一人歩きしてしまわないように、まずは自分の文章の読み手になることを忘れずにいたいなと強く思いましたし、そうして読み手としての眼で文章を読んだ時、書き手でもある自分も読みたいなと思える文章というのを大切にしたいなと思いました。
読み手の視点を鍛えるには?
では、相手のいる文章を書くときに大切な「読み手としての眼」というのは一体どのように鍛えればいいのでしょうか?塚田さんは次のように話します。
「読み手としての目を鍛える一番の方法は、人の原稿を推敲(※)することだと思っています。そんな時におすすめな手法は、文章を読んだときにつっかえてしまう部分「ん、なんだって?」をなくして読みやすくすること。これを私の周りの先輩ライターさん達は「小骨を抜く」とよくいいます。
魚を食べるとき、小骨を抜いて食べやすくするのと同じように、文章を読んだときにつっかえてしまう部分「ん、なんだって?」をなくして読みやすくする作業を経験することで、自分自身も含めた読み手が、読みやすい、読みたいと思える文章が書けるようになるのではないかと考えています。」
(※)推敲…文章をよくしようと何度も考え、作り直すこと。
出典:Oxford languages
塚田さんのお話の後は、文章のおかしい点を指摘する「添削ワーク」を参加者のみんなでやりました。
私自身も何度か校閲を経験していますが、文章を書くときに、より読み手の視点を意識できるようになったなと実感しています。効果はバツグンです!
ワークの後塚田さんは、「いい読書体験も悪い読書体験も大切にしてほしい」というふうにお話されていました。
「『この文章、読みやすかった!なんでなんだろう。』『この文章、なんか引っ掛かる。なんでだろう。』というのを突き詰めて考えてほしいなと思います。」
私はお話を聞いて、そういった読書体験を糧にしていくのが大切なことなのではないかなと思いました。
例えば読みやすいと思った文章があった時、なぜすんなり読めたのかを分析して理由を明らかにする。その理由を自分の糧にできれば読み手としての視野をどんどん広げることができるのではないかなと。そう思うと、私はとてもワクワクしました。
ライターがライターとして文章を書く意味
最後に塚田さんはライターの立ち位置はどこにあるのか?ということと、ライターが文章を書く意味、取材する意味についてお話しされました。
「ライターの役割は読み手の代わりに取材をし、自分が感じたことを読み手の視点で再構築する仕事です。
そんなライターが取材をし文章を書く意味は、自分が感動したこと、気づいたことにこそあります。取材する人はたくさんいますが、誰でも書ける文章を書くのではなく、自分だけにしか書けない「自分が感じたこと」を大切にしてほしいなと思います。」
とおっしゃっていました。
私はライターの役割のお話を聞いて、ライターは読み手の代弁者であるからこそ、読み手の視点を持って文章を書くことが大切なのではないかなと思いました。
自分というライターが取材をし文章を書く意味というのは「取材を通して自分が感じたこと」にある。「私はその話にとても感動した!」ということをみなさんに文章で伝えられるのは私だけ。そうした感動を伝える言葉を紡げるのも私だけ。
たくさんの書き手がいる中で自分しか紡げない文章があるというのは、とても素敵なことだなと感じました。
本イベントで塚田さんは、「読み手としての眼を持つことの大切さ」を中心に、ライターにとって大事な心構えを数多く教えてくださいました。
そんな塚田さんはイベント終了後、私のインタビューに答えてくださり
新人ライターの私に「ライターにとって一番大切なこと」を教えてくださいました。
「いい記事を書く以上に大事なことは、書き終わることです。
特に記事を書き始めた頃はいい記事を書きたい書きたいと思うけど、そう思いすぎると書き終わらないです。自分の文に納得できなくても、泣きながら最後の丸を打つ。そうやって書き終われた人だけが書き続けられるので、”書き終わること”はとても大事なことだと思っています。」
文章を書くときに大切な学びがぎゅっと詰まっていた本イベント。
その学びが少しでもみなさんに届いていたならとても嬉しく思います。
最後に本イベントレポートの執筆を任せてくださった学園スタッフさんと、
「相手のいる文章」ゲスト講師として登壇してくださり、私のインタビューにも真摯に対応してくださった塚田智恵美さんに心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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